おぼこいの意味とは?方言としての使い方や語源・類語・英語・例文も解説

「おぼこい」の意味とは?方言としての使い方や語源・類語・英語・例文も解説
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子供や若い女性を褒める際に使われる「おぼこい」という言葉。この方言はおもに西日本で使われますが、どのようなニュアンスや由来を持っているのでしょうか?本記事では「おぼこい」に焦点を当て、漢字や類語、正しい使い方の例文集を書き記していきます。

目次

「おぼこい」の意味とは?

「おぼこい」の意味とは?

はじめに「おぼこい」の意味を知ることで、言葉の正しいニュアンスを掴んでいきましょう

「おぼこい」の漢字表記

「おぼこい」は、漢字に直すと「未通女い」または「童女い」と表現されます。読み書きが非常に難解なのは、当て字であることが理由です。そもそも「おぼこい」は「おぼこ」が形容詞化した言葉で、「おぼこ」に当たる漢字が「未通女」や「童女」となります。「未通女」はそのほか、「おとめ」の当て字としての側面も持っています。

「おぼこい」は「おぼこい顔」などのように、誰かを形容する際に使われる言葉です。が、本来の意味を知らなければ、悪口なのではないか?と疑ってしまうこともあるかもしれません。「おぼこい」とは、「未成熟な」や「愛らしい」などの意です。たとえ内面がしっかりと大人びていても、外見に幼さや無邪気さが残っていれば「おぼこい」と認識されます。それとは逆に、素直さやひたむきさのある性格が見た目以上に印象強いため、「おぼこい」の表現に繋がる場合もあります。

「おぼこ」は「処女」の意

名詞である「おぼこ」が指す意味は、「世間知らず」や「世慣れていないこと」です。いまだ世間に染まっていない人たちを表しており、未婚の生娘(きむすめ)や処女に当たる言葉となります。漢字の「未通女」は本来、「いまだ男性の体を知らない女」のことを当てており、幼稚である様を揶揄する面も持ち合わせています。初々しいのと同時に、時には自分以外のことに考えが及ばない子供っぽさをも含んだ言葉といえるでしょう。

参照:Weblio辞書「おぼこい」

「おぼこい」の由来・語源説

「おぼこい」の由来・語源説

「おぼこい」の由来を辿ると、2パターンの仮説が見えてきます。どんなお話がもとになっているのかを、それぞれ紹介します。

1.「オボコ」という幼魚を由来とする説

1つ目は、出世魚と呼ばれるボラの名前から来ているパターン。ボラはスズキやブリなどのように、成長とともに呼び名が不思議と変化していく魚です。例えば関東では「オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド」、関西では「ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド」の順に名称が変わっていくのだそう。最終的には「トド」になる魚ですが、幼魚である頃は「オボコ」や「ハク」などと呼ばれます。いずれにも共通している「オボコ」が、子供らしさや可愛らしさを表現する「おぼこい」に転じたと考えられています。

2.「産子(うぶこ)」を由来とする説

もう一方の由来が、「産子」から「おぼこ」に転換したとする説です。「産子」とは「生まれたばかりの赤子」を意味しています。「おぼこ」とは言葉の響きが似ていることが証拠となっており、今日の「おぼこい」に似たさまざまな方言に繋がっていると予測されています。

「おぼこい」の類義語・対義語

「おぼこい」の類義語・対義語

言葉の意味を知った後には、「おぼこい」の言い換え表現や、対になる用語を把握しておきましょう

「おぼこい」の類語は「無邪気」「他愛(たわい)ない」

「おぼこい」と同列にある言葉は、「たわい(他愛)ない」や「初々しい」、「無邪気」などです。「たわいない」は「他愛ない」から転じた表現で、いずれも「幼くて分別がない」の意で使われます。「他愛」は「自分の利益よりも他者の幸せを優先すること」を指しており、「思慮分別がある大人」であることが前提にもなっています。反対に「たわい(他愛)ない」は無分別な子供を意味しますが、良い意味でも悪い意味でも使うことが可能です。また「初々しい」や「無邪気」は、どちらもあどけなく可愛らしいことをいい、「おぼこい」の言い換え表現として適しています。

「おぼこい」の対義語は「擦れっ枯らし(すれっからし)」

「おぼこい」と対照関係を成しているのが「擦れっ枯らし」です。「擦れっ枯らし」とは、数多くの体験や苦労を通して、ずる賢くなっている人のことを指します。厳しい浮き世の波に揉まれ、かつての純粋さを失った状態の意でも使われます。「おぼこい」が物慣れず幼い様子をいっているのに対し、「擦れっ枯らし」は人柄が悪くなってしまった大人をおもに表現しています。

「おぼこい」が方言化している地域

「おぼこい」が方言化している地域

「おぼこい」は方言のくくりに入りますが、他の方言と比べても、より広い地域で使われているのが特徴です。そこで本項では、全国に見られる例を取り上げ、地域ごとの特徴を見ていくものとします

関西弁・名古屋弁・福井弁の「おぼこい」

「おぼこい」は関西地方寄りの方言ですが、福井県などの西日本以外でも使われていることが分かっています。いずれも、「子供っぽい」や「かわいい」を意味しており、「まだまだおぼこい子やなぁ」や「おぼこい服よぅ似合っとんのぉ」などのような使い方が一般的です。一方で、もっと北側の北海道や東北地方では、「おぼこい」よりも「めんこい」が同じ意味の方言として根付いています。

津軽弁の「おんぼこ」とは?

津軽弁で「おんぼこ」は「赤ちゃん」を言い表しています。同じく、「おぼこ」や「おぼっこ」と呼ぶこともあります。例えば、「おらのおぼこがあそごにいるじゃ(私の赤ちゃんがあそこにいます)」などのように方言として用いられています。

甲州方言の「おぼこさん」との関連

甲州弁で「おんぼこ様」や「おぼこ様」と呼ばれているのが、あの絹糸(繭を)作り出してくれる蚕です。山梨県ではかつて養蚕が重要な生業だったものの、生き物を相手にする仕事は人間の思惑通りにいかないことも多かったのだそう。甲州弁で「ぼこ」は「子ども」を意味していますが、人々は蚕を子どもやそれ以上に尊い対象として、「お蚕様」や「おぼこ様」と呼んで慣れ親しんできました。大切な「ぼこ」に「お」と「さま」を加えた呼び名から、蚕がいかに人々の暮らしに欠かせない存在だったかを窺い知れます。

「おぼこい」を英語でいうと?

「おぼこい」を英語でいうと?

「おぼこい」を英語に訳すると、「childish(子どもらしい)」「immature(未熟な)」「cute(可愛い)」のようになります。次に、これらの単語を使った例文を見ていきましょう。

例文
  • He looks young than age for childish features.(彼はおぼこい顔立ちのため、年齢よりも若く見える。)
  • Even though she is already a college student, immature behavior is outstanding.(あの子はもう大学生だというのに、おぼこい言動が目立つ。)

「おぼこい」の使い方と例文集

「おぼこい」の使い方と例文集

「おぼこい」とは、どのような文章の中で生きる方言なのでしょうか?実際の使い方を例文とともに紹介します

「おぼこい」は素直に「子どもらしい」や「可愛らしい」という思いを伝える場合と、「年齢の割に幼い」ことを多少皮肉っていう場合があります。地域によっては、相手を揶揄する意味の方が強いところもあるほどです。が、基本的には褒め言葉であり、女性だけでなく男性にも使えます。男性の場合は童顔で体つきが小さく、純朴そうな青年などは「おぼこい」と形容されやすいでしょう。人を馬鹿にするような表現ではありませんが、互いの年代などに配慮し、恥ずかしい思いをさせないようにしなくてはなりません。

「おぼこい」の例文

「おぼこい」を使った例文は、以下を参考にしてください

例文
  • 田舎育ちのおぼこい娘が、今や才色兼備のキャリアウーマンに変身し、里の衆を驚かせている。
  • おぼこいといわれ、照れくさそうにしているあの男性は、笑顔になるといっそう幼く見える。
  • おぼこい動作で楽しむ子どもたちを眺めながら、教師として大いに奮起する自分自身を感じた。
  • 今しがた父が母に、「うちの息子は中学校に上がっても、寝顔が昔と変わらずおぼこいなぁ」と言ったのを聞いた。

まとめ

「おぼこい」は広い地域で使われている方言で、「初々しい」や「子どもらしい」ことを言い表しています。「おぼこい顔」は子どもや女性に対する褒め言葉であることが多く、場合によっては男性に用いるケースもあります。方言としては、全国的に知られている言葉といえますが、失礼にあたらないように相手の状況を慮って使うようにしましょう。

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