「自画自賛」とは、日常会話やビジネスシーンでよく耳にする言葉ですが、正しい使い方や漢字表記がいまいちわからない方もいるのではないでしょうか。「自画自賛」の意味と使い方、類語ならびに対義語、英語表現を例文で解説します。
「自画自賛」の意味とは?
「自画自賛」とは、「じがじさん」と読み、自分で自分を褒める意味で使われるのが一般的です。現在使われている「自画自賛」の意味と、もともとの意味は異なります。「自画自賛」にはどのような意味があるのか詳しく見ていきましょう。
自分の発言や行動を褒め称えること
「自画自賛」とは、自分の発言や行動を自分自身で褒め称えることをいいます。日常会話はもちろん、ビジネスシーンでも耳にする言葉です。自分がやった行いを称賛したい状況で用いられますが、何度も繰り返し使うと、せっかくの努力や成果がネガティブに捉えられてしまう恐れがあるため、多用しすぎには注意が必要です。
自分が描いた画に自身で賛を加えること
「自画自賛」のもともとの意味は、自分が描いた画に自分自身で賛を加える「画賛」のことを指します。「賛」とは、絵画に書き入れる詩歌や賛辞のことをいい、元来は作者以外のほかの人が書き記すのが一般的ですが、作者自身が書き入れることもあったため、そのことを「自画自賛」「自画賛」といったことに由来します。現代のマイナスイメージのある使い方とは異なった意味合いを持ちます。
「自画自賛」の使い方と例文
「自画自賛」は、ビジネスシーンで使う場合は使い方に気をつけるべき言葉です。過度な自慢にもとれる言葉であるため、フォーマルな場面では別の言葉に置き換えるか、何度も繰り返し使用するのを避けた方がよい場合もあります。
「自画自賛」の例文
「自画自賛」を使った例文は以下の通りです。
- 彼の話はいつも自画自賛ばかりで鼻につく。
- 自画自賛だと思われるかもしれませんが、十分にサービスの魅力を伝えられたプレゼンだと思っています。
- 自己卑下ばかりの人も面倒くさいが、自画自賛すぎるのも考えものだ。
「自画自讃」とも表記する
「自画自賛」は、「賛」の字を「讃」と表記する「自画自讃」といった書き方もあります。「賛」と「讃」は同じ意味を持ち、「讃」の字で表記しても間違いではありませんが、常用漢字である「賛」が主に用いられています。
「自我自賛」と書くのは間違い
「自画自賛」は、「画」を「我」と誤記した「自我自賛」と書くのは誤りになります。自分を褒める意味合いがあるため、「我」と間違えやすいですが、「画」に書き入れる「賛」が言葉の由来です。パソコンやスマホで「じが」と入力すると、「自我」と変換されることが多いこともあり、「自我自賛」と誤用してしまいがちです。誤字を防ぐためにも、言葉の由来を覚えておくとよいでしょう。
「自画自賛」の類義語・言い換え
「自画自賛」を普段の会話でも使われますが、ビジネスの場面で使用する際には、別の言い換え表現の方が適している場合があります。「自画自賛」に似た意味を持つ類語・言い換え表現を紹介します。
うぬぼれ・自尊
「自画自賛」の類義語・言い換え表現に、「うぬぼれ」「自尊」などがあります。「うぬぼれ」とは、自分自身に惚れること、実力や能力以上に自分を優れていると評価しているさまを表す言葉。「自画自賛」のネガティブなニュアンスに近い意味合いを持ちます。「自尊」は、「うぬぼれ」と似た言葉で、自分を優れていると思い込むことを意味します。ポジティブな意味合いで用いる場合は、自分を大切にするといった意味になります。
自負・自信
「自画自賛」を別の言葉で表現すると、「自負」「自信」と言い換えられます。「自負」とは、自分の実力や才能、知識などに自信と誇りを持つことを意味する言葉です。自信を持つ事柄を伝える際に、「自負しています」といった使い方で用いられます。「自信」は、自分の価値や考え方、能力などを、自分自身で信じて疑わないことを意味します。
意味が近しいことわざ「手前味噌で塩が辛い」
「自画自賛」と意味が近しいことわざに、「手前味噌で塩が辛い」があります。自分自身を褒めること、自慢することを意味し、単に「手前味噌」ともいいます。かつて自家製の味噌を自慢し合っていたことからできた言葉であり、「手前味噌で塩が辛い」は自慢ばかりで聞き苦しいことをたとえた表現です。「手前味噌ですが」と前置きして、恐縮しながら、嫌味にならない程度に自己評価や自慢をする際に使用されます。
「自画自賛」の対義語
「自画自賛」の対義語、反対の意味になる言葉として、「自己卑下」や「自己批判」が挙げられます。ほかにも「自嘲」や「謙遜」なども、「自画自賛」の対義語として使えます。
自己卑下
「自画自賛」の対義語となる言葉に、「自己卑下」があります。「自己卑下」は「じこひげ」と読み、自分自身を劣っている、大したことはないと見下げる、軽んじることを意味します。自分は何も得意なことはない、自分を低い存在だとみなす言葉です。「彼は言葉では自己卑下しているが、本当は自分に自信を持っている」などのように使います。
自己批判
「自己批判」も、「自画自賛」と反対の意味を成す言葉になります。「自己批判」は、自分の間違った言動を自分自身で評価して深く反省すること、批判することを指します。ほかの人から見た場合の自分を厳しく判断し、自己評価を傷つける可能性もあるため、自己批判のやり過ぎはよくないといった使い方をされます。
「自画自賛」を英語でいうと?
「自画自賛」を直訳した英単語はありませんが、自分自身を褒めること、自慢することを表現できるフレーズがいくつかあります。「自画自賛」の意味合いになる「praise oneself」や「blow one’s own horn」「pat oneself on the back」の意味や使い方を確認してみましょう。
praise oneself
「自画自賛」を英語で表すと、「praise oneself」と表現できます。「~を称賛する・~をほめる」を意味する「praise 」に、「myself」で自分を称賛する、「自画自賛する」といった意味合いになります。「self-praise」や「sing one’s own praises」なども、「praise」を使った言い換え表現です。
I want to praise myself just a little.(少しだけ自分を褒めてあげたい気分です。)
blow one’s own horn
英語で「自画自賛」を表す言い回しには、直訳で「自分のためにホルンを吹く」を意味する「blow one’s own horn」があります。「toot one’s own horn」や「blow one’s own trumpet」「ring one’s own bell」も、自慢する、鼻にかけるといた意味になるので、自画自賛する際に使えるフレーズです。
It’s a great chance for me to blow my own horn about my recent sales success.(最近の営業成績について自画自賛する絶好のチャンスです。)
pat oneself on the back
ほかにも、人を褒める際に背中を軽く叩く習慣から、我ながらよくやった気持ちを表すのに、「自分で自分の背中を叩く」意味を持つ「pat oneself on the back」が使用できます。「give oneself a pat on the back」も同じ意味合いで用いられています。
I don’t want to pat myself on the back or toot my own horn.(うまくいったと自慢したくはないんだけど…。)
まとめ
「自画自賛」とは、自分の言動や能力、仕事ぶりを自分で褒め称えること、自慢することを意味します。「自画自賛」は、我ながらよくやったと自分を褒める際に用いられますが、会話の中で多用し過ぎると、過剰な自慢、自信過剰な人と判断されかねないため、ビジネスシーンで使用するときは、恐縮している気持ちを表現できる、類義語の「手前味噌」を使用した方がよい場合もあります。「自画自賛」を適切に使えるように、正しい意味や使い方、言葉の由来を覚えておきましょう。