ビジネスシーンでよく聞く言葉に「稼働率」があります。似ている言葉で「可動率」があり間違えて覚えやすい言葉です。ここでは、言葉の意味や「可動率」との違い・計算の仕方に加え、働くうえで必要となる英語表現をわかりやすく解説していきます。
「稼働率」の意味とは?
社会にでて働き始めると「稼働率」というワードを耳にする機会が増えます。「利益を出すために稼働率をあげる」などビジネスシーンで使われますが、言葉の意味を理解していないと問題を解決できないでしょう。
ここでは「稼働率」の意味について解説します。
生産能力の全体の量に対する生産量の割合
「稼働率」とは、一般的に工場などで使用される用語で「生産能力の全体の分量に対する実際の生産量の割合」です。
詳細に説明すると、生産可能な分量に対して、実際に需要のある生産量の割合を計算したものを指します。
操業率
「稼働率」には、ほかにも意味が存在します。
工場などの設備全体の数に対して、実際に稼働している設備の割合を表し、「操業率(そうぎょうりつ)」ともいわれます。
実際に稼働しているとは、機械設備に故障などがなくフルで稼働している状態です。
「稼動率」の読み方は?
「稼働率」の読み方は「かどうりつ」です。「稼働」は、その漢字の通りに「かせぎはたらく」ことを意味します。
また機械などを「運転する」・「操作する」という意味もあり、機械が動いて業務をこなすことを指します。
「稼働率」の類義語・言い換え
「かどうりつ」という言葉は、「稼働率」と「稼動率」の同音の言葉が存在しますが意味に違いはあるのでしょうか?
「稼動率」の意味と、「稼働率」と「稼動率」の違いについて解説します。
稼動率
一般的には「稼働率」と同じ意味で使用されますが、製造業界などでは「稼動率」を「稼働率」とは別の意味として使用する場合があります。
「稼働率」と別の意味を持つ場合の「稼動率」は、「作業する人数や作業で使う機械設備の実働時間」と「すべての作業時間」の比率です。
「実働時間」と「すべての作業時間」の意味は下記になります。
・実働時間:実際に作業している時間
・すべての作業時間:作業を行うために(工場など)作業する場所に提供するすべての時間
すべての作業時間には、作業する場所にいる間のすべての時間を含めるため、作業の合間の休憩時間も加算されるのです。
機械設備の場合は、実際に作業のために動いている時間と、機械の起動までの時間やメンテナンスなど実際の業務には関係ない時間との比率を意味します。
「稼働率」と稼動率の違い
「稼働率」と「稼動率」の違いですが、ビジネスーンでは同じ意味で使われることが多く、違いはありません。
ただし、「稼動率」の意味で解説したとおり、製造業界など敢えて別ものとして使う場合にのみ双方の言葉の意味に違いが生まれます。
「稼動率」には、稼働時間の中に製品生産に不要となる時間も含まれ「稼働率」は、稼動率の中の不要な時間を排除したものと捉えます。
「稼動率」の計算方法
「稼働率」の意味や類義語との違いを解説しましたが、「稼働率」はどのように計算すればよいのでしょうか?
「稼働率」の計算方法を目的別に解説していきます。
生産個数がベースの場合
「稼働率」の計算方法で、生産する個数をベースに考える場合の計算方法は下記です。
・分子「実際の生産個数」/分母「機械設備の生産能力による生産個数」
上記の式を具体例を挙げて説明すると下記のようになります。
例)機器設備の生産能力が600台、実際の生産個数が500台の場合(稼動時間は8時間)
稼働率:500台/600台=0.83(小数点第2位まで)
上記の場合、この当日の稼働率は83%になります。
時間がベースの場合
「稼働率」の計算方法で、時間をベースに考える場合の計算方法は下記です。
・分子「実際の稼働時間」/分母「機械設備の稼働すべき時間」
上記の式を具体例を挙げて説明すると下記のようになります。
例)機器設備の稼働すべき時間8時間、実際の稼働時間が7時間の場合
稼働率:7時間/8時間=0.87(小数点第2位まで)
上記の場合、この当日の稼働率は87%になります。
ベースが生産個数でも時間でも「稼働率」は、顧客から要望される数(量)に左右されます。受注される数(量)が多ければ100%を超えますし、少なければ0%に近づくのです。
「稼働率」と「可動率」の違い
「稼動率」のほかに「可動率」も「稼働率」と意味を混同しやすい言葉です。
「可動率」も「稼働率」と同じく工場など製造業界で、よく使われています。
「可動率」は「べきどうりつ」と読み、意味は「本日作る必要のある生産高」に対する「実際に作った生産高」です。
製造業界での「可動率」は分母が「製造ラインの実際の稼働時間」で分子が「製造ラインの実質必要な稼動時間」×100になります。
「稼働率」は、生産する量により変動するため、むやみに稼働率を増やしてしまうとロス(作りすぎ)につながる恐れがあります。それに対して「可動率」は、作るべきときに作るべき量を生産するので無駄がありません。
製造業界で目指すべき指標が「可動率」といっても過言はないのです。
「稼動率」の英語表現
「稼働率」という言葉を英語で表現する場合は、どんな言葉になるのでしょうか?
「稼働率」の英語表現について紹介します。
Operating ratio
「稼働率」を英語で表現する場合、「Operating ratio」が英語表現といえるでしょう。
「Operating ratio」と「Operating」・「ratio」は、日本語ではそれぞれ下記の意味を持ちます。
・Operating ratio:操業度・営業比率
・Operating:operateの現在形 operateは働く・仕事する
・ratio:比率・割合
「rate」も日本語に訳するときに、比率や割合の意味を持ちますが、下記の理由により「ratio」を使うのが妥当でしょう。
・ratio:2つの量(大きさ)の比率
・rate:基準となる値があり、その基準値を基に測定した比率
可動率はOperational Availability
「稼働率」と意味が混同されやすい「可動率」を英語で表現すると「Operational Availability」です。
「Operational Availability」と「Operational」・「Availability」の日本語の意味は下記です。
・Operating ratio:可動率・運用アベイラビリティ
・Operational:運転可能な・操作上の
・Availability:有効
「稼動率」を安定させるには?
「稼働率」は、「稼働率を上げる」や「稼働率を下げる」などのようにいわれますが、どのような調整を行うのでしょうか?
「稼働率」の調整について解説します。
「稼動率」が低い場合
現状の「稼働率」の低さを改善するには、どうすればよいのでしょうか。
「稼働率」が低い原因を探すと多くの場合、「機械設備が多すぎる」という理由が挙げられます。
上記の理由で「稼働率」が低いのは、工場などで注文を受ける数や需要に対して、過ぎた生産能力(設備)があるからです。
改善策としては、「稼働率」を上げるために機器設備を見直し、数量を減らすなどの対策が必要です。
「稼動率」が高い場合
「稼働率」が高い場合には、どう改善すればよいのでしょう。
「稼働率」が高くなる原因は、「機械設備が足りていない」という理由があるかもしれません。
機器設備が不足していて「稼働率」が高いのは、その工場で受ける受注数が設備に見合ってないからです。
「稼働率」の高さを改善するには、機器設備の増設または、高い生産力のある機器設備を導入するとよいでしょう。
まとめ
「稼働率」に関してさまざまな解説をしてきましたが、「稼働率」は、製造業界以外でも応用して活用できます。
ビジネスシーンでも多用される「稼働率」は、社会人として知っておくべき言葉です。
言葉の意味や計算方法などを知っていないと「稼働率」を安定させるために「上げるのか、下げるのか」も判断できません。
仕事の効率を上げるため「稼働率」についてしっかり理解して活用していきましょう。