「順不同」という言葉をご存じですか?「順不同」はビジネスシーンやオフィシャルな場面においてよく使われる言葉です。今回は「順不同」の意味や使い方、類語・対義語・英語表現に加え「敬称略」についても詳しく紹介します。
「順不同」の意味とは?
「順不同」という言葉の意味について解説します。ビジネスシーンにおいてもよく使われる言葉なので、その使い方については正確に理解しておきましょう。
「並べ方や順序がそろってないこと」
「順不同」は「並べ方や順序が揃っていないこと」を表す言葉になります。元はといえば「順序不同」の省略語にあたり、特に順番を気にせずに並べている様子を表す言葉です。公的文書における順序とはさまざまな価値観がありますが、例を挙げるとすれば五十音順であったり役職の順であったりします。こういった一定のルールにとらわれず名前を連ねている様子を、ビジネスシーンやフォーマルな場においては「順不同」という言葉で表します。
「順不同」をメールで使う場合
ビジネスシーンにおいてはメールの宛先に並ぶ順番も気にする必要があります。ただ複数の相手に対して一斉に送信する場合、こういった細かいことを気にするあまり生産性が落ちてしまうという弊害も生じます。そういった際に「宛先の順には特に深い意味はありません」といったニュアンスを持たせるために「順不同」という言葉を用いることがあります。人によっては役職の順などを気にすることがあるため、そういった指摘から逃れるための便利な表現になります。とはいえ、社内宛のメールでも許されても対外的なメールにおいては神経質にならなければならないタイミングも出てきます。そういう場合は「順不同」といった表現に逃げることなく、宛先にも注意を払ってメールを送信するとよいでしょう。
お詫びの言葉と合わせて使うことが多い
「順不同」という言葉はお詫びの言葉と併せて用いられることが多いです。正式には役職順に並べたり五十音順に並べたりして宛先送信するのが普通ですが、そういった手間を省くことで日々の業務の生産性が上がるのも確かです。そういった生産性の低い作業を省くときに順不同という表現が役に立ちます。
具体的な使われ方としては「順不同となっておりますことをお許しください」や「順不同で失礼いたします」というような表現で用いられることが多いです。状況に応じてこれらの言葉を使いこなしながら、仕事を進めていけるとよいでしょう。
「順不同」の読み方
「順不同」の読み方は「じゅんふどう」になります。「不同」という言葉には一定の基準に沿って整理されていないというニュアンスがあります。そのために「順不同」においては、五十音順や役職順といったような一定の基準に沿っていない並べ方であることを主張する言葉になります。
「順不同」と「敬称略」
「順不同」と「敬称略」という言葉の意味について紹介します。 どちらも同じタイミングで使われる言葉であるため、それぞれの言葉の使い方を深掘りしていきましょう。
「順不同」と「敬称略」はよく一緒に使われる
「順不同」と相性のいい言葉として「敬称略」という表現があります。「敬称略」は「様」などの敬称を省略しているという意味の言葉です。参加者が多くなる式典などにおいて、氏名に対して一つ一つに「様」を表記していては見た目が煩雑になってしまいます。そういった際に「敬称略」と表記しておくことで、名前だけを端的に書き連ねる表記方法であることを伝えられます。この敬称略とよく並べられて用いられるのが「順不同」になります。「敬称略、順不同」は、順番はランダムに表記されていて、敬称はつけていないという意味になります。
「順不同」と「敬称略」を使うときの注意点
「順不同」と「敬称略」を用いるときの注意点としては、ビジネスシーンにおいてはあまり使われないという点です。特に社外の方に向けた書面において、「敬称略」は失礼に値する可能性があります。仮に「順不同」や「敬称略」といった断り書きをするとしても、重要な取引先に対しては「敬称」を付け、上部に配置するのが常識となっています。
つまり、このような場面で使われる「順不同、敬称略」という言葉は、相手の会社における序列がこちら側の認識と万が一ずれがあった場合の保険となる表現になります。文面を送信する前にわざわざ相手方の序列の確認をとるのも不自然となりますので、こういった表現を用いて柔軟に対応しておくのがよいでしょう。
「順不同」の類義語・言い替え
「順不同」という言葉の類語や言い換え表現を紹介します。ここで紹介する言葉は「無作為」と「手当たり次第」になります。使われ方は異なるものの、ニュアンスは近い言葉です。早速見ていきましょう。
「無作為」
「無作為」とは「偶然に任せること」を表す言葉です。確率などの問題において箱の中から無作為に玉を取り出すというような表現に触れることがありますが、これは「玉を作為的に選ぶことなく、運に任せる」という意味があります。カタカナ語にすると「ランダム」という表現が適切になるでしょう。
「手あたり次第」
「手当たり次第」とは「手に触れるもの全て、行き当たりばったり」という意味があります。先ほど紹介した無作為と近いニュアンスを持ちますが、手当たり次第の方が人間の行動を表現するのに適しています。四字熟語にすると「人海戦術」という表現がぴったり当てはまるでしょう。あまりよい意味で用いられないこともあるので、人の行動に対して使う際はタイミングに注意しましょう。
「順不同」の対義語
「順不同」の対義語としては、「あいうえお順」や「五十音順」といった表現が当てはまります。 何らかの基準にのっとって、物事を上から順に並べるという意味を持つ言葉です。役職が同じぐらいの方々を並べるときは、五十音順が使われることが多いです。
「順不同」がよく用いられる場面
「順不同」がよく用いられる場面に2つ例を挙げます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
筆記テストにおける選択肢
「順不同」という言葉が用いられるのはビジネスシーンだけではありません。例えば筆記テストにおける選択肢の書き方においても「順不同」が使われます。「回答は順不同です。」という表現がされている場合、選択肢を書く順番は評価対象に入っていないことを表します。例えば 「あ」「い」「お」が正解となる問題の場合、「い」「お」「あ」と書いても、「お」「い」「あ」と書いてもどちらも正解になります。「順不同」という言葉はこういったシーンにも用いられることは覚えておきましょう。
式典などでの来賓紹介
式典などの来賓紹介においても「順不同」という表現は用いられます。たくさんの人が参加するイベントにおいては、参加者が多いため正確な序列で並べることが難しくなります。そういう場合はある程度の役職順で並べておきながらも順不同と断っておくことで、万が一順序が異なっていても、失礼な印象を与えないための逃げ道にもなります。このように言葉を上手に使いこなしていくことは、ビジネスシーンのみならずイベントなどにおいても役に立ちます。
「順不同」を英語でいうと?
「random order」は「順不同」という意味を表します。「Listed in random order」で「以下順不同」という意味を表す表現になります。
「順不同」の使い方と例文集
「順不同」という言葉の使い方とその例文について紹介します。例文とともに使い方を見ていくことで、より詳しく使うべきタイミングがイメージできるでしょう。使い方の注意点も合わせて深掘りしていきます。
「順不同」の使い方
「順不同」という言葉は順序が揃っていない状況で用いられる表現になります。ビジネスシーンにおいてはメールの宛先、筆記テストにおいては選択肢の回答順、式典などにおいては参加者を列挙する順番。このような事例が「順不同」を使うタイミングに挙げられます。順番を精密に並べる手間を省けるという便利さがあることもさることながら、万が一順番が謝ってしまったときのためのセーフティネットとなる言葉でもあります。
「順不同」を使用するときの注意点
「順不同」とはいってもビジネスシーンにおいてお客様や取引先に対しては、正しい序列で名前を並べることが求められるシーンもあります。本質をとらえている作業とはいえませんが、ビジネスマナーとして序列を意識して名前を並べることは必要最低限になります。
「順不同」の例文
「順不同」を用いた例文を紹介します。
- 宛先は順不同となっておりますがご了承ください。
- 回答は順不同です。
まとめ
「順不同」とは「並べ方や順序がそろっていないこと」という意味を表す言葉です。主に「ビジネスシーン」や「フォーマルな場面」において用いられています。「敬称略」という言葉と合わせて使うことが多く、定型表現にもなっているので使い方をマスターすると何かと便利な言葉でもあります。