「コンセプト」という言葉を聞いたことはありますか?近年はアニメや漫画などの世界を再現した「コンセプトカフェ」が人気を集めていますね。「コンセプト」とはある物事に対する基本的な考えを表す言葉です。この記事では、「コンセプト」の語源や類語表現などを解説します。
「コンセプト」の意味とは
「コンセプト」とは、特定の物事に対する一貫した基本的な考えを意味します。広告や商品企画、マーケティングの際には、「コンセプト」をもとにスタートします。「コンセプト」を決めるうえで重要なのは、商品を利用するターゲットを絞って必要だと思っている消費者にきちんと届けることです。目的が明確な商品は消費者からの信頼も厚く、長く愛される商品になるのです。
「コンセプト」の語源・由来
日本ではカタカナ用語として認知されている「コンセプト」は、英語で「概念」を意味する「concept」が語源です。もともとはラテン語で「心に抱いた考え」という意味を持つ「conceptum」が由来だといわれています。「概念」とは物事の大まかな意味を表しており、一貫して揺らぐことがない基本的な考え方や、物事の意味内容といったニュアンスで使用されます。
「コンセプト」の類義語・言い換え表現
「コンセプト」には、「発想」を意味する類語と「概念・理念」を意味する類語が存在します。商品企画の立案やデザイン構想を練るときに使われる「コンセプト」は「発想」として使用され、企業理念や販売戦略構想などを外部に知らせる「コンセプト」は「概念・理念」の意味で使われます。
「発想」として使用する類語
「発想」を意味する「コンセプト」の類語表現には、「アイデア」や「イメージ」が挙げられます。これらの言葉は基本的な考え方を取り入れて企画立案を行い、実現に向けて行動することから、「概念・理念」よりも自由度が高いといえます。近年増えているベンチャー企業では、企業の「コンセプト」を守りながら新しい物事を発信しています。
アイデア
「アイデア」は「実現に向けた考えや意見」という意味で使用されますので、「コンセプト」よりも具体的です。たとえば商品企画の場面では、商品の販売目的を踏まえながら顧客層や世間のニーズを照らし合わせたうえで「アイデア」として提案します。
イメージ
個人の頭の中で思い描いたものや、きちんとした根拠がない状態のことを「イメージ」といいます。そのため、「コンセプト」や「アイデア」よりも曖昧な表現として使用されます。商品のデザインを仮で作成したり、ほかに例のない新しいものを開発したりするときに「イメージ」が使用され、検証や修正を経てよりよいものに磨き上げていくのです。
「概念」や「理念」として使用する類語
「概念」や「理念」を意味する「コンセプト」の類語表現には、「プロット」や「ポリシー」が挙げられます。これらの言葉は企業理念に基づいて構想を練ったり、商品開発時に製品に対する思い入れをアピールしたりする際に使用されます。古くからある大手企業では、長年築き上げた信頼を崩さないために「コンセプト」を重視して企画開発を行います。
プロット
「プロット」とは、企業や商品の「コンセプト」を基に作成する脚本やあらすじ、構想のことです。「コンセプト」をきちんと理解しないと「プロット」が正しく作られず、本来の目的から逸れた構想が出来上がってしまいます。そのため、「プロット」は「コンセプト」に基づいたものでなければ成立しないのです。
ポリシー
「ポリシー」には「政策」や「方針」という意味もありますが、企画者や開発者による強い思い入れを指すこともあります。物事の企画開発は企業理念に基づいて行われますが、開発が進むにつれて品質へのこだわりや世間にアピールしたい事柄がでてきます。そのため、場面によっては「コンセプト」よりも個人の意思が入った主観的な表現になることもあります。
「コンセプト」と「テーマ」の違い
「コンセプト」と似た表現として「テーマ」が挙げられますが、この2つには大きな違いがあります。「テーマ」には「物事の大まかな主題」という意味がありますので、企業理念や概念を意味する「コンセプト」とは異なる意味があるのです。ここでは、「コンセプト」と「テーマ」の違いについて解説します。
「コンセプト」は「特定の物事に対する基本的な考え」
「コンセプト」は企業理念や経営方針など、物事に対する基本的な考えを表します。製品やサービスを作り出すうえで重要視しなければならない部分であり、「コンセプト」に合った商品やサービス開発を求められます。企業理念に合わない製品やサービスは消費者に不信感を与えてしまうので、企画段階でも方向性が正しいかどうかを重視しなければなりません。
「テーマ」は「芸術作品の主題」
「テーマ」は「物事や芸術作品における主題」を意味します。何かを作り出したりアイデアを集めたりするときは大枠となる「テーマ」を決め、「テーマ」に沿った内容であればどんなものでも生み出せます。このことから、方向性を貫かなければならない「コンセプト」よりも自由度が高いといえるのです。
「コンセプト」の使い方と例文
「コンセプト」は日常生活でも聞くことがあり、一番身近なものは企業の新商品発表だといえます。テレビや新聞、広告などで「当社は〇〇をコンセプトに新商品を開発しました。」と宣伝されます。このように、「コンセプト」はビジネスシーンにとどまらず多くの場面で使用される言葉ですので、例文を交えながら解説します。
企画やデザインの説明に使用するとき
どのような考えから企画されたのか、デザインの根拠はどんなものなのかを説明する際に「コンセプト」を使用します。
- 都内の再開発は、自然と都会の融合が「コンセプト」です。
- 来月オープンするレストランは韓国を「コンセプト」にしています。
名詞+「コンセプト」で、商品に対する基本思想を示す
「コンセプト」の前に名詞を置くことで、対象の商品に対する基本思想を表します。
- 「ブランドコンセプト」は、そのブランド商品全体の基本思想
- 「デザインコンセプト」は、デザインの基本思想や方向性
- 「製品コンセプト」は、製品の機能や価格、他社との差別化などを含めた価値観
「コンセプト」+名詞で会社や企業の理念を示す
「コンセプト」の後ろに名詞を置くことで、会社や企業の理念や方針を示した事柄を表します。
- 「コンセプトショップ」は、新ビジネスを取り入れた試験的な店舗
- 「コンセプトカー」は、自動車メーカーによる今後の製品開発方針を表すモデルカー
- 「コンセプトカフェ」は、あるテーマをピックアップしてターゲットを絞ったカフェ業態
- 「コンセプトモデル」は、企業の今後の商品開発に関する方向性を打ち出した商品
「コンセプト化」はマーケティング用語として使われる
マーケティングでは、「商品の意義を明確化すること」を意味する「コンセプト化」という言葉が使われます。新しく商品を企画する際には、「なぜその商品が開発されるのか」や「世間のニーズに合っているか」など多角的に判断します。近い意味としては、商品のブランドを再構築する「リブランディング」が挙げられます。
「コンセプト」の英語表現
「コンセプト」は英語表現の「concept」をそのまま使用しています。英語表現でも、日本語と同様に「基本概念」や「考え」を表します。
- What’s the concept of your brand?(あなたのブランドのコンセプトは何ですか?)
- We propose the concept of the product.(私たちはその商品のコンセプトを打ち出します。)
まとめ
「コンセプト」は物事に対する基本的な考えという意味があります。現在ある多くの商品やサービスは、開発企業の理念を反映させた「コンセプト」をもとにつくられています。近年は「コンセプトカフェ」や「コンセプトショップ」が増えていますので、ぜひ足を運んでみてください。