取引先や上司とのやり取りをする中で、手紙やメールなどの文末に「お祈り申し上げます」という言葉を使う方が多いのではないでしょうか?「お祈り申し上げます」の意味と正しい使い方を覚えて、ビジネスシーンで使えるようにしましょう。
「お祈り申し上げます」の意味とは?
ビジネスシーンにおいて、「お祈り申し上げます」という言葉を使うことがあります。「祈る」というと、大げさに感じる方もいるのではないでしょうか?基本的には、目上の方だけではなく親しい方にも問題なく使える言葉です。「お祈り申し上げます」には意味が複数あり、それぞれの正しい意味を理解して、場面により使い分けをしましょう。一般的には、相手の健康や幸福を祈るときに使いますが、相手に不幸があったときなどにも使用できます。それぞれの注意点があるので、一緒に把握をしておくとよいでしょう。
意味1~相手の健康や幸福、成功を願う表現
「お祈り申し上げます」は、相手の健康や幸福・成功を願う慣用表現です。相手に良いことがあるように祈っていることを丁寧に伝える言い回しで、謙譲語と丁寧語の組み合わせなので、目上の方に対して使えます。謙譲表現なので親しい方には大げさに聞こえるのではないかと心配になる方がいますが、慣用表現なので問題ありません。例えば、「~様のご健勝をお祈り申し上げます」というような使い方をします。祈る内容としては、相手の健勝や幸福、健康などがあります。ビジネスメールでは、相手方の成功や発展、活躍や繁盛などを願うときに使います。
意味2~故人にも使う
「お祈り申し上げます」は、故人に対しても使えます。その場合は、故人の死後の幸福を願う意味で使われます。故人に対しては「ご冥福をお祈り申し上げます」、遺族に対しては「ご愁傷様です」や「お悔やみ申し上げます」を使うのが一般的です。お世話になった方へ、今までの感謝と死後の幸福を願う気持ちを伝えるために、正しい使い方を、遺族・故人に対しそれぞれ使い分けをしましょう。
意味3~結びの言葉として使う
「お祈り申し上げます」は、手紙やメールでの結びの言葉として使うことがあります。例えば、「末筆ながら、~様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます」というような使い方をします。ビジネスマナーの基本は、お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝えることと、健康などに気配りをする言葉を文の最後に入れることです。ビジネスシーンでよく使う時候の挨拶などでも使用できるので、結びの言葉としての使い方を覚えておくとよいでしょう。
「お祈り申し上げます」の類義語・言い換え表現
「お祈り申し上げます」の言いかえ表現や類義語を覚えておきましょう。使う相手により、より改まった表現をしたいときには、類義語を使うとよいでしょう。
言い換えは「祈念」
「お祈り申し上げます」の言い換えは「祈念」という言葉を使います。「祈念」は「祈り念じる」という意味で、「お祈り申し上げます」よりもかしこまった印象があります。「祈念」は、相手の成功や発展、活躍や回復を祈るときに使い、目上の方はもちろん、取引先などに対し公的な手紙やメールで使えます。ビジネスシーンで文書のやり取りをする機会がある方は、「祈念」を使用した文の構成を覚えておくとよいでしょう。
例文
「お祈り申し上げます」の言いかえである「祈念」を使用した例文を紹介します。
- ~様の一層のご活躍を祈念いたします。
- 皆様の今後のご成功を祈念するとともに、益々の貴社のご発展をお祈り申し上げます。
「お祈り申し上げます」のビジネスシーンでの使い方
「お祈り申し上げます」のビジネスシーンでの使い方を覚えておきましょう。ビジネスシーンでは、主に結びの言葉として使われる頻度が高いです。正しい使い方を、場面により使い分けができるようにしていきましょう。
手紙やメールの結びの言葉として重宝
「お祈り申し上げます」は、メールや手紙の結びの言葉として、ビジネスシーンでは重宝されます。例文を紹介します。
- 貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 大変お忙しいかと存じますが、貴社の新事業の成功をお祈り申し上げます。
- 今後益々の御社のご繁栄と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
就活で使われる
「お祈り申し上げます」は、就活の不採用の結びの文として使われます。今回は自社では採用しないけど、今後就職先を見つけられますようにという願いを込めて使われます。不採用通知に対する返信は必要ありませんが、お世話になった方や最終面接までいったときには、相手への感謝の気持ちを伝えて今後の抱負などを一緒に伝えるとよいでしょう。
「お祈り申し上げます」の返信の仕方
「お祈り申し上げます」と言われたときの返信の仕方を覚えておきましょう。言葉をいただいた場面で、返信の仕方が違います。言葉をいただいた感謝の気持ちを伝えることは変わりませんが、使用してはいけない言葉もあるので注意をしましょう。
相手に対しての感謝の気持ちを述べる
「お祈り申し上げます」とメッセージをもらったときは、返信のメッセージの中で相手への感謝の気持ちを伝えましょう。返信には、相手の幸福や健康を気遣う言葉を加えるとよいでしょう。例文を紹介します。
- お忙しい中、お気遣いの言葉をいただき大変うれしく思います。~様も健康にはくれぐれもご留意ください。
- お心遣い大変感謝いたします。~様におかれましても、益々のご健勝をお祈り申し上げます。
故人に対していわれたとき
故人に対し「ご冥福をお祈り申し上げます」と言われたときは、言われた遺族は相手への感謝を伝えます。ただし、故人に対して言われたときは、「ありがとうございます」は避けましょう。故人に対して言われたときは、感謝の気持ちを表す「恐れ入ります」や、相手の優しい気持ちに対して恐縮しますという意味の「恐縮です」、「お心遣いありがとうございます」と返信するようにしましょう。
「お祈り申し上げます」の例文
「お祈り申し上げます」の例文を覚えておきましょう。相手の健康や活躍を願うときと、相手に不幸があったときの使い方で注意点が変わります。それぞれの注意点を把握し、正しく使えるようにしましょう。
相手の健康や活躍を願うとき
「お祈り申し上げます」は、「~様のご健勝をお祈り申し上げます」というように相手の健康を願う場合に使えます。例文を紹介します。「ご結婚おめでとうございます。お二人のさらなるご活躍をお祈り申し上げます」や「末筆ながら、皆様のご健康をお祈り申し上げます」というような使い方をします。
相手に不幸があったとき
「お祈り申し上げます」は、相手に不幸があったときには「ご冥福をお祈り申し上げます」というような使い方ができます。例文を紹介します。
- この度はご逝去の報に達し、心からお悔やみ申し上げます。~様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
- この度はご愁傷様です。思いがけないことでさぞかしお力落としのこととお察しいたします。~様の心よりご冥福をお祈り申し上げます。
「お祈り申し上げます」の英語表現
海外の取引先などと英語でやり取りをする方がいるでしょう。海外の方にも、「お祈り申し上げます」という言葉を使う場面はあるので、英語での表現の仕方を覚えておきましょう。
動詞「wish」を使う
「お祈り申し上げます」という言葉を英語で表現するときには、「wish」という動詞を使いましょう。「wish」という言葉には、相手の健康や発展、成功を祈るという意味があります。
例文
「お祈り申し上げます」を英語表現するときに使用する「wish」を使った例文を紹介します。「I wish you all the best.」で「ご健勝をお祈り申し上げます」という意味になります。また、「I wish that you would have a good start in the new project.」で「ビジネスにおいて成功と幸運をお祈り申し上げます」という意味になります。
まとめ
結びの言葉としてよく使われる「お祈り申し上げます」は、プライベートだけでなくビジネスシーンでも活用される慣用表現です。相手に不幸があったときにも使用しますが、基本的には相手の幸福や健康を祈るときに使う表現です。目上の方にも親しい間柄の方にも使用できる表現です。