大学生や社会人の方はレポートを提出するように要求されることがあります。しかし書き方や構成の決め方を知らないと思いのほか時間がかかってしまうでしょう。さらに引用の際の注意点などをきちんと押さえておかないと剽窃となり大変なことになりかねません。今回はレポートの書き方や押さえておきたい注意点などを詳しく解説していきます。
レポートとは
まず、レポートとは「調査や研究、実験の結果などを報告すること。また、その報告書。また、討議資料とする文書」のことを指します。
ここでは報告書のことについて解説していきます。
レポートの場合はテーマや内容に対して理解し、仮説を立て検証などをし最終的には結論付けまでもっていくことが必要です。ここで勘違いしてはいけないこととして、「感想文」と「レポート」は全くの別物です。
感想文は本を読んで感じたことや実際に経験して感じたことを文章として書き記すもののことです。感想文は自分が感じたことを書くため、「君がそう感じることはおかしい、間違いだ」などと否定されることはありません。そのため、感想文の場合はその人の持つ感性や表現力、さらには文章の書き方などによって評価されることが一般的です。
一方でレポートは先ほど述べた通り、「調査、研究、実験結果などの報告書」です。そのため、「この実験をして○○が楽しかった」などと書くことは報告書になっていないためレポートではありません。
テーマに対しての調査・研究・実験結果、それらのための事前知識の理解度、それらによって得た新たな知識などが評価の対象となります。また、結果を踏まえた問題提起やその解決方法の考察なども非常に重要になってくる部分です。
このようなレポートは小中学校時代の自由研究や高校での課題研究、大学では学生実験・ゼミの調査レポートや授業の期末レポートなどが身近にある実例です。
レポートの書き方のコツ
ここではレポートを書く際に意識したいことを4点紹介していきます。しっかりと確認しておきましょう。
1.読み手を意識すること
まず、レポートを書く際には読み手を意識して書くようにしましょう。
レポートは先ほど説明した通り「調査・研究結果の報告とその考察を述べるもの」です。つまりこのレポートは完成した後に問題や課題を与えた人物に読まれることが前提になっています。
そのため、「目的は何で、どういう手法で検証して、結果がどうなって、考察はどのようなものか」を相手が理解しやすい文章になるよう意識して書くことが必要です。
また大きく主観に偏った内容であったり、用語の定義が曖昧であったりすることは読み手の立場からすると非常に理解しづらいものになりますので避けましょう。
2.オリジナルの内容であること
続いて意識してほしいこととしてはレポートがオリジナルの内容であることです。
レポートを書く際にインターネットなどから似たようなレポートや論文を見つけてきてコピペすることいわゆる剽窃は禁止されています。
レポートの内容は執筆者のオリジナルであることが求められます。しかし、独断や偏見で書くのではなく、信用できる文献を参考にしてオリジナルに書く必要があります。
参考文献や文献の引用の際の注意点についてはこの後詳しく解説していきます。
3.提示された書き方の指示に従うこと
続いて、抑えておきたいポイントとしてレポートは提示された書き方の指示に従うことです。
レポート作成前にレポート用紙の大きさや枚数、表紙の有無、PCで作成の場合は字体や文字の大きさ、提出方法など指導教官や会社からの指示を確認しておきましょう。
これらの指示に従ったものでないと受け取ってもらえなかったり未提出扱いになったりする恐れがありますし、そうなったとしても反論の余地がありませんので、必ず確認するようにしましょう。
4.あいまいな表現は極力避けること
最後にレポートを書く際には極力あいまいな表現は避けましょう。
とはいっても、確実ではないことや自分の推測に対して断定するような言い方はダメです。
具体的には他人が述べていることに関しては「~だそうだ。」ではなく「○○では~と述べられている。」といった書き方、自分の推測や断定できないことに関しては「~かもしれない。」ではなく「~であると推測される。」といった書き方が適切です。
レポートを書く際の構成とその割合は?
ここでは実際にレポートを書く時の構成とその割合について解説していきます。
基本的には「序論」「本論」「結論」
レポートの構成は基本的に「序論」「本論」「結論」の3部構成になります。
また、それらの構成比率は1:8:1が目安となります。初めの序論ではテーマ設定の理由、テーマの背景などの説明とともにこのレポートでの方向性を示すことになります。
次の本論では、序論で述べた方向性に沿って結論を導き出します。この時にはほかの文献などを参考にしながら根拠となる事実を用いて、結論までの経緯を論理的に記述していきます。本論では想定される反論とその反論に対応する解決策や筋の通った意見も記述しておくとよりよいでしょう。
最後に結論ではレポートのまとめを行います。序論で述べた内容と呼応させながら書くとよい仕上がりになります。
文系のレポートの構成
基本的には文系のテーマに関するレポートは理系のような複雑な実験や研究が少ないため、先ほど説明したような「序論」「本論」「結論」の構成となることが多いです。一般的な構成がこの3部なだけであり、実際にテーマや各内容に応じてレポート構成を考えましょう。
理系のレポートの構成
理系のレポートの場合、「序論」「本論」「結論」といった構成のほかに、「分析手法」や「実験手順」などの項目が入ることがあります。
これは研究内容によってはコンピューターを用いた複雑な計算を行ったり、実験を行ったりする場合があるためです。これらの項目に関しても必要に応じて追加したり本論内で節を設けたりして読み手が理解しやすくなるようにましょう。
【重要】レポートの参考文献と引用の注意点
レポート作成において参考文献の取り扱いや引用の方法は非常に重要になります。それらの注意点をしっかりと確認しましょう。
参考文献とは?
参考文献とは「記事や書籍・学術論文執筆など、著述を行う際に参考にした図書や文献、新聞記事、または、その書誌事項を記したもの。」のことをいいます。
引用とは?
引用とは「人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること。」をいいます。
参考文献と引用の違いは?
参考文献はレポートを作成する際に必要なデータや知識の理解のために用いる図書や文献のことを指す一方で、引用はレポート作成の知識理解のために文献等を参考にするだけでなく、その文献等の文章をそのままレポートに記載することをいいます。
引用する際の注意点
レポート作成のために用いた参考文献や引用した文献は必ず明らかにしなければいけません。
もしそれを怠ると剽窃となり、著作権を侵すこととなるため犯罪です。参考文献や引用に用いた文献に関しては、レポートの最後に「著者名」「文献名」「発行年数」「出版社」「掲載ページ」(信用できるインターネット記事であれば「最終アクセス日時」「記事URL」)を必ず記載しましょう。
さらに引用の際はレポートのどの部分が引用文であるか明らかになるように、引用部分を「」で囲み、自分のオリジナルの文章と引用文章との違いが明確にわかるようにしておきましょう。
レポート内容をわかりやすくする工夫
レポート内容をわかりやすくしようと意識して書いても読み手にうまく伝わり切らないことが考えられます。そのようなときに内容をわかりやすくする方法として、図や表、グラフの活用が非常に有効です。それらの活用方法について解説していきます。
図や表の有効活用
まず、レポート内で調査内容や実験内容に関して説明する場合、どうしても文字だけでは伝わりづらいことがあります。そのようなときには実験器具の写真や図、数値データなどの取り扱いについては表などを用いることで、格段に理解しやすくなることがあります。基本的にキャプションは図や写真の場合は下に、表の場合は上に付けることを忘れないようにしましょう。
目的に応じたグラフの有効活用
また、研究前のテーマの現状についての説明や研究結果の説明においてグラフを使用することも非常に有効です。ここで注意してほしいこととして、グラフはそれぞれが得意とする分野がはっきり分かれています。
たとえば、折れ線グラフは時系列でのデータの変化、棒グラフは数値の比較など、円グラフはデータの要素の割合などを説明するのに非常に役立ちます。
また最近では、Excel等でとても容易にグラフが作成できるようになりました。ここで必ず押さえておいてほしいこととして、「グラフには無駄に装飾しない」ことです。
グラフ作成ツールには3Dグラフやグラフにつやを付ける機能などさまざまな装飾があります。しかし、これらは反対に理解しにくくなるだけでなく、間違った解釈に誘導してしまうようなこともあります。グラフをきれいに装飾したくなる気持ちもあるかもあるかもしれませんが、グラフは必要な情報以外は除いたシンプルなものを目的に応じて適切に使用しましょう。
まとめ
レポートの構成は事前におえておきたいポイントがいくつもあります。
必ず読み手がいることを意識しながら完成させましょう。また、剽窃は犯罪ですので、必ず参考文献や引用文献の取り扱い方法は守ってレポートを完成させてください。