「モットー」はイタリア語「motto」が語源のカタカナ語で、心がけていることがらや目標のことをいいます。個人が使うときは「標語」や「座右の銘」、企業が使うときは「経営理念」や「ミッション」などが類義語や言い換え表現にあたります。
「モットー」の意味とは?
「モットー」とは心がけていることがらや、目標のことをいいます。個人が使うときは「標語」や座右の銘」、企業が使うときは「経営理念」などが当てはまります。いつもの行動についての「モットー」のほか、ある行動をするときだけ限定的に設定する「モットー」もあります。
「モットー」の由来・語源はイタリア語の「motto」
「モットー」の語源はイタリア語の「motto」です。イタリア語から英語にもなった「motto」には「モットー」と同じ「標語」と「座右の銘」のほか、「処世訓」や「金言」、「題辞・題句」などの意味もあります。「my favorite motto」は「私のモットー=座右の銘」、「a company motto」や「the motto of a company」は「会社のモットー=企業理念」のように使います。
- She lives by his motto,“Work hard, party hard.”(彼女は生きる上で「よく働き、よく遊ぶ」をモットーにしている。)
- Safety is our motto at our company.(当社のモットーは安全であることです。)
「モットー」の類義語・言い換え
「モットー」には、多くの類義語と言い換え表現があります。「モットー」の類義語を、個人と企業とで使う場合に分けて紹介しましょう。
個人の「モットー」の類義語・言い換え
個人の「モットー」は、「標語」や「座右の銘」、「人生訓」などと言い換えられます。細かいニュアンスはそれぞれ異なるので、例文を参考に意味を知っておきましょう。
1.標語
「標語」とは、主張や意見を短くはっきりとした言葉で表現したものです。「標語」は「モットー」のほか、「スローガン」とも言い換えられます。古くから日本人に親しまれてきた俳句同様に五・七・五調でつくることが多く、言いたいことを聞き手にわかりやすく伝えられます。
- 私の標語は「有言実行」です。
- 建設現場や工場では、社員に注意喚起するための安全標語が用いられている。
2.座右の銘
「座右の銘」とは、いつも自分の心に留めておき、戒めとする言葉をいいます。故事や慣用句、ことわざなどを「座右の銘」とする人が多く、自分の生き方の指針とします。座席の右側である「座右」には、かたわらや身近などの意味があります。
- 当社の入社試験では、座右の銘を聞くのが通例である。
- 座右の銘を尋ねられたので、マハトマ・ガンジーの言葉を借りて「明日死ぬかのように生きろ」と答えた。
3.人生訓
「人生訓」とは人はどう生きるべきか、人生とは何かについての教えや言葉をいいます。人生について限定されている点が、「モットー」と異なります。四字熟語や標語のように短い言葉ではなく、偉人の言葉のような比較的長めの一文を「人生訓」とする人もいます。
- 私はチャールズ・ダーウィンの言葉を人生訓にしています。
- この人生訓を唱えると、楽しく生きようと思えてくる。
4.理念
「理念」とは、ものごとのあるべき姿の元となる考え方をいいます。自分の使命や存在意義を形作るための、基本的な価値観を意味しています。
- どんなに大層な理念を持とうと、社会のルールに反する行為は許されない。
- 確固たる理念を持っているからこそ、周囲に惑わされずに済む。
5.テーマ
「テーマ」とは、行動の土台となる考えのことをいいます。ものごとについて考えるときのスタートラインにあたるもので、そのものごとを行う上での理想であるともいえます。語源はドイツ語の「Theme」で、「主題」や「骨子」、「ポイント」などの意味があります。
- 私はここで学んだことを今後のテーマにしようと思います。
- このテーマは、彼の研究の核となっている。
企業の「モットー」の類義語・言い換え
企業の「モットー」の類義語、言い換え表現には「経営理念」や「企業理念」などがあります。「ミッション」と「ポリシー」、「クレド」など似た意味のカタカナ語も一緒に意味を知っておきましょう。
1.経営理念
「経営理念」とは企業の理想像や、経営者の考えに基づいた活動方針のことをいいます。「経営理念」は企業によっては「社訓」や「社是」、「行動指針」や「ファイロソフィー」などとも呼ばれます。
- 経営理念を掲げると、全社員が自社の存在意義を共有できるメリットがある。
- 経営理念に珍しい言葉を使う必要はなく、経営者の想いを素直に言葉にするのが望ましい。
2.企業理念
「企業理念」とは、企業のあり様や存在意義を言葉にしたものをいいます。その企業が何のために存在し、どんな目標に向かって活動しているのか、強みは何かを言語化したものです。マインドアイデンティティ(MI)ともいい、企業活動の判断基準や意思決定の基となります。
- 企業が長く存続していくためには、企業理念をしっかりと持つことが大切だ。
- 採用ブランディングは、企業理念を採用コンセプトに落とし込むことからスタートさせる。
3.ミッション
「ミッション」には「役割」や「目的」、「使命」などの意味がありますが、経営では個人や組織が社会で果たすべき任務、使命のことをいいます。「企業活動を何のためにするのか」が「ミッション」にあたります。「ミッションステートメント」とは「ミッション」を文章にし、組織内で共有共有できるようにしたものです。
- 部内に新規顧客の10社獲得をミッションとしたチームを作ることになった。
- 社内の人間や関係者から意見を集め、協議しながらミッションステートメントを完成させた。
4.ビジョン
「ビション」とはこれからの構想や未来像、それらを文章化したものを意味します。「組織ビジョン」や「経営ビジョン」など企業や団体だけでなく、「キャリアビジョン」など個人の未来像についても使える言葉です。
- チーム全員でビジョンを共有することが、仕事を成功させるコツです。
- 先のビジョンが見えない状況ですが、知恵を出し合って突破口を開きましょう。
5.ポリシー
「ポリシー」には「政策や経営などの方針」のほか、「ものごとを行うときの方針や原則とすること」の意味もあります。また、個人が生き方の方針にしていることも「ポリシー」と表現できます。「プライバシーポリシー」とは、企業が個人情報を扱うときの方針をいいます。
- 当社のポリシーは少数精鋭です。
- 弊社のプライバシーポリシーはホームページに掲載しています。
6.クレド
「クレド」とは、企業の社員の行動指針や心がけるべき信条のことをいいます。語源のラテン語「Credo」には「約束」や「志」、「信条」の意味があり、コンプライアンス経営(法令遵守経営)や企業改革、組織環境の開発などを目的につくられます。「クレド」は「経営理念」や「企業理念」と同じ意味で使われることもあります。
- 社内にクレドを浸透させるには、社員に導入の目的を説明する必要がある。
- 企業の価値観を社員に浸透させるため、クレドカードを作成した。
「モットー」と似た言葉との違い
「モットー」に似た言葉である「信条」と「コンセプト」の違いをそれぞれ紹介します。例文を参考に、使い方の違いもチェックしておきましょう。
1.「モットー」と「信条」との違い
「信条」とは「自分が行動する基準として強く信じていること」と、「キリスト教の信仰の基準」をいいます。「モットー」が集団や企業全体の行動指針を指すことが多いのに対し、「信条」は主に個人の行動の基準をいうときに使われます。
- 仕事は自分のためだけでなく、家族のために頑張ることを信条としています。
- 私は最後まで必ずやり遂げることを信条にして、業務にあたっています。
2.「モットー」と「コンセプト」との違い
「コンセプト」には「構想」や「概念」の意味があります。ものごと全体についての基本的な考え方、何を軸にしてものごとを行うかを「コンセプト」と表現します。「コンセプト」が商品や広告を企画するときに使われるのに対し、「モットー」は個人や企業の行動指針をいうときに使われるのが異なります。
- 新しい企画のコンセプトは今週中に提出してください。
- このカフェは、落ち着いた空間でくつろげることをコンセプトにしている。
「モットー」の使い方と例文集
「モットー」の使い方を例文で紹介します。
- 私は「思い立ったら即行動」をモットーにしています。
- 弊社は「おいしく安全に」のモットーを実践し続けるよう努めていきたい。
- 面接ではモットーを伝えて一生懸命働く意思と協調性をアピールできると、好印象につながる。
まとめ
「モットー」とは個人が使うときは「標語」や「座右の銘」、企業が使うときは「経営理念」や「企業理念」などと似た意味を持ちます。短い言葉で他人にわかりやすい、四字熟語やことわざを「モットー」とする人は多くいます。感銘を受けた言葉や好きな言葉を「モットー」にして、仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。