「上記(じょうき)」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉です。この記事では「上記」の類義語である「前記・先述・上述・以上」との違いや反対語・英語での言い回しについて例文を交えて徹底解説しています。
「上記」の読み方
「上記」を深く理解するために、まずは使われている2つの漢字それぞれの読み方を一つずつ深掘りしていきます。
・「上」は音読みで「ジョウ/ショウ」訓読みで「あ(がる)・あ(げる)/うえ/うわ/かみ/のぼ(る)/のぼ(す)/のぼ(せる)/たてまつ(る)/ほとり」と読みます。
・「記」は音読みで「キ」訓読みで「しる(す)」と読みます。
それぞれ2つの漢字の音読みを組み合わせ、「上記」は「じょうき」と読みます。
「上記」の意味とは?
「上記」の意味を深く理解するために、使われている2つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
・「上」は「あがる・あげる・のぼる・低い所から高い所へ移動する/うえ・かみ/位置/地位や価値や年齢などが高い/すぐれているさま/時間や順序や物事の流れなどの前の方/献上する/中央へいく/おかみ・女主人」を意味します。
・「記」は「書きしるす・書きとめる/おぼえる・心にとどめる/ある事柄を書きしるしたもの/しるし・記号」を意味します。
それぞれ2つの漢字の持つ意味を組み合わせると、「上記」は「時間や順序や物事の流れなどの前の方、ある事柄を書きしるしたもの」となり、「上または前に書いてあること」を表現します。
「上記」の類義語と違い
次に、「上記」の類義語とその違いを解説します。「上記」の類義語には次の言葉があります。
・前記(ぜんき)
・先述(せんじゅつ)
・上述(じょうじゅつ)
・以上(いじょう)
ひとつずつ見ていきましょう。
「上記」の類義語と違いその1「前記」
「上記」の類義語1つ目は「前記」。「前記」は「ぜんき」と読み、「前記」の意味を深く理解するために、使われている2つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
・「前」は「まえ・さき・時間的に場所的に先のほう/まえ・さき・あらかじめ・先だって/過去・昔」の意味があります。
・「記」は「書きしるす・書きとめる/おぼえる・心にとどめる/ある事柄を書きしるしたもの/しるし・記号」を意味します。
それぞれ2つの漢字の持つ意味を組み合わせると「前記」は「あらかじめ・先だって、ある事柄を書きしるしたもの」となり、「上または前に書いてあること」を表現します。ですから「前記」は「上記」の同義語です。
「上記」の類義語と違いその2「先述」
「上記」の類義語2つ目は「先述」。「先述」は「せんじゅつ」と読み、「先述」の意味を深く理解するために、使われている2つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
・「先」は「さき・まえ・位置が前のほう/時間が早いほう/第一/さきんずる/さきだつ・さきにする/まず・さきに・はじめに・第一に」の意味があります。
・「述」は「のべる・すじみちを立てて話す・説明する/したがう・つぐ/受けつぎ伝える/あつめる・あらわす」の意味があります。
それぞれ2つの漢字の持つ意味を組み合わせると「先述」は「さきだって、筋道をたてて話す」となり、「前に述べたこと」を表現します。
ですから「先述」は「上記」の同義語ではありますが、「先述」は書き言葉・話し言葉のどちらにも使い、「上記」は話し言葉で使われます。
そして「先述」は文章の縦書き・横書きどちらでも使える言葉です。縦書きの場合には「上記」ではなく「先述」を使うとよいでしょう。
「上記」の類義語と違いその3「上述」
「上記」の類義語3つ目は「上述」。「上述」は「じょうじゅつ」と読み、「上述」の意味を深く理解するために、使われている2つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
・「上」は「あがる・あげる・のぼる・低い所から高い所へ移動する/うえ・かみ/位置/地位や価値や年齢などが高い/すぐれているさま/時間や順序や物事の流れなどの前の方/献上する/中央へいく/おかみ・女主人」を意味します。
・「述」は「のべる・すじみちを立てて話す・説明する/したがう・つぐ/受けつぎ伝える/あつめる・あらわす」の意味があります。
それぞれ2つの漢字の持つ意味を組み合わせると「上述」は「さきだって、筋道をたてて話す」となり、「前に述べたこと」を表現し、「上述」は「上記」の同義語です。
「上記」の類義語と違いその4「以上」
「上記」の類義語4つ目は「以上」。「以上」は「いじょう」と読み、「以上」の意味を深く理解するために、使われている2つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
・「以」は「もちいる・使用する・範囲・方向などの基点/…によって/おもう・考える/率いる/理由/すでに/非常に・大変」を意味します。
・「上」は「あがる・あげる・のぼる・低い所から高い所へ移動する/うえ・かみ/位置/地位や価値や年齢などが高い/すぐれているさま/時間や順序や物事の流れなどの前の方/献上する/中央へいく/おかみ・女主人」を意味します。
それぞれ2つの漢字の持つ意味を組み合わせると、「以上」は「範囲・方向などの基点、上」となり、「それより前に述べたこと・手紙やメールなどの末尾に記すことにより文章の終わりを示す」言葉です。
「上記」の対義語
「上記」の対義語をあげると、次の言葉になります。
・下記(かき)
・後書(あとがき)
・以下(いか)
・後述(こうじゅつ)
ひとつずつ見ていきましょう。
「上記」の対義語その1「下記」
「上記」の対義語1つ目は「下記」。「下記」は「かき」と読み、「後に記してあること、下に記載してあること」を表現します。例文を見てみましょう。
・イベント会場の詳細は、下記の通りです。
・社内ミーティングについて、下記の通り申し伝えます。
「上記」の対義語その2「後書」
「上記」の対義語2つ目は「後書(き)」。「後書」は「あとがき」と読み、「手紙や書物などの最後に書き添える言葉」です。ですから正しくは「上記」の対義語ではなく、類義語の対義語となります。例文を見てみましょう。
・この小説は、後書を含めてとても面白かった。
・漫画本の後書きを読むと、作品の背景や裏側をうかがい知れることがある。
「上記」の対義語その3「以下」
「上記」の対義語3つ目は「以下」。「以下」は「いか」と読み、「範囲・方向などの基点の下」を表現します。正しくは「以下」は「以上」の対義語であり、「上記」の類義語の対義語です。例文を見てみましょう。
・以下に記した内容を今一度ご確認お願いいたします。
・以下の内容が網羅されていれば、審査に通過しやすくなります。
「上記」の対義語その4「後述」
「上記」の対義語4つ目は「後述」。「後述」は「こうじゅつ」と読み、「あとに述べること」を意味します。読み言葉・書き言葉どちらでも使え、「先述」の対義語。書き言葉でいえば「上記」の対義語といえます。文章で記す際には縦書きでも横書きでもどちらでも適応できる言葉です。
「上記」の英語表現
「上記」は英語の「above」を使って表現します。例文で見ていきましょう。
- I would like to explain as above.(上記のように説明申し上げます。)
- apart from the above(上記のほか)
- the above matters(上記の件)
- the above facts(上記の事実)
- as above/as noted above(上記のとおり)
- the above explanation(上記の説明)
「上記」の使い方と例文集
次に、「上記」の使い方と使うときの注意点を見ていきましょう。
「上記」の使い方と使用するときの注意点
「上記」は漢字のもつ意味からも、書き言葉であり話し言葉ではありません。また文章で表現する場合、横書きであれば「上記」は「上に記した内容」の意味で使えますが、縦書きの場合には使えません。縦書きの場合には「上記」ではなく「右記」と表現します。縦書きの場合の「前に書かれた内容」は、文章の右側にあたるためです。見落としがちな盲点なので、関連用語として頭に入れておくとよいでしょう。
「上記」の例文集
「上記」の例文集です。
- 上記の通り
- 上記を踏まえて
- 上記の理由から
- 上記以外
- 上記と同じ
- 上記の内容
- 上記で述べたように
- 上記について
それぞれを見ていきましょう。
「上記」の例文集その1「上記の通り」
「上記の通り」の例文を紹介します。
・イベント会場の詳細は、上記の通りでございます。ご来場をお待ち申し上げます。
「上記」の例文集その2「上記を踏まえて」
「上記を踏まえて」の例文を紹介します。
・上記を踏まえて(ふまえて)ご検討いただけると幸甚です。
「上記」の例文集その3「上記の理由から 」
「上記の理由から 」の例文を紹介します。
・上記の理由から、誠に申し訳ございませんがこの度は辞退申し上げます。
「上記」の例文集その4「上記以外」
「上記以外」の例文を紹介します。
・上記以外にもアイデアがございましたらご提案をお願いいたします。
「上記」の例文集その5「上記と同じ」
「上記と同じ」の例文
・上記と同じようにご対応いただけると助かります。
「上記」の例文集その6「上記の内容 」
「上記の内容」の例文を紹介します。
・上記の内容に準じて、宜しくおねがいします。
「上記」の例文集その7「上記で述べたように」
「上記で述べたように」の例文を紹介します。
・上記で述べたように、今回の合同ミーティングでは多くの改善点が見出せました。
「上記」の例文集その8「上記について」
「上記について」の例文を紹介します。
・上記について、何卒ご検討のほど宜しくお願いいたします。
まとめ
「上記」は「上または前に書いてあること」を示す書き言葉です。横書きの場合にのみ使え、縦書きの場合には「上記」のかわりに「右記」と表現します。対義語は「下記」で、「上記」同様に横書きでのみ使える書き言葉です。文章を作成する上で、縦書き・横書きで使う単語や言葉が異なるのは意外と盲点です。「上記」も該当するので、覚えておくとよいでしょう。