「もしくは」は、選択肢の中から選ぶことを示すときに使われる言葉です。 ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、正しい用法や「または」との違いが気になりますよね。本記事では、「もしくは」と「または」の違い、敬語や類語、英語・中国語表現など紹介するので「もしくは」を正しく理解する参考にしてください。
「もしくは」の意味とは?
「もしくは」は、選択肢の中から選ぶことを示すときに使われる言葉です。たとえば、aとbのうち1つを選択するときに、「a、もしくはbを選んでください。」といいます。
漢字では「若しくは」と書き、官公庁が出す公用文では漢字表記にすることが定められています。日常で使う際には、「もしくは」とひらがな表記すれば問題ありません。また、ひらがな表記は「もしくは」であり、「もしくわ」と表記するのは誤りなので注意しましょう。
「もしくは」の由来・語源
「もしくは」の由来・語源は、漢文です。
漢文を訓読する際に、「若」を「ごとし」と読みますが、「もしくは」はそこから転じてできた言葉です。「若(ごとし)」は、似ているものを表すときに使われましたが、後に選択を表すようになり、現在使われている「もしくは」となりました。
「もしくは」の敬語表現
「もしくは」には、敬語の活用がありません。「もしくは」は接続詞だからです。しかし、敬語とともに用いても問題ありません。「もしくは」を使うときは、ほかの部分の敬語表現が間違っていないかに気を配りましょう。
「もしくは」の用法と例文集
ここでは、「もしくは」の用法と例文を解説します。「もしくは」には、使用するときの注意点もあるので確認して、間違いがないようにしましょう。
「もしくは」の使い方
「もしくは」は、選択肢を複数あげて1つを選ぶときに、接続詞として使います。選択や対比を意味する接続詞であり、「それとも」や「あるいは」も同類の接続詞に当てはまります。
たとえば、「a、もしくはb」、「a、b、もしくはc」のように使いますよ。フォーマルな言葉なので、ビジネスの場で用いることも可能です。
「もしくは」を使用するときの注意点
「もしくは」を使用するときの注意点は2つあります。シンプルな表現ですが、注意すべき点もあるので押さえておきましょう。
「もしくは」を法律用語として使う場合、単体使用不可
「もしくは」を法律用語として使う場合、単体使用ができません。「a又は(b若しくはc)」のように、又はよりも小さいくくりを示すときに使われます。とはいえ、日常やビジネスシーンでは、「aもしくはb」と使って問題ありません。
「もしくは」に2つ以上選択肢がある場合、句読点使用
「もしくは」に2つ以上の選択肢がある場合、句読点を使いましょう。「a、もしくはb」、「a、b、もしくはc」のように表記します。句読点を用いるとわかりやすくなるので、意識してみてください。
「もしくは」の例文
「もしくは」の例文は、以下の通りです。
- 本日、もしくは明日中にご連絡ください。
- 電車、もしくはバスでお越しください。
- 出席、欠席、もしくは途中から出席のいずれかをお選びください。
- 宿泊、もしくは日帰りお好きな方で構いません。
- お持ち帰りされますか?もしくは、ここで召し上がりますか?
- 明日はお休みですか?もしくは、お仕事ですか?
「もしくは」と「または」の違い
「もしくは」と「または」の違いは、日常会話と法律用語の場合に分けて考える必要があります。日常会話の場合は違いはなく、法律用語の場合は違いがあります。順に見ていきましょう。
日常会話で使う場合は同じ意味
日常会話で使う場合は、「もしくは」と「または」は同じ意味で使われます。複数ある選択肢の中から1つを選ぶときに用います。
たとえば、「焼肉、もしくはお寿司が食べたいです。」と「焼肉、またはお寿司が食べたいです。」は、ともに「焼肉かお寿司が食べたい」ことを意味しますよ。
法律用語では「もしくは」が「または」よりも小さいくくり
法律用語として使う場合は、「もしくは」が「または」よりも小さいくくりになります。先述したように、「aまたは(bもしくはc)」のように使わなければいけません。選択肢の中の大きなくくりを「または」でつなぎ、小さなくくりを「もしくは」でつなげます。
たとえば、「みかん、またはきゅうりもしくはトマト」の場合、果物と野菜を大きなくくり「または」でつなぎ、きゅうりとトマトの野菜の種類を小さなくくり「もしくは」でつなげています。法律用語は日常やビジネスシーンであまり用いることはないので、頭の片隅に入れておく程度で問題ありません。
「もしくは」の類義語・言い換え表現
「もしくは」の類義語・言い換え表現を3つ解説します。以下の3つです。
・それとも
・または
・あるいは
どれも日常的に同じような意味で使っている言葉ですね。
順に見ていきましょう。
それとも
「それとも」も「もしくは」と同様に、選択肢の中から1つを選ぶときに用いられる表現です。ただし、疑問文でのみ用いられる点に注意しましょう。例文は以下の通りです。
- コーヒーにしますか?それともお茶にしましょうか?
- 歩いていきますか?それとも車で送りましょうか?
- ここで食べて行かれますか?それともお持ち帰りなされますか?
- 明日は雨でしょうか?それとも晴れるのでしょうか?
- パソコンを持っていますか?それとも持っていないですか?
「コーヒーそれともお茶をお選びください」のように、平叙文では用いるとおかしな文になってしまいます。間違えることは少ないですが、「もしくは」との違いとして理解しておきましょう。
または
「または」も「もしくは」と同様に、選択肢の中から1つを選ぶときに使える表現です。「もしくは」と「または」の違いを解説する項目で述べたように、日常会話で使うときに大きな意味の違いはありません。
ただし、法律用語のときは、使い分けがあります。日常会話で使う「または」の例文は、以下の通りです。
- 猫、または犬のどちらか飼われているのですか?
- ごはん、またはぱんのどちらになさいますか?
- えんぴつ、またはボールペンでお書きください。
- お茶、またはお水をご持参ください。
- 赤ペン、または青ペンで記載ください。
「または」と「もしくは」は自分が使いやすいと思う方を使いましょう。
あるいは
「あるいは」も「もしくは」と同様に、選択肢の中から1つを選ぶときに使います。ただし、「あるいは」は、選択肢のうちどちらかを必ず選ぶといった意味合いが強い表現です。
- 進学、あるいは就職する。
- 出席、あるいは欠席をお選びください。
- 休む、あるいは働くどちらかを選んでください。
- 肉料理、あるいは魚料理どちらにしますか?
- 傘、あるいはカッパを持ってきてください。
選択肢のうちどちらかを必ず選択しなければならないときは、「あるいは」を使ってみましょう。
「もしくは」を外国語でいうと?
ここでは、「もしくは」の英語表現と、中国語表現を確認しておきましょう。英語、中国語の順で解説します。
英語でいうと?
「もしくは」を英語でいうと、「or」となります。「or」は、「もしくは」のほかにも、「それとも」や、「または」も意味します。英語の文章を日本語に訳すときは、どの言葉に訳すと意味が伝わりやすいか、考えながら訳してみましょう。
中国語でいうと?
「もしくは」を中国語でいうと、「或」となります。「或」は、「もしくは」のほかに、「あるいは」も意味します。「もしくは」、と「あるいは」は、日本語で類義語だからですね。合わせて覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「もしくは」の使い方について解説しました。
「もしくは」は、選択肢の中から1つを選ぶときに使われる言葉です。「もしくは」は、ビジネスシーンを含めて日常的によく使われる言葉です。難しい意味はありませんが、本記事を参考に一度理解を深めておきましょう。
以下に、重要なポイントをまとめます。
・日常的にはひらがな表記「もしくは」を用いる。漢字表記「若しくは」は公用文で使われる。
・「もしくは」には、敬語の活用がない。(接続詞なので)
・「もしくは」を法律用語として使う際は、単体使用不可。
・「もしくは」に2つ以上の選択肢がある際は、わかりやすくするために読点を使う。
・「もしくは」の類義語は、それとも、または、あるいは。
・「もしくは」と「または」の違いは、「もしくは」が小さいくくり、「または」が大きいくくり。(法律用語で使うとき)
・「もしくは」の英語表現は「or」、中国語表現は「或」。
- 「もしくは」は、選択肢の中から選ぶことを示すときに使われる言葉です。
- 日常的にはひらがな表記「もしくは」を用い、漢字表記「若しくは」は公用文で使われます。
- 「もしくは」は接続詞なので、敬語の活用がありません。
- 「もしくは」を法律用語として使う際は、単体での使用ができません。
- 「もしくは」に2つ以上の選択肢がある際は、わかりやすくするために読点を使います。
- 「もしくは」の類義語は「それとも」「または」「あるいは」です。
- 「もしくは」を法律用語で使うとき、「または」の違いは、「もしくは」が小さいくくり、「または」が大きいくくりを意味します。
- 「もしくは」の英語表現は「or」、中国語表現は「或」です。