ビジネスシーンにおいて重要なコミュニケーションツールのひとつであるメール。その中でも「お礼メール」は、信頼関係を深めることも可能なツールのひとつです。本記事では、送信する際に注意すべきタイミングやポイント、状況別の例文を紹介します。
「お礼メール」の正しい書き方のポイントやマナー
「ご厚意」という言葉は、ビジネスシーンで多く使われる言葉のひとつです。厚意とは、「他人に対して思いやりのある配慮」という意味で、相手からこの「ご厚意」を受けたときに感謝の気持ちを伝えることは、社会人として守るべきマナーです。そのツールとして、メールを活用する機会が多くあります。この「お礼メール」の書き方や送り方にはポイントやマナーがあるので、ひとつずつ詳しく紹介します。
いつ送ればいい?「お礼メール」を送るタイミング
「お礼メール」を送ることは、感謝の気持ちを伝える行為であり、その気持ちが伝わりやすいタイミングがあります。それは「できるだけ早いタイミング」です。午前中にあったことであれば、その日の午後や夜までに。遅くとも翌日までには送りましょう。
一週間や一カ月という時間がたってからお礼を伝えると、感謝の気持ちは伝わりにくくなってしまいます。「お礼メール」を送る側ではなく、受け取る側の立場になって考えてみると、「お礼メール」は早いタイミングで送った方が相手側の感謝の意向が伝わりやすいことがわかるのではないでしょうか。
わかりやすく明確な件名を!
ビジネスシーンでは日々多くのメールのやり取りが行われています。「お礼メール」にかかわらずビジネスメールは、相手側が一目で要件がわかる明確な件名にすることが大切です。
「お礼メール」の一例として、「先日の〇〇のお礼」など、何に対するお礼であるのかを表記しましょう。また、初めてメールを送る相手には「先日の〇〇のお礼/△△株式会社▢▢」などと会社名+名前を表記することで、受取側の見落としを防ぐこともできます。
お礼内容は具体的に伝えるよう
ただ単に「ありがとうございました」と伝えるだけでは感謝の気持ちは伝わりにくいでしょう。「何を」「どのように」感謝しているのかを具体的に伝えると気持ちが伝わりやすくなります。
例えば、下記2つのどちらの文章がより感謝の気持ちが伝わりますか?
- 先日はありがとうございました。
- 先日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
「忙しい中時間を作ってくれたこと」と、理由も添えて感謝を表現した文章。後者の方が感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
「取り急ぎ」は失礼にあたる
「取り急ぎお礼まで」というフレーズは失礼にあたります。「取り急ぎ」という言葉の意味を理解すれば、なぜ失礼にあたるのかが理解できるでしょう。
「取り急ぎ」とは「時間がなくて十分な対応はできないけれど、とりあえず急いで対応する」という意味です。そのような意味の言葉を使って感謝を伝えることは適切ではありません。
間違った使い方をすると相手にも悪い印象を与えてしまうので注意しましょう。
「取り急ぎお礼まで」ではなく、「まずはメールにてお礼申しあげます」などと伝える方がスマートです。
定型文をそのまま使用しない
「お礼メール」は早いタイミングで送るのがポイントではありますが、お決まりの定型文を送るだけでは感謝の気持ちが伝わらないかもしれません。例文を参考にしながら、エピソードやその時の気持ちなどを織り込み、オリジナルの文章で感謝を伝えるのがコツです。
受け取った側が嬉しくなるような文章を心がけることでよい印象を与え、信頼関係を築くきっかけになる可能性もあります。
感謝の気持ちが伝わりやすい基本のフレーズ
「感謝の気持ちが伝わりやすいフレーズ」といっても、相手との関係性や状況などによって異なってきます。正しい使い方をしないと感謝の気持ちが伝わりにくくなってしまうので、シチュエーションの違う社外編と社内編に分けて紹介します。
社外編
社外に対しての感謝の気持ちを伝えるフレーズは、フォーマルな表現が望まれます。「ありがとうございます」の言葉は、下記のように変換できます。
- 厚く御礼申し上げます
- 心よりお礼申し上げます
- 重ねて御礼申し上げます
- 深謝しております
このようによりフォーマルな表現を使うことにより、丁寧で配慮のある文章になります。
社内編
社内の親しい上司や先輩、同僚に対しての感謝を伝えるフレーズは、カジュアルでありながらビジネスメールであることを意識して下記のような表現にするとスマートです。
- 本当にありがとうございます
- 感謝しております
- 感謝の気持ちでいっぱいです
相手との関係性や状況、距離によって使い分け、気持ちが十分伝わるフレーズを選択しましょう。
感謝を伝える締め・結びの言葉フレーズ
ビジネスメールの締め・結びの文章は、最後に思いやりや気遣いを添える大切な役割があります。本文のフレーズと同じように状況や相手との関係性によって適切なフレーズが異なります。カジュアルな表現としては、「よろしくお願いいたします」や「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」などを使います。フォーマルな表現としては「今後ともよろしくお願い申し上げます」や「今後ともご高配のほど、よろしくお願い申し上げます」などが適切です。
より深い感謝の気持ちを伝えたい場合は、「このたびは心より感謝申し上げます」や「このたびは謹んでお礼申し上げます」などの言葉で締めると一層感謝の気持ちが伝わることでしょう。
状況別における例文
ここでは「お礼メール」の例文を社外編と社内編に分けて紹介します。
社外編
【件名】〇〇のお礼
【本文】
いつも大変お世話になっております。
△△株式会社の▢▢と申します。
先日は、大変お忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございました。
御社のご要望や課題を率直にお伺いでき、大変参考になりました。
〇〇様よりいただいたご要望に沿って改めて進めさせていただきたく存じます。
また、ご不明な点がございましたらご連絡ください。
今後ともご高配のほど、よろしくお願い申し上げます。
社内編
【件名】〇〇ご協力のお礼
【本文】
お疲れさまです。
△△部の▢▢です。
このたびは皆様お忙しいにもかかわらず、〇〇にご協力いただきありがとうございました。
皆様にご協力いただいたおかげで、無事に目標達成できました。
これも皆様のお力添えがあったこその結果であり、感謝の気持ちでいっぱいです。
今後もお力をお借りすることがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
まずはメールにてお礼申し上げます。
お礼メールへの返信
「お礼メール」を送信する際のポイントやマナーがあるように、「お礼メール」を受け取った際の「返信」のポイントやマナーもあります。ここでは返信における基本的なマナーや書き方について紹介します。
返信のポイントやマナー
「お礼メール」が届いたらすぐに返信をすることが基本です。遅くとも24時間以内に返信することを心がけておきましょう。長文である必要はありませんが、お礼のお返しとして丁寧に感謝の意を伝えることがポイントです。また、件名は変更せずに「Re.〇〇」として返信するのがマナーです。相手は「Re.」がついていることで自分が送ったメールの返信であると認識ができます。
書き出しフレーズ
書き出しのフレーズは感謝の意を伝える言葉を使うことをオススメします。「丁寧なお心遣いをいただきありがとうございます」や「わざわざお礼をいただき恐れ入ります」など簡潔でありながらも丁寧な表現を使うのことで気持ちが伝わりやすくなります。
締め・結びフレーズ
ビジネスシーンでのメールのやり取りは、自分で出したメールで終了させるのがベストだとされています。そこで、相手への気遣いとして「このメールの返信に関してはお気遣いされませんように」や「本メールへの返信は不要です」などという言葉で締めくくるのがベストです。返信不要である旨を相手に伝えることによって、さらに丁寧なメールになります。
例文
【件名】Re.〇〇のお礼
【本文】
いつも大変お世話になっております。
わざわざお礼メールをいただき、恐れ入ります。
昨日はありがとうございました。
▢▢様のお心遣いに感謝いたします。ありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、このメールの返信に関してはお気遣いされませんように。
まとめ
ビジネスシーンでの「お礼メール」は、相手への思いやりや気遣いを表現する大切なコミュニケーションツールのひとつです。感謝の気持ちを伝えるポイントとしては、できるだけ早く送ることと、オリジナルの文章であることです。「お礼メール」をもらって不快に感じる人はいないのではないでしょうか。「お礼メール」を上手に使えば、心が温まり円滑な関係を築いていけるでしょう。さらに信頼関係を深められれば、ビジネスチャンスを広げられる可能性もあります。ぜひポイントやマナーを理解して有効活用していきましょう。