サッカーの本田選手が「きよきよしい」と誤読して話題になった「清々しい」という言葉は、定型句、季節の挨拶文の中でよく使われます。今回は、社会人なら理解しておきたい「清々しい」の読み方から、正しい使い方、類語など詳しく解説していきます。
「清々しい」の読み方
「清々しい」は「すがすがしい」と読みます。「きよきよしい」ではありませんので注意してください。「清々しい風」などのように定型句で使う場合と、季節の挨拶に使う場合があります。
「清々しい」の意味とは?
「清々しい」には3つの意味があります。順番に見ていきましょう。
意味1 さわやかで気持ちがよい
「清々しい朝の大気」「清々しい表情」「清々しい行為」などの定型句で使う「清々しい」は、「さわやかで気持ちがよい」という意味を表しています。「清」の字は、綺麗で澄んでいることを表しており、この「清」の字を二回重ねることで、「より一層」という強調表現になっています。いろいろな意味がある「清々しい」という言葉ですが、近年では、この意味で使われることがほとんどなので覚えておきましょう。
意味2 ためらいがなく思い切りがよい
古語でよく使われていた「清々しい」には、「ためらいなく思い切りがよい」という意味もあります。物事にそれほど執着しない様子を表しています。
意味3 滞らずに事が運んでいる
こちらも古語でよく使われていた「清々しい」の意味です。「物事がとどこおりなく行われる」「ためらいなく速やかに行われる」などの意味があります。
「清々しい」の由来・語源
「清々しい」の語源は「さわやかでこころよい」という意味で使われていた古語「すがすが」です。「清」には「水が澄んでいる」という意味があり、転じて、「にごりがない」「よごれていない」「さっぱりとして気分がいい」「心や行動に邪念がない」などの意味をもつようになりました。
「清々しい」の類義語・言い換え
ここでは「清々しい」の類義語を2つと言い換え表現について紹介します。
1.爽快
「清々しい」に最も意味の近い類義語は「爽快」です。字のごとく、「爽(さわ)やかで快(こころよ)い」という意味があります。「気分爽快」や「山頂からの絶景は爽快だ」などと使い、「清々しい」にはつらつとした様子が加わったニュアンスです。「清々しい」とほぼ同じなので、言い換えて使っても同じ意味として伝わります。
2.清潔感のある
「清々しい」の類義語にとして「清潔感がある」も挙げられます。身だしなみが清潔で小綺麗な様子を表します。
「清々しい」の対義語・反対語
ここでは、「清々しい」の対義語・反対語を2つと例文もあわせて紹介します。
1.鬱陶しい
「清々しい」の対義語に「鬱陶しい」があります。「鬱陶しい」は「うっとうしい」と読み、「鬱陶しい天気が続く」や「子どもが電車で騒いで鬱陶しい」などと使います。「邪魔でわずらわしい」という意味を持ち、状態や天気、人などさまざまなシチュエーションで使えますが、人に対して使う場合は、いい意味ではないので気をつけましょう。「彼は清々しい人だ」を「彼は鬱陶しい人だ」とすると、まったく逆の意味で使えます。
2.癪に障る
「清々しい」の対義語「癪に障る」は、「しゃくにさわる」と読み、「彼だけ注目されるのは、癪に障るなぁ」「彼の歌い方は、なぜか癪に障る」などと使います。「物事が気に入らなくて不快に思う」という意味を持ちます。
「清々しい」の英語の意味
ここでは「清々しい」の英語訳を2つと、例文もあわせて紹介します。
refresh
「清々しい」の英訳として最も当てはまるのが「refresh(リフレッシュ)」です。「refresh」には主に「気分をすっきりさせる」や「爽快にする」などの意味があります。「清々しい気持ちです」は「I feel refreshed」、「清々しい空気」は「refreshed air」と表現できます。
crisp
パリパリ、シャキシャキ、サクサクした食べ物の食感を表現する際によく使われる「crisp(クリスプ)」には、「清々しい」という意味もあります。主に冷たくてすっきりした空気を表現するときに使います。「It’s a crisp day!」「清々しい天気ですね!」という意味になります。
「清々しい」の使い方と例文集
ここでは、「清々しい」を正しく使えるように、実際に使える例文も紹介していきます。
「清々しい」の使い方
「清々しい」には、手紙やメールの季語として使う場合と、定型句として主にしゃべり言葉として使う場合に分けられます。それぞれの使い方と例文を見ていきましょう。
初夏の季語として使う場合
「清々しい」は初夏の季語の1つとして、手紙やメールの書き出しに時候の挨拶として使えます。初夏といっても7月、8月ではなく、5月上旬から6月上旬ごろに使いますので注意してください。時候の挨拶は、四季のある日本特有のもので、使いこなせれば改まった手紙やメールを送る場面で、きちんと丁寧な印象を与えられます。
定型句として使う場合
定型句で使う場合は、主に「さわやかで気持ちがよい」という意味で使います。「清々しい朝」「清々しい空気」「清々しい季節」「清々しい表情」「清々しい人」などと、天気や気候、人などにも使えます。これらのフレーズ一塊でよく使うので定型句として覚えておきましょう。ちなみに、清々しい人とは、「正しいことははっきりと発言する人」などを指します。
「清々しい」を使用するときの注意点
「清々しい」を使うときの注意点は3点あります。まず1点目は、時候のあいさつで使う場合です。「清々しい」に限らずですが、お見舞いやお詫びの手紙の場合は、時候の挨拶は省略するのが一般的です。季節の挨拶よりも、お詫びや、相手の体調を気遣う言葉が優先されるべきだからです。こういった場合は、単刀直入に本文に入るようにしましょう。また、このような時候の挨拶は、主に手紙や、組織として書面で連絡する場合、一斉メールを出す場合などの改まった場面で使うので、社内メールや何度もやり取りが続いている間柄では使いません。社内メールの場合は、「お疲れ様です。」社外の人には、「お世話になっております。」から文章を始めて要件を伝えるのが一般的です。
2点目は季語として使う場合です。時候の挨拶に季語はつきものですが、似た言葉でも使える季節が違う季語もあるので注意しておきましょう。「清々しい」の類義語である「爽やか」は、実は秋の季語なのをご存じでしたか?「清々しい」が初夏の季語なので、同じく初夏の季語と思いがちですが、しっかり使い分けたいところです。
3点目は、定型句として使う場合です。基本的にはポジティブな言葉として使われる「清々しい」ですが、時に皮肉・嫌味で使う場合があります。よくない、または行き過ぎた行為に対して呆れたときに使います。例えば、「彼の部下に対する横柄な態度は、あそこまでいくともはや清々しい」という使い方は、「誰の前でも変わらない突き抜けた横柄な態度が、もはや気持ちいいほどだ」と、皮肉を込めて「清々しい」を使っています。
「清々しい」の例文
「清々しい」を時候のあいさつで使う場合は、以下のように使います。
- 初夏の候、清々しい季節を迎えましたが、いかがお過ごしですか?
- 風薫る清々しい5月となりました
- 晩春に比べ日差しは輝きを増し、風が清々しく心地よい季節になりました
定型句として使う場合は、以下のように使います。
- 森の清々しい空気が気持ちいい
- 試合には負けたが、全力を尽くしたので今は清々しい気持ちだ
- 彼女は、どんな人にもしっかり自分の意見を伝えられる清々しい人だ
まとめ
「清々しい(すがすがしい)」は、基本的には「爽快」などと同じく「爽やかで気持ちがいい」というポジティブな意味です。主に、手紙やメールの最初に時候の挨拶として使うほか、「清々しい朝」や「清々しい人」などの定型句で使われることが多くあります。ただ、皮肉として使う場合もあり、お見舞いやお詫びの手紙では使わないルールもあるので注意が必要です。