鬼に金棒の意味や使い方とは?類語・反対語・英語表現もわかりやすく例文解説

「鬼に金棒」の意味や使い方とは?類語・反対語・英語表現もわかりやすく例文解説
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有名なことわざのひとつ「鬼に金棒」。みなさんも一度は聞いたことがあると思います。「鬼」には怖いイメージがありますが、「鬼に金棒」は肯定的な意味のことわざで、ビジネスシーンでも使われます。この記事では「鬼に金棒」について解説していきます。

目次

「鬼に金棒」の意味とは?

「鬼に金棒」の意味とは?

「鬼に金棒(かなぼう)」は、「もともと強い者がさらに強くなること」を意味することわざです。

「鬼」は頭に角、口に鋭い牙、手に棍棒(こんぼう)を握る想像上の怪物です。日本には鬼が出てくる昔話が沢山ありますが、桃太郎が退治した鬼も、一寸法師が戦った鬼も、頑丈で強そうですよね。

「金棒」は「鉄棒(かなぼう)」とも書きます。正式名称は「金砕棒(かなさいぼう)」で、南北朝時代に日本で作られた金属製の武器の一種です。一般的には鬼が持つバット型のものが知られています。

参照:Weblio辞書「鬼に金棒」

「鬼に金棒」の由来・語源

「鬼に金棒」の由来・語源

「鬼に金棒」は、鬼が金棒を持った様子を言い表しており、元から強い鬼は素手でも十分に強いのに、武器となる金棒を持つことで、誰も勝てない無敵の存在になることに由来します。

江戸時代に始まったいろはかるたにも「鬼に金棒」が登場します。いろかるたは読み札にことわざが書かれており、そのことわざを表した絵札を取る遊びです。「鬼に金棒」は「お」の札で、絵札には金棒を持った鬼が描かれています。

鬼から始まる似た意味のことわざに、「鬼に金梃(かなてこ)」や「鬼に鉄杖(てつじょう)」があります。「金梃」は鉄製の梃(てこ)、「鉄杖」は鉄でできた杖(つえ)のことです。どちらも金棒のように、敵を殴る武器として使えることから「鬼に金棒」のように「もともと強い者がさらに強くなること」を表しています。

「鬼に金棒」の類義語・言い換え

「鬼に金棒」の類義語・言い換え

「鬼に金棒」の類義語を5つ紹介します。ビジネスシーンでも耳にする言葉もあるので、あわせて覚えておきましょう。

弁慶に薙刀

「弁慶(べんけい)に薙刀(なぎなた)」は、弁慶が薙刀を得意としていたことから、「強い者が得意な物を手に入れる」、つまり「強い者がより一層強くなること」をたとえた言葉です。「鬼に金棒、弁慶に薙刀」と続けて使うこともあります。

「弁慶」は武蔵坊弁慶のことで、平安末期に僧兵として活躍した怪力無双の僧侶です。弁慶が持つ「薙刀」は、岩を貫くほどよく切れるといわれています。

駆け馬に鞭

「駆け馬に鞭(むち)」は、走っている馬に鞭を打つとどんどん速くなるように、「既に勢いがある者にさらに力を加えること」を意味します。「駆け馬に鞭」は「走り馬に鞭」ともいわれます。

ほかに似た表現に、「火に油を注(そそ)ぐ」「飛脚(ひきゃく)に三里(さんり)の灸(きゅう)」「帆掛け船に艪(ろ)を押す」などがあります。

竜に翼を得たる如し

「竜に翼を得たるが如(ごと)し」は、強大な竜に翼を付けることで、更に強くなることから、「もともと強い者にさらに強さを加えること」を意味します。「竜に翼を得たるごとし」「龍に翼を得たる如し」「龍に翼を得たるごとし」と表記されることもあります。

「龍(竜)」は、日本や中国など東洋でよく知られる伝説の獣です。うろこで覆われた蛇のような胴を特徴とした気高い姿で描かれます。

獅子に鰭

「獅子(しし)」はライオンが元になった伝説上の生き物です。「獅子に鰭(ひれ)」は、「百獣の王」と呼ばれるライオンに、魚の鰭を付けると、水中でもその強さを発揮することから、「強い者がますます強くなる」ことをたとえた表現です。

虎に翼

「虎(とら)に翼(つばさ)」は、中国戦国時代の思想家韓非が書いた韓非子の難勢(なんぜい)「為虎傅翼(虎のために翼を付ける)」に由来することわざです。

虎は中国では「百獣の王」と呼ばれ、権力や威厳の象徴とされています。もともと強い虎に、翼を付けて飛べるようにすることから、「ただでさえ強い力を持つものにさらに力が加わること」を意味します。

「鬼に金棒」は肯定的な意味で使われますが、「虎に翼」はあまりいい意味では使われないため、使用する際には注意が必要です。

「鬼に金棒」の対義語は「餓鬼に苧殻」

「鬼に金棒」の対義語は「餓鬼に苧殻」

「鬼に金棒」対義語は「餓鬼(がき)に苧殻(おがら)」です。「餓鬼」は仏教の六道(りくどう)において、常に飢えと渇きに苦しむ餓鬼道に生まれた者のことで、「苧殻」は皮をはいだ麻の茎のことです。飢えて骨と皮ばかりに痩せ細った餓鬼が、折れやすい苧殻を武器にして振り回しても役に立たないことから、「全く頼りにならないこと」をたとえた言葉です。

「鬼に金棒」を英語でいうと?

「鬼に金棒」を英語でいうと?

「鬼に金棒」をそのまま英語にすると「the strength of Samson」となりますが、「鬼に金棒」の意味では伝わりません。では、どのように表現したらよいのでしょうか?「鬼に金棒」に近い英語表現を3つ紹介します。

The more Moors, the better victory

「The more Moors, the better victory」を直訳すると「ムーア人が多ければ多いほど、より良い勝利がある」となります。「Moors」はムーア人のことで、ローマ時代には最強の戦士といわれていたことから、「強いものが沢山いれば、勝利しやすい」ことを表現しています。

Adding wings to a tier

「Adding wings to a tiger」は中国のことわざ「如虎添翼(虎に翼を付けたかのようだ)」や「為虎傅翼(虎のために翼を付ける)」が由来します。日本でも「虎に翼」ということわざがあるように、「強い者がますます強くなる(最強になる)」ことを表しています。

Making a strong person even stronger

「Making a strong person even stronger」を直訳すると「強い人をさらに強くする」となります。「鬼に金棒」の意味を英語にした表現です。

「鬼に金棒」の使い方と例文集

「鬼に金棒」の使い方と例文集

「鬼に金棒」ということわざを、普段の会話の中で聞いたことがありますか?「鬼に金棒」が実際に使われている会話例や例文を見ていきましょう。

「鬼に金棒」の会話例

「鬼に金棒」を使った会話例を見て、使い方をイメージしましょう。

(同僚との会話)
A「あの事業転換に成功した会社、ここ最近さらに売り上げが伸びてきているね。」
B「有能な営業マンをスカウトしたらしいよ。」
A「業績がいい企業に有能な人材が加わるなんて鬼に金棒だ。」
B「うちの会社も負けてはいられないね。」

(友達との会話)
A「昨日の甲子園決勝見た?」
B「見た見た!3年連続優勝とかすごいよね。」
A「今年からあの高校プロ野球の監督が指導するらしいよ。」
B「まさに鬼に金棒、次の甲子園も優勝狙えそうだね。」

「鬼に金棒」の例文

「鬼に金棒」を使った例文を3つ紹介します。

使い方・例文
  • 世界が認める映画監督の作品に、あの有名な実力派俳優が起用されるなんて、まさに「鬼に金棒」だ。
  • 足が速い選手が改良された靴を履いて走ったら、まさに「鬼に金棒」で世界記録を更新した。
  • うちの精鋭チームに君のような期待の星が加わってくれれば「鬼に金棒」だよ。

「鬼に金棒」を使用するときの注意点

「鬼に金棒」を使用するときの注意点

「鬼に金棒」を使う際に注意することを2つ紹介します。

誰でも強くなれる訳ではない

「鬼に金棒」は、金棒を持てば誰でも強くなれる訳ではありません。元から力が強い「鬼」だからこそ、重い金棒を使いこなせるのです。

対義語の「餓鬼に苧殻」に出てくる、痩せ細った餓鬼に金棒を持たせても、振り回す力がないので強くはなれませんし、宝の持ち腐れですよね。

日常生活で使う場合も、高い能力(スキル、資金力)などがあることが前提になります。高い能力がある者が、さらにその能力を活かそうと頑張ることで「鬼に金棒」の状況になります。

「鬼」は、高い能力(スキル、資金力)などがある「人」だけでなく、チームやグループなどの「集団」にも使えます。

相応しい武器が必要

「鬼に金棒」には、「金棒」が「鬼」にとって相応しい道具なので、強い鬼がさらに強くなります。拳銃や弓矢も強い武器ですが、打撃攻撃が得意な鬼に渡しても扱いに困ります。

例えば、強い球団にプロサッカー選手が移籍しても、より強くはなりませんし、有名パティシエに出刃包丁を持たせても、扱いづらくかえって邪魔になりますよね。

「金棒」は、強い「武器」や「道具」だけではなく、高い「スキル」や「資金力」、「人材」や強力な「支援」など意味も含まれています。

まとめ

「鬼に金棒」は「もともと強い者がさらに強くなること」を意味します。ビジネスシーンだけでなく、スポーツなど日常生活でも使われる機会があることわざなので、意味や使い方をしっかり理解しておきましょう。

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