「空虚感」とは「虚しい気持ち」や「うつろな感じ」を表す言葉です。 「空虚感に苛まれる」という表現を聞いたことがある方も多いでしょう。暗い気持ちであることは理解できますが、具体的にどのような気持ちでしょうか?今回は「空虚感」の意味や使い方、類語・対義語・英語表現に加え、空虚感に苛まれたときの対処法も紹介します。
「空虚感」の意味とは?
ここでは「空虚感」という言葉の意味を紹介します。似たような意味を持つ言葉はほかにもありますが、今回はその中でも「空虚感」という言葉に注目して深掘りしていきましょう。
「むなしい気持ち」「虚ろな感じ」を指す
「空虚感」とは「虚しい気持ち」や「うつろな感じ」を表す言葉になります。
心にぽっかり穴が開いてしまった状態を表現し、「寂寥感」と近い意味を持つ言葉です。空虚感に苛まれてしまう原因としてはたくさんの要因が考えられますので、それについては後ほど解説します。
空虚感に苛まれている状態は、精神衛生上を望ましい状態ではありません。放っておくと精神疾患につながる可能性もあるので、何らかの手当てが必要な状態になります。
「空虚感」と「虚無感」のニュアンスの違い
結論から言ってしまうと、この2つの言葉に大きなニュアンスの違いはなく、使い分けも存在しません。ただ厳密には違いがあります。
「空虚」とは、「実質面において、また物理面において空っぽの状態」であることを指します。一方「虚無」とは「精神面において、心理面において空っぽな状態」であることを指します。
つまり「空虚」は「物理的な面」、「虚無」は「精神的な面」で空っぽである状態を表す言葉になります。とはいえ、「空虚感」は精神的な面を表現する言葉でもあり、この使い分けのルールに反します。
つまりこの使い分けは曖昧であるといって過言ではありません。日常生活やビジネスシーンにおいても、空虚と虚無の使い分けが問題になることはないでしょう。
「空虚感」の読み方
「空虚感」は「くうきょかん」と読みます。
「虚」という漢字は「うつろ」と読み、「気が抜けてしまっている状態」を表す言葉にです。つまり「空虚」は、似た意味の言葉が重なって成立している言葉になります。
「空虚感」の類義語・言い替え
「空虚感」という言葉の類語や言い換え表現について紹介します。似たような意味の言葉を知っておくと、語彙を増やすことにつながります。
「喪失感」
「喪失感」とは「大切な物や人を失ってしまったときの辛い感情や心境のこと」を表します。「寂寥感」とも近い意味の言葉で、「心に穴が空いてしまった状態」を表します。
「喪失感」の一般的な例としては、大切な人死別してしまったり、今まで打ち込んでいたものに急に取り組めない環境になってしまったりするような、大きな環境の変化を伴うことが挙げられます。心理的に大きなダメージを負っている状態であるため、心の内はかなり辛い状態になっています。
「虚脱感」
「虚脱感」とは「落ち込んでしまってやる気が出ない状態や心境」を表します。心の底から力を失ってしまっているというニュアンスは、空虚感や喪失感と同じになりますが、虚脱感には「やる気がない」という概念も含まれています。
なんらかのショックなことが原因で意気消沈してしまい、無気力な状態に陥っている心境を表す言葉です。虚脱感に苛まれてしまったときは、無理してやる気を出そうとせず一定の休養をとることをオススメします。
「空虚感」の対義語
「空虚感」の対義語について紹介します。空虚感という言葉がネガティブなニュアンスを持つため、対義語は比較的ポジティブなニュアンスを持つ言葉になります。
「充実感」
「充実感」とは「心が満たされている状態」を表す言葉です。「満足感」や「達成感」とも近い言葉になり、何か目標としていた物事を達成した時や、今置かれている環境に心の底から満足しているときは「充足感」に満たされた状態になります。
ビジネスにおいても自分がやりたい仕事を精一杯取り組めていて、かつ人間関係も良好なものであれば充足感に満ちた人生を送ることになるでしょう。
「やり甲斐」
「やり甲斐」とは、ある物事に取り込む際の手応えや張り合いを表す言葉です。自分の能力に対してあまりにも簡単すぎる仕事の場合はやりがいは感じません。反対に難易度が高すぎる仕事に対してもやり遂げられないため、やりがいを感じることはありません。
自分の能力にマッチし、かつ興味がある仕事をしているときにのみやり甲斐は発生します。やり甲斐をコントロールするのは非常に難しくモチベーションにも直結するため、自分自身の好きなことや能力を客観的に理解し、仕事に取り組めるよう環境を調整する必要があります。
「空虚感」に苛まれやすい人の特徴
あなた自身や周囲の人に次のような特徴があったら要注意です。空虚感に苛まれやすい人に見受けられる特徴です。
まじめ
まじめなことはいいことですが、まじめすぎると完璧を求めすぎたり、小さなことを気にしすぎてしまうことがあります。何事に対しても全力に取り組み、結果が芳しくないと自分はダメな人間だ、何もできなかったとネガティブになってしまうことがあります。
感受性が豊か
感受性が豊かだと、人に共感できることが多く、小さな変化にも気づくといった良い面がありますが、反面、感情が揺さぶられやすい人でもあると言えます。自分に直接起こったことでなくとも、周囲で起きた出来事に対し過剰に傷ついたり、疲れたりしやすく、その結果、空虚感を感じやすくなります。
寂しがり屋・依存傾向が強い
いつも誰かと一緒に行動したい、恋人ができると依存傾向にあるといった人も空虚感を感じやすいことがあります。根本で一人では何もできないという不安や、家族や周囲からの愛情が十分でなかったのでいつまでも多くを求めてしまうといった傾向があります。
目標がない、見失っている
燃え尽き症候群に陥っているような場合も空虚感を感じやすくなります。また、あまり信念や目標を立てない人も、人生におけるマイルストーンがないため、何をしたらよいかわからない、何をしても無意味に感じるといった気持ちになりやすいと言えます。
「空虚感」に苛まれる心理・原因
「空虚感」に苛まれてしまうときの心理や原因について紹介します。原因を理解することでその対処法も見えてくるため、自分のことを客観的に分析するようにしましょう。
心と体に疲れが蓄積している
「空虚感」に苛まれている人の心理として、最も代表的なものは「心と体に疲れが蓄積していること」があげられます。現代の日本社会においては、慢性的に見られている問題で、精神面や肉体面において万全な人の方がむしろ少ないといえます。
その疲れ具合がある一定のレベルを超えてしまうと「空虚感」に苛まれ、最悪の場合は仕事ができなくなってしまいます。仕事のみならず、家事や育児といった生活面においても支障をきたすため、自己のメンテナンスは健康な生活を送る上で非常に大切な要素になります。
理想と現実の差に苦しめられている
理想と現実のギャップが大きすぎる人も「空虚感」に苛まれやすい性格をしています。
それぞれ人には理想の自分があり、それに対して現実の自分との開きを痛感すればするほど、心の中で葛藤を繰り広げることになります。葛藤とは自分で自分のエネルギーを削る行為にあたるため、精神的なエネルギーを無駄に消費してしまうことにつながります。これが疲労をためる原因になり、最終的には「空虚感」につながるという結果に陥ります。
「空虚感」に苛まれるたときの対処法
「空虚感」に苛まれたときの対処法について2つ紹介します。少しでも早く心の弾力を取り戻すためにも、おかしいと感じたら早めに対策を打つことはとても大切です。
外の空気を吸う
「空虚感」に苛まれているときは基本的に疲れが溜まっていることが多いです。
そうしたときはリフレッシュするためにも、外の空気を吸うことをオススメします。疲れていると休みでも家に引きこもりがちですが、もし外の天気がよいのであれば15分から30分ほど散歩し、体の中の空気を入れ替えましょう。ここで激しい運動をしてしまうと、疲労の蓄積につながるため、ゆっくりと散歩する程度に抑えておくとよいでしょう。
自分が本当にやりたいことを整理する
自分がやりたいことを整理することも「空虚感」から抜け出すための有効な手段になります。「空虚感」とは満たされていないという心の不満から発生するものです。そのため、どういう環境になったら心が満たされるのかを、自己分析する必要があります。
「美味しいものを食べたい」など、簡単なもので構わないので自分がやりたい物事を整理することをオススメします。もちろんやりたいことをピックアップしたら、ひとつずつ実行に移してしみましょう。そうすることで少しずつ気持ちが晴れていくのを実感できるでしょう。
運動などで思いっきり汗をかく
適度な運動は自律神経を整え、ぐっすり眠れるようになります。普段から運動などが習慣になっている人は、思いっきり汗をかくことで落ち込んだ気持ちが軽くなるがあるでしょう。
運動が苦手という方は少しずつジョギングをしてみてもいいですし、サウナで老廃物を汗と一緒に出すことで頭もすっきりするかもしれません。
仕事、資格の習得など、勉強に勤しむ
何かに没頭する時間があると、空虚感を感じにくくなります。仕事でも資格でも、自分の興味のあるものやスキルとなるものを選んでまずは始めてみましょう。
新たな知識を吸収することは達成感や自信を得ることにつながります。
身の回りを整理整頓をする
身の回りが不要なものであふれていませんか?心が荒んでいると部屋も汚れる、と言われることがあるように、散らかった状態では気持ちの整理もつきにくくなります。
いらないもの、いるものを分けて、いらないものは思い切って捨てましょう。掃除に集中することで空虚感を忘れる時間ができますし、きれいになったお部屋ではきっと新たな目標ややりたいことが見つかりますよ。
SNSから遠ざかる
何気なく見ているSNSからも、いつの間にかネガティブな情報を受け取っていることがあります。SNSでは流行りを知れたり、友人の近況を見ることができますが、知らず知らずのうちに自分と比較して落胆してしまったり、思いがけず知りたくない情報を目にしてしまうことがあります。
思い切ってSNSを開かない1日を作ったりして、余計な情報をシャットダウンしましょう。
「空虚感」を英語で言うと?
「A feeling of empty」で「空虚感」を表現する英語になります。
「empty」とは、「空っぽ」を表現する英単語であり、この概念が精神面に応用した使われ方もあります。
After the violent argument he felt empty.(彼は激しい議論の後で空虚さを感じた。)
「空虚感」の使い方と例文集
「空虚感」の使い方と例文について詳しく紹介します。正しい使い方を身につけることで、日常生活における会話やビジネスシーンにおいても自信を持ってコミュニケーションをとれるようになります。また、使い間違いが多い言葉であるため注意点なども参考に詳しく見ていきましょう。
「空虚感」の使い方
「空虚感」という言葉は「空虚感に苛まれる」や「空虚感に苦しめられる」というように使われます。「空虚感」という言葉自体、マイナスの意味を持つ言葉で精神面においても悪い状況を表現する言葉です。
そのためセットで使われる言葉は「苛まれる」や「苦しめられる」といったような「苦痛」のニュアンスを持つ言葉になります。また空虚感から解放されるときの表現として「空虚感を埋める」も一般的に使われています。
「空虚感」を使用するときの注意点
「空虚感を感じる」という表現は誤用になるので注意が必要です。この誤用は「空虚感」のみならず「〇〇感」という言葉において慢性的に見られる間違った使い方になります。「空虚感を感じる」という表現は「空虚感に苛まれる」や「空虚さを感じる」という表現に言い換えができます。
「空虚感」の例文
「空虚感」という言葉を用いた例文をいくつか紹介します。
- 先月リストラされてから、空虚感に苛まれ続けている。
- 空虚感を埋めるために、この1カ月はやりたいことを満喫することにした。
まとめ
「空虚感」は「虚しい気持ち」や「虚ろな感じ」を表現する言葉でした。 空虚感に苛まれている状態が長引くことは、精神的に不健康な状態になります。早めに対策を打つように心がけましょう。
- 「空虚感」とは「虚しい気持ち」や「うつろな感じ」を表す言葉です。
- 「空虚感」は「くうきょかん」と読みます。
- 「空虚感」と「虚無感」の2つの言葉に大きなニュアンスの違いはなく、使い分けも存在しません。
- 「空虚感」の類義語は「喪失感」「虚脱感」です。
- 「空虚感」の対義語は「充実感」「やりがい」です。
- 「空虚感」に苛まれやすい人の特徴は、まじめ、感受性が豊か、寂しがり屋・依存傾向が強い、目標がない、見失っているなどがあります。
- 「空虚感」に苛まれる原因は、心と体に疲れが蓄積している、理想と現実の差に苦しめられていることだと考えられます。
- 「空虚感」に苛まれるたときの対処法は、外の空気を吸う、自分がやりたいことを整理する、運動などで思いっきり汗をかく、勉強に勤しむ、整理整頓をする、SNSから遠ざかるなどがあります。
- 「空虚感」を英語で言うと「A feeling of empty」です。