一本締めの意味と由来|三本締めと一丁締めとの違い、やり方・英語表現も解説

「一本締め」の意味と由来|「三本締め」と「一丁締め」との違い、やり方・英語表現も解説
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社会人になると会食の終わりに「一本締めで締めさせていただきます」などの呼びかけを耳にします。「一本締め」は一般的によく用いられるため、やり方をきちんと理解しましょう。幹事になった場合の流れや「三本締め」「一丁締め」との違いも紹介します。

目次

「一本締め」の意味

「一本締め」の意味

「一本締め」は人数の多い宴会の場の最後に行われる締めの儀式です。社会人になるとよく聞く言葉ではありますが、「一本締め」にはどのような意味が込められているかはご存知でしょうか?詳しく見ていきましょう。

「一本締め」は手締めの一種

「一本締め」は「手締め」に分類される日本独特の文化です。「手締め」とは会の終わりにその場を締めるための儀式で、一般的な手締めの種類では「一本締め」の他に「三本締め」や「一丁締め」があります。この手締めは「大坂締め」や「名古屋締め」など地域によってさまざまな種類があります。

「一本締め」は会が無事に終わったことを感謝する意味

「一本締め」は開催された会が無事に終了したことを感謝する意味があります。参加者を含め、その場を滞りなく終了できるよう協力してくれたことに対する感謝とされており、基本的にはその会に参加した全員で「一本締め」を行うのが一般的です。「一本締め」は新年会や忘年会などの大規模な宴会や部署の懇親会をはじめとして、祭事や株主総会でも行われます。

「一本締め」の由来・語源

「一本締め」の由来・語源

「一本締め」をはじめとした手締めの文化は日本独自のものですが、そのルーツは古事記にまで遡ります。また、現代のように手締めを会の終わりに用いるようになったのは江戸時代といわれています。「一本締め」の文化をより深く理解するために、手締めの歴史についても考えていきましょう。

由来は古事記の「国譲り神話」

手締めの由来を辿ると、起源は日本最古の歴史書である古事記の「国譲り神話」といわれています。

国譲り神話の一文に「天照大神(アマテラスオオミカミ)に国を譲るよういわれた大国主命(オオクニヌシノミコト)が、長男の事大主神(コトシロノミコト)に返答を求めたところ、柏手を打って承知した」とあります。この「拍手を打って承知した」という部分が現在の手締めの由来とされており、拍手で承知の意思を表明し話に終止符を打ったところから「手を打つ=承知する、終わらせる」という意味合いとして使われるようになりました。

江戸時代までは「手打ち」の呼び方が一般的だった

現代のように手を叩いてその場を締める文化が根付いたのは江戸時代といわれています。江戸時代では「手締め」ではなく「手打ち」という呼び方が一般的でした。現代でも「手を打つ」が「交渉成立させる」のような意味合いで用いられることがありますが、この「手を打つ」は江戸時代の手打ちの使われ方の名残といえます。

呼び方が「手打ち」から「手締め」に変わったのは、「手打ち」が武士が刀で人を斬ることを表す「手討ち」と同じ発音なことから意味を取り違えないよう、「手締め」という呼び方に変化していったとされています。

一本締めのやり方

一本締めのやり方

参加した集会の終わりに「一本締め」が呼びかけられた際に、やり方がわからず間違えてしまうと悪目立ちする可能性があります。「一本締め」を初めて行う場合にも間違えることなくスムーズに参加できるよう、「一本締め」のやり方を覚えておくとよいでしょう。

呼びかけは主催者や幹事が行う

「一本締め」を始める際には参加者全員に対して会を終えることの呼びかけが行われます。この呼びかけは主催者や幹事の役割です。参加している集会で「皆さま、宴もたけなわですが、お時間となりましたのでこの辺でお開きにしたいと思います。」などの呼びかけがあった場合は、会話を中断し主催者の呼びかけに耳を傾けましょう。

「お手を拝借」と「よーお」の後に全員が手を打つ

呼びかけに応じて参加者の注目が主催者に集まったタイミングで、締めの挨拶が行われます。締めの挨拶も主催者もしくは幹事が行いますので耳を傾けましょう。その後、「では一本締めで締めさせていただきます。」など手締めの種類の呼びかけがありますので聞き逃さないことが大切です。

手を叩く音頭も幹事が取り仕切ります。「お手を拝借」という幹事からの合図で参加者は手を胸の前に広げます。幹事が「よーお」と音頭を取りますので、その後に「一本締め」の手拍子を全員で行います。

手拍子は「パパパン パパパン パパパン パン」

「一本締め」の手拍子は「パパパン パパパン パパパン パン」です。周囲の参加者とテンポを合わせてリズムカルに叩きましょう。

「一本締め」の手拍子を叩き終わったら、幹事が「ありがとうございました」と感謝の言葉を短く述べますので、その後は参加者全員で拍手をすることでその場が締まります。

三本締め・一丁締めとの違い

三本締め・一丁締めとの違い

手締めには「一本締め」以外にも種類があり、代表的なものは「三本締め」と「一丁締め」です。全体の流れは「一本締め」と同様ですが、手拍子の種類がそれぞれ異なりますので、この2つの手締めは「一本締め」と併せて覚えておくことをおすすめします。

「三本締め」は「一本締め」を3回繰り返す

「三本締め」は「一本締め」の手拍子を3回繰り返すものです。具体的には「パパパン パパパン パパパン パン(1回目)、パパパン パパパン パパパン パン(2回目)、パパパン パパパン パパパン パン(3回目)」という手拍子です。

「一本締め」はこの「三本締め」を1回に簡略化したものとされているため、手締めの種類としては「三本締め」がより正式なものとされています。よって、冠婚葬祭などではこちらの「三本締め」が用いられることが多いです。一般的な手締めの中ではもっとも長いタイプのものですので、1回目の手拍子と2回目の手拍子の合間には幹事が「ヨッ」や「もう一丁」などの合いの手を入れる点が特徴です。

「一丁締め」は手拍子を1回だけ行う

「一丁締め」は手を1回だけ叩くものです。具体的には「パンッ」で終わる手拍子です。

「一丁締め」は関東で好まれて使われていることから別名「関東一本締め」とも呼ばれています。「一本締め」としばしば間違われることもありますので、注意しましょう。この「一丁締め」は社内の宴会や少人数の集会などで用いられやすく、特に会場の退室時間が迫っている場合など手短に締めてしまいたい場合に使われます。

幹事側の「一本締め」までの流れと締めの挨拶の例文

幹事側の「一本締め」までの流れと締めの挨拶の例文

ここまでは参加者側の「一本締め」のやり方を紹介しましたが、自分が幹事になった場合にどのような流れで締めの進行を行うべきかも気になるところでしょう。ここでは締めの挨拶を上司に頼む場合の幹事役と、自分が締めの挨拶を行う場合それぞれで締めの流れを説明します。

締めの挨拶は別の方が行う場合の流れ

まずは締めの挨拶は上司など別の人に任せる場合の幹事の動きについて紹介します。社内の集会などでは締めの挨拶以外の幹事を新人が担当する場合が多いので、スムーズな進行ができるよう覚えておくと便利でしょう。

締めの挨拶をあらかじめ上司に依頼する

幹事がまず行うべきことは、締めの挨拶をお願いしたい上司や主催者にあらかじめ「締めの挨拶をお願いできますか?」などと依頼をしておくことです。依頼をされた人は挨拶の内容や手締めの種類をあらかじめ考える時間が必要ですので、集会の当日や集会中に依頼するのではなく、少なくとも前日までには済ませておきましょう。

会計処理後、上司に声かけを行い参加者に呼びかける

集会が終盤に差し掛かってきたタイミングで、まずはお店への会計を済ませましょう。これは、集会が終わった後に店員さんがお会計のお願いを幹事ではない参加者などにしてしまうことを避けるためです。集会が締まったら店員さんに快く送り出してもらえる準備を整えましょう。

会計を済ませたら、まずは締めの挨拶をお願いする上司に「そろそろ締めます」と耳打ちし挨拶の準備をしてもらいましょう。上司への声かけの後は、座敷の場合は立って参加者の皆さんに「宴もたけなわではございますが、いったん中締めとさせていただきます。」など集会を締める旨を呼びかけ、参加者の注目が集まったところで「締めの挨拶を〇〇部長にお願いしたいと思います。」など締めの挨拶を依頼していた上司にバトンタッチしましょう。

上司の音頭により「一本締め」で会が締まった後は、二次会などの案内や出口までの誘導を率先して行いましょう。

自分が締めの挨拶と「一本締め」を行う場合

次に締めの挨拶を依頼された場合の「一本締め」までの流れを説明します。別の幹事の呼びかけにより集会が締める流れになった場合、「締めの挨拶を〇〇さんにお願いしたいと思います。」と自分にバトンが渡されたあとからが出番です。座敷の場合は起立して集会を締める挨拶を行いましょう。

順番は「締めの挨拶」→「一本締め」

締めの流れの順番は「締めの挨拶」のあとに「一本締め」を行いましょう。締めの挨拶は参加してくれたことへの感謝や、主役がいる場合には主役に対しての激励や感謝を簡潔に伝えましょう。締めの挨拶はあまり長すぎると参加者が飽きてしまいますので、1分から2分程度にまとめることが望ましいです。

挨拶のあとは、「最後に、皆さま方のご健勝とご多幸を祝し、一本締めで締めさせていただきたいと思います。」と一本締めを行うことを呼びかけます。

「一本締め」の後は「ありがとうございました」で締める

「一本締め」の音頭は締めの挨拶をした人が取ります。「一本締め」を行うことを伝えた後は、それぞれ参加者がグラスを置いたり、座敷の場合は立ち上がる時間が必要ですので準備が整うまで少し時間をおきましょう。参加者の準備がある程度整ったら、「お手を拝借」の呼びかけと「よーお」と音頭を取ります。音頭は大きな声で元気に行いましょう。

「一本締め」を参加者とともに無事に叩き終わったら、「ありがとうございました」と参加者に謝辞を述べて終了です。

締めの挨拶の例文

締めの挨拶から一本締めに移るまでの例文をいくつか紹介します。参加者や主役への感謝を伝えたあとに一本締めをする場合の参考にしましょう。

例文
  • では最後に、皆様の今後のご多幸とご健勝を祈念いたしまして一本締めで締めさせていただきます。
  • 最後は一本締めで締めたいと思います。皆様ご起立のほどお願いいたします。
  • 皆様のますますのご活躍を祈念いたしまして、一本締めで本会をお開きとさせていただきます。

「一本締め」の英語表現

「一本締め」の英語表現

「一本締め」は日本独自の文化ですが、英語には「一本締め」という表現はありません。英語で説明する場合には「手を叩く」という意味の「crap hands」を使いましょう。

まとめ

「一本締め」は社会人になり参加する集会で多く用いられる締めの儀式です。「一丁締め(関東一本締め)」や「三本締め」との違いをよく理解し、叩き間違えをしないことが大切です。幹事になった場合は、締めをスムーズに行えるよう「一本締め」までの流れを把握しておくことをおすすめします。

「一本締め」の意味と由来|「三本締め」と「一丁締め」との違い、やり方・英語表現も解説

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