「独善的」の意味を知っていますか?「善」の漢字がつかわれるのでポジティブな意味にとらえがちですが、実はそうではありません。この記事では「独善的」の意味や使い方や類語・英語表現や例文、また独善的な人の対処法もあわせて一挙に解説します。
「独善的」の読み方
「独善的」を深く理解するために、まずは使われている3つの漢字それぞれの読み方を一つずつ深掘りしていきます。
- 「独」は音読みで「ドク/トク」訓読みで「ひと(り)」と読みます。
- 「善」は音読みで「ゼン/セン」訓読みで「よ(い)」と読みます。
- 「的」は音読みで「テキ」訓読みで「まと」と読みます。
それぞれ3つの漢字の音読みを組み合わせ、「独善的」は「どくぜんてき」と読みます。
「独善的」の意味とは?
「独善的」の意味を深く理解するために、使われている3つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
- 「独」は「ひとり・相手がいない/ひとつ/老いて子がいないもの・子孫のいないもの/ひとつだけ/自分だけ/ドイツ国の略」の意味があります。
- 「善」は「よい・めでたい/すぐれている・立派なさま/よいこと・よい行い/よしとする・認める/大事にする・丁寧にする/仲良くする・むつまじくする」を意味します。
- 「的」は「まと・ねらい/目当て/あきらかな・はっきりとした/確かに/性質」を意味します。
それぞれ3つの漢字の持つ意味を組み合わせると、「独善的」は「ひとり・よしとする・性質」となり、「他人のことはさておき、自分だけが正しいと考えること」を意味します。「ひとりよがり」ともいい、漢字では「独り善がり」と書きます。
「独善的」の類義語・言い換え表現
次に「独善的」の類義語・言い換え表現を解説します。
- ドグマティック
- 偏狭的
- 教条的
- そのほかの表現・言い方・いいまわし
「独善的」の類義語・言い換えその1「ドグマティック」
「独善的」の類義語・言い換え1つ目は「ドグマティック」。「ドグマティック」または「ドグマチック」といい、語源は英語の形容動詞「dogmatic」。自身が正しいと信じる判断に固執して、ほかの意見や人を受け入れないことを表します。例文を見ていきましょう。
- そんなにドグマティックな論理を振りかざしていると、周りから人がいなくなる。
- 上司はドグマティックなので、仕事がかなりやり辛い。
「独善的」の類義語・言い換えその2「偏狭的」
「独善的」の類義語・言い換え2つ目は「偏狭的」。「へんきょうてき」と読み、「自分だけの狭い考えにとらわれること、凝り固まった考え、度量が狭いこと」を意味します。例文を見てみましょう。
- 上司は偏狭的思考の持ち主なので、仕事がしづらい。
- 自分は偏狭的な性格である自覚があるので、なおしたい。
「独善的」の類義語・言い換えその3「教条的」
「独善的」の類義語・言い換え3つ目は「教条的」。「きょうじょうてき」と読み、「状況や環境に応じず、自身が頑なに信じるある特定の原理にのみ固執する考え方」を意味します。わかりやすく言いかえると、「臨機応変さがない性格」を表します。例文を見ていきましょう。
- 布教は自由だが、教条的であってはならない。
- かつてのこの国は独裁で教条的な国だったので、亡命者が多く発生した。
「独善的」類義語・言い換えその4「そのほかの表現・言い方・言い回し」
「独善的」類義語・言い換え「そのほかの表現・言い方・言い回し」を見ていきましょう。
- 独り善がり(ひとりよがり)
- 身勝手(みがって)
- 自分勝手(じぶんかって)
- 自己中心的(じこちゅうしんてき)
- エゴイスティック、エゴ
- 思いやりのない
- 他人の都合を考えない
- 我儘(わがまま)
- 配慮に欠ける(はいりょにかける)
- 利己主義的(りこしゅぎてき)
- 利己的(りこてき)
「独善」と「偽善」の違い
次に、「独善的」と「偽善的」の違いを見ていきましょう。「偽善的」は「ぎぜんてき」と読み、「うわべだけを善人のように見せかけること」を意味します。心の中や気持ちは裏腹に、見た目はいい人に見せる行為を表します。
「独善的」「偽善的」は「善」の漢字が使われているので、「善」の意味する「よさ」を表す言葉に見えますが、「独善的」「偽善的」はどちらもネガティブな意味を表現しています。
「独善的」は「身勝手で独りよがりな考え」、「偽善的」は「うわべだけの善人」と、2つの言葉の意味はまったく異なるのです。
「独善的」の対義語
「独善的」の対義語には、「お互いを意識し思いやる」ポジティブでフレンドリーな言葉があがります。
- 協力的(きょうりょくてき)
- 協調的(きょうちょうてき)
- 忖度(そんたく)
- 調和的(ちょうわてき)
- 相補的(そうほてき)
- 友好的(ゆうこうてき)
- 融和的(ゆうわてき)
- 親和的(しんわてき)
「独善的」を英語でいうと?
「独善的」を英語ではどのようにいうのでしょうか。
- self-righteous
- self-opinionated
ひとつずつ見ていきましょう。
「独善的」を英語でいうと?その1「self-righteous」
「独善的」の英語1つ目は「self-righteous」。例文を見ていきましょう。
- He is a little self-righteous.(彼は少し独善的なところがある。)
- He said self-righteously.(彼が独善的に言った。)
「独善的」を英語でいうと?その2「self-opinionated」
「独善的」の英語2つ目は「self-opinionated」。例文を見ていきましょう。
- My mother regretted me being self-opinionated.(母は私の独善的な性格を残念がった。)
- He is a little self-opinionated.(彼は少し独善的なところがある。)
「独善的」な人の特徴と対処法
「独善的」な人にはどのように対応したらいいのでしょうか。
- 「独善的」な人の特徴
- 「独善的」な人の原因と対処法
- 「独善的」な人が迎える末路
- 「独善的」な人への対処法
4つにわけて深掘りしていきます。
「独善的」な人の特徴
「独善的」な人の対処法を考えるにあたり、まずは「独善的」な人にはどのような特徴があるのか見ていきます。
「独善的」な部下
「独善的」な部下の特徴をあげていきましょう。
- 常に自分の主張が正しいと思っている
- 人を見下す
- 傲慢である
- 自分の非を認めない
仕事をする上で「独善的な部下」がいると、かなりのデメリットになってしまいます。
「独善的」な女性
次に、「独善的」な女性にはどんな特徴があるのでしょうか。
- 常に何かに対してイライラしている
- 人を見下す
- 価値観を押し付ける
- ナルシストである
「独善的」に男女性別の差はありませんが、感情的になりやすい点が「独善的」な女性の特徴ともいえます。
「独善的」な人の原因と対処法
次に、「独善的」な人の原因とその末路、対処法を見ていきましょう。
「独善的」である原因
「独善的」である大きな原因は、頑固さ。自分の正しい信念に基づいての行動に誤りがあっても自分の非を認めないのは、頑固さからくるもの。自分の信念を曲げないのも、他人の意見を聞かないのも、すべて性格的な頑固さからくるものです。
「独善的」であるゆえの末路
「独善的」な人はどうなってしまうのでしょうか。
- 自分の正しい信念に基づいて行動しているわりには、物事がうまくすすまない
- 周りに人がいなくなる
- ネガティブ思考になる
- 人間関係を構築できない
- 他人からの信頼を得られない
あげていくとポジティブなことはひとつもありません。
「独善的」な人への対処法
「独善的」な人は、個人差はありますが決断力に長けている場合が多くあります。自分が正しいことに自信をもっているため、決断に際して優柔不断になることはほとんどありません。その決定により結果的に失敗することはありますが、失敗の経験を積むことによって能力が向上することも考えられ、失敗から学ぶこともあります。「独善的」は人には、ある程度フォローを見えない形で入れつつ、決断を任せてみるのも一案です。
また、独善的な人は相手の立場でものを考えないため、相手がどんなことを望んでいるのかもわかりません。少しでも改善を望むようであれば、「報告・連絡・相談」をその都度お願いする、手伝えることはないか聞いてみる、進捗状況の確認を徹底するなど、コミュニケーションを持つように心掛けると、耳を傾けてくれるようになるかもしれません。
「独善的」の使い方と例文
「独善的」は人の性格や気質を表現する場合に使います。例文を見ていきましょう。
- 独善的な独裁者の暗躍により、国家は転落の一途を辿っている。
- 彼女の独善的な性格が少しでも改善されれば、チームのプロジェクトがより円滑にすすむ。
- 上司の独善的な性格はとても厄介だ。
まとめ
「独善的」とは、「他人のことはさておき、自分だけが正しいと考えること」です。人の性質や性格を表現する言葉で、決してポジティブな意味ではありません。ビジネスシーンにおいては、自身が独善的思考に支配されることなく、臨機応変で柔軟な思考でいきたいものです。