「迅速に対応します」など、ビジネスシーンでよく使う「迅速」について解説します。意味や例文、類語など、「迅速」を使いこなせるようになる知識が満載です。ビジネスメールでは欠かせない、「迅速」の敬語表現も紹介します。
「迅速」の読み方
「迅速」は「じんそく」と読みます。
「迅速」の意味とは
「きわめて速い」や「すばやい」が、「迅速」の意味です。迅速に使われている漢字「速」は、読んで字のごとく「すばやい」。さらに漢字「迅」も「速度がはやい」や「激しい」を表します。「迅速」は、「すばやい」意味の漢字を組み合わせた言葉です。
参照:Weblio辞書「迅速」
よく使う言い回し「迅速な対応」とは
ビジネスシーンでよく使う「迅速」の言い回しが、「迅速な対応」です。意味は「素早くものごとを処理する」。「迅速な対応」を、どんな場面でどう使うのか解説します。
「迅速な対応」を使う場面
早い対応を求める場面、あるいは早い対応にお礼をいう場面で使います。
たとえば取り急ぎ問い合わせたいことがあって連絡した場合、後回しにせず返答してほしいと「迅速な対応」を求めます。また、依頼した仕事がすぐに完了して報告を受けたときには「迅速な対応」へのお礼を言います。
「迅速な対応」の敬語表現
「迅速」そのものに敬語表現はありません。そのため、「迅速」の前後の言葉を丁寧にすることで敬語表現とします。
よく使う敬語表現は、「対応」に丁寧語の「お(御)」をつけた「迅速なご対応」です。「迅速なご対応を期待します」や「迅速にご対応願います」のような言い回しです。さらに丁寧な表現にするなら、「迅速にご対応ください」や「迅速なご対応をお願いいたします」、「迅速にご対応いただき、ありがとうございます」と「ご対応」のあとに敬語表現を続けます。「お忙しいなか、迅速なご対応に感謝します」や「迅速にご対応くださり、恐縮です」のように、相手への配慮や感謝の言葉を使うと、より丁寧なニュアンスになります。
その他の「迅速」の使い方
「迅速に連絡する」など「迅速に~する」の形で使います。「迅速な」なら「迅速な連絡」と名詞が続きます。ビジネスシーンでは仕事やサービスの心得として、「迅速丁寧(じんそくていねい)」が掲げられます。「早くて念入り」の意味です。
「迅速」の使い方・例文
「迅速」を使った例文を挙げます。
- 今度の担当者は、いつも迅速な仕事ぶりで本当に助かります。
- 迅速に報告をあげてもらわらないと、チームのメンバーで情報を共有できません。
- この度は迅速にご対応くださり、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
- 迅速丁寧がモットーの業者に依頼したため、引っ越し作業がスムーズに片付いた。
- 新聞社の迅速な報道により、その政治家の金銭スキャンダルは一夜にして世間に知れ渡ることになった。
「迅速」を含む四字熟語
「迅速」を含む四字熟語を紹介します。いずれも「素早い」または「速やかな様子」を表す四字熟語です。
「迅速果敢」
「迅速果敢(じんそくかかん)」は、「速やかに決断をくだし、即座に実行すること」を表す四字熟語です。「勇気ある決断」や「素早く処理できる能力」の意味もあります。「迅速果敢な仕事ぶりだ」のような使い方です。
「迅速果断」
「迅速果断(じんそくかだん)」も「迅速果敢」と同じく、「勇気ある大胆な決断と速やかに行動できる能力」を表します。「果敢」と「果断」は、ともに「大胆な行動」の意味です。「彼の迅速果断な行動に救われた」などと使います。
「無常迅速」
「無常迅速(むじょうじんそく)」は、「この世の移り変わりは、とても早い」あるいは「この世のすべては次々と変わっていき、変化しないものはない」などと人の世のはかなさを表します。「死は思いがけず、早くやってくるものだ」の意味でも使われる仏教用語です。「この世は無常迅速だと思い知らされた」のように使います。「無常迅速」の由来は、中国唐時代の禅宗語録『六祖壇経(ろくそだんぎょう)』です。
「迅速」の類義語・言い換え表現
「迅速」の類語とニュアンスや使い方の違いを、例文を挙げて解説します。
「早急」
「早急」は「さっきゅう」または「そうきゅう」と読みます。
もともとは「さっきゅう」で、「そうきゅう」は比較的新しい読み方です。どちらの読み方でも意味は同じで、「とても急ぐこと」や「至急」です。「早急」には「差し迫った」あるいは「急がなければならないこと」のニュアンスがあります。期限があるようなもの、とくに急ぐべきことには「迅速」よりも「早急」が適しています。「早急」を使った例文を挙げます。
- 午後からの会議に必要な資料を、早急にそろえてください。
- 少子化問題は、社会共通の課題として早急に対策を講じなくてはならない。
- 早急な処置をお願いします。事態は一刻を争います。
「早々」
「早々(そうそう)」の意味は、「急いでことをおこなうさま」です。
「迅速」の意味とは異なりますが、「開店早々」のように「ある状態になってすぐ、間もなく」も表します。「早々」は「急いでことをおこなうよう、相手をせかす」ニュアンスで使うため、目上の方の依頼やお願いには使いません。お礼の場合には、目上の方にも使えます。同僚などには「早々にお返事ください」でも可。「早々のお返事をありがとうございます」は、同僚でも目上の方にも使える言い回しです。また、「早々」は「はやばや」とも読みます。昔は「はやばや」が一般的でした。「はやばや」と読む場合は、「早く」や「急いでいる様子」を表します。ビジネスシーンでは、「早々(そうそう)」のほうが使う機会が多い言葉です。「早々(そうそう)」と「早々(はやばや)」を使った例文を挙げます。
- 試合開始早々(そうそう)だというのに、満塁ホームランが出て大差をつけられてしまった。
- 彼はとても疲れたようで、帰宅すると食事もせずに早々(はやばや)と眠り込んでいる。
- お忙しいなか早々(そうそう)にご返信くださり、ありがとうございました。
- まだ試験まで3カ月もあるというのに、同僚は早々(はやばや)と合格を諦めている。
「早速」
「早速(さっそく)」の意味は、「ただちに」や「すぐおこなうこと」です。
「ものごとに対応して、すぐにおこなうこと」のニュアンスがあります。「対応して」のニュアンスが「迅速」とは異なる点です。また、「早速」は会話の冒頭やメールの文頭で、本題に入ったり話題を変えたりするための起辞としても使われます。たとえば「早速ですが、いただいたご質問にお答えします」のような用法です。ビジネスメールでは、起辞として「早速」を使う場面が多々あります。「早速」を使った例文を挙げます。
- ご依頼の件ですが、早速お見積書を作ってまいりました。どうぞご査収ください。
- 早速、本題に入りたいと思います。
- 早速のお申込み、ありがとうございました。それではご登録の手続きを進めてまいります。
「取り急ぎ」
「取り急ぎ(とりいそぎ)」は、「急いで」を強めた表現です。「とりあえず、急いで」のニュアンスがあります。他人ではなく、自分の行動に対して使います。ビジネスメールの末尾に、お礼や報告の意味で添える使い方も一般的です。「取り急ぎ」を使った例文を挙げます。
- 取り急ぎ、お礼のみで失礼いたします。
- お問い合わせの件、取り急ぎご報告申し上げます。
- 手の込んだ資料を作れなかったので、取り急ぎ要点だけをまとめておきました。
「迅速」の対義語
「迅速」の対義語を挙げます。
「緩慢」
「緩慢(かんまん)」の意味は、「動きがゆっくりでのろのろしている様子」または「ものごとの対応が中途半端で手ぬるい」です。「動きがゆっくり」の意味が、「迅速」と反対です。「緩慢な動作」や「緩慢な対応」などの言い回しで使います。
「鈍重」
「鈍重(どんじゅう)」は、「動作やものごとへの対応が鈍くてのろいこと」を表します。「牛のように鈍重な歩み」や「鈍重な性格」などの言い回しで使います。
「遅緩」
「遅緩(ちかん)」は、「ものごとの進行が非常にゆっくりしている」または「行動が遅くて鈍い」意味です。「薬の効き目が遅緩だ」や「遅緩なテンポの音楽」などと使います。
「迅速」の英語表現
英語で「迅速」を意味する単語は「rapid」や「speedy」、または「quick」などです。格式ばった表現では、「swift」や「prompt」を使います。
まとめ
「迅速」の意味は「きわめて速い」で、ビジネスシーンでは「迅速な対応」などでよく使います。目上の方にも使え、「迅速なご対応をお願いいたします」のような敬語表現が可能です。早々や早急など、早さを表す類語とともに場面に応じた使い分けをしてくださいね。