「頒布」の意味を知っていますか?耳にしたこともあるけれど、意味を詳しく知らない方もいるでしょう。この記事では「頒布」の意味や「頒布会」「頒布権」について解説。ビジネスシーンでも使われる言葉ですので「頒布」の意味は確実に押さえておきましょう。
「頒布」の読み方
「頒布」は「はんぷ」と読む言葉です。まれに「りょうふ」と読んでしまっているひとがいますが、それは似ている漢字である「領」と勘違いしているから。また、ほかにも「はんぷ」と読む漢字も存在します。読むときや変換して使うときには間違ってしまわないように注意が必要です。
「頒布」の意味とは?
「頒布」は「品物や資料などを広く配ること」を指しています。「参加者への無料特典」のように無料で配ることに対しても使える表現なのですが、たいていは有料の場合に「頒布」が使われます。これに関しては注意点として詳しく後述いたします。
参考:weblio辞書「頒布」
「頒布」の類義語・言い換え
ここでは「頒布」の類義語・言い換えについて紹介します。「頒布」は少々特別な使い方をする言葉ですので、類義語とも若干の意味の違いがあります。それを知らないままにしていると、重大な勘違いにつながってしまう可能性も。「頒布」の類義語・言い換えは単に覚えるだけでなく、違いもしっかりと理解するようにしましょう。
「頒布」の類義語1「配布」
「頒布」の類義語1つ目は「配布」です。「配布」は「配って広く行き渡らせること」を指しています。「頒布」との違いは、「頒布」が有料で配ることをメインの意味としているのに対して、「配布」は無料で配ることをメインの意味としている点です。使い方を混同してしまうと、相手のことを混乱させてしまいますので、注意しましょう。
配布いたしました資料の5ページをご覧ください。
「頒布」の類義語2「配付」
「頒布」の類義語2つ目は「配付」です。「配付」も「配布」と同じく「はいふ」と読む言葉。「配付」は「特定のひとに対して配って手に渡すこと」を指しています。よって、「男性にのみ配る」という場合には、女性ではなく男性という特定に人物に配るので「男性にのみ配付する」というように使うのです。
髪の毛に悩みを抱えている女性にだけこの商品を配付しようと考えています。
「頒布」の類義語3「配賦」
「頒布」の類義語3つ目は「配賦」です。「配賦」も「配付」や「配布」と同じように「はいふ」と読む言葉です。今回の「配賦」も「配ること」を意味していますが、「割り当てて配ること」を指しています。つまり、「あるものを分けて、分けたものをそれぞれに配る」という意味をもっているのです。主に金銭や土地を割り当てるときに使われます。
戦いによって手に入れた土地を活躍した武将たちに配賦した。
「頒布」の類義語4「分配」
「頒布」の類義語4つ目は「分配」です。「分配」は「分けて配ること」を指しています。漢字の通りの意味ですので、漢字の意味をひとつひとつの意味を考えればOK。「配る」という意味をもっているので、もちろん「頒布」とは類義語の関係にあります。
分配法則を使ってこの数式をといた。
「頒布」の類義語5「ディストリビューション」
「頒布」の類義語5つ目は「ディストリビューション」です。「ディストリビューション」は「頒布」を意味している英語の「distribution」をカタカナにしてそのまま使っている言葉です。同じように英語をカタカナに直すことによって日本語に取り入れているケースは数多くあります。
今月最後の商品がディストリビューションされた。
「頒布」の対義語
「頒布」の対義語は「集める」「回収する」などです。なぜなら「頒布」は「誰かに対して広くものを渡すこと」を意味しているから。「廃品回収」や「不良品回収」などというように多くのひとからものを渡してもらう「集める」や「回収」が対義語にあたるのです。
「頒布」の使い方と例文集
「頒布」の意味や類義語・対義語がわかっていても、実際にどのようにして使われるのかを理解していないと意味がありません。ここでは「頒布」の使い方と使うときの注意点、例文について紹介します。「頒布」の使い方を間違ってしまうと、客と自分のあいだ認識の差ができてしまい、クレームにつながってしまうかも。社会人として確実に使い方を覚えておく必要がある言葉です。
「頒布」の使い方
「頒布」は「資料や物品を広く誰かに配ること」として使われます。特に「有料のもの」に対して使われる表現です。たとえば、二次創作作品を販売しているイベントなどにおいては、その創作品を「販売する」という表現よりも「頒布する」という表現のほうが好んで使われているのです。
「頒布」を使用するときの注意点1「基本的には有料」
「頒布」を使用するときには「基本的には有料のものに対して使われる」ことに注意しましょう。前述もいたしましたが、このことに注意しておかないと「窃盗」につながってしまう恐れがあります。たとえば「頒布されています」という文言をみて無料だと勘違いして商品を持っていってしまったら犯罪になりますよね。「頒布」は基本的に有料であると思っておきましょう。
「頒布」を使用するときの注意点2「有形のもの限定」
「頒布」を使うときには「有形のものにしか使えない」ことも覚えておきましょう。広義としては「頒布」が有形無形を問わないのですが、日本においては「公衆送信」などと区別するために有形のものに対してしか「頒布」が使えないのです。間違って使っていると、指摘を受ける可能性があるため、気をつけておきましょう。
「頒布」の例文
「頒布」を使った例文は以下のとおりです。
- 私は毎月食料品が頒布されるように契約している。
- 彼は自分の制作物をイベントで頒布することにした。
- この会の会員になれば毎月日本酒が頒布されるらしい。
- 頒布されたものがいつのまにかそろっていて嬉しい。
- 映画の頒布に関する権利のことを「頒布権」という。
「頒布」を含む言葉の意味
「頒布」を含む言葉はたくさんあります。言葉によっては特殊な意味をもつものも。ここでは「頒布」を含む言葉の意味について解説します。「頒布」を含む言葉は日常生活のなかでも見かけられます。それにもかかわらず意味を理解していないと恥ずかしいことになってしまうかも。「頒布」を含む言葉の意味はしっかりと頭に入れておきましょう。
「頒布会」の意味
「頒布会」とは「会費を払ったひとだけに対してのみ販売する」という販売形式のひとつのことを指しています。通信販売の伝統的手法として知られており、買い手のメリットとしては比較的少額を毎月払うことによってセット商品がいつのまにか揃うことが挙げられる。また、毎月食料品を届ける「頒布会」などもあり、それに関してはいちいち注文しないことや、会員になることによる特典などが買い手のメリットです。
「頒布権」の意味
「頒布権」とは「映画の著作物のみに認められている権利」のことを指しています。もともと劇場用映画の権利を保護するために作られたものです。しかし、「映画の著作物」というものの範囲に関する定義ははっきりしていません。裁判所はビデオテープに対しての「頒布権」は認めているものの、ゲームソフトに対しては東京地裁と大阪地裁で意見が割れており、はっきりしていない状態が続いています。
「頒布バッグ」の意味
「頒布バッグ」というものは存在せず、「帆布バッグ」を誤変換したものではないかと考えられます。「帆布」も「はんぷ」と読み、「船の帆などに使われている厚い生地」のことを指しています。「帆布バッグ」は生地が厚いため丈夫で長く使えるところが嬉しいもの。教科書や書類などの重いものをたくさん入れても壊れる心配がないことで広く愛用されています。
「頒布」を英語でいうと?
「頒布」を英語で表現すると「distribution」となります。また「頒布する」という動詞の形で使うときには「distribute」です。具体的な使い方は以下のとおり。
- The right of distribution of videotapes has been recognized by the courts.
ビデオテープの頒布権は裁判所で認められている。 - I decided to distribute this work.
私はこの制作物を頒布することに決めた。
まとめ
「頒布」とは「広く配る」という意味です。特に有料でものを配るときに使われます。「頒布会」や「頒布権」などの使われ方をすることもありますので、さまざまな「頒布」を知っておく必要があります。