皆さんは「絆す」という言葉をご存知でしょうか?読み方すらわからない方もたくさんいるでしょう。「絆す」は少し難しい表現ですが、意味を理解すればいろいろな場面で使えます。この記事では「絆す」について網羅的にわかりやすく解説します。
絆すの意味と使い方について
ここでは「絆す」の意味について説明します。ただ意味を理解するだけなく、言葉のイメージを正しく理解するために、使い方もあわせて解説します。実際に使うシーンを想定しながら見ていただけると、より理解が深まるのでおすすめです。
意味は繋ぎ止める、束縛する
「絆す」には繋ぎ止める、束縛するという意味があり、相手の行動や言動を制限する意味で使われることが多いですが、体を束縛するなど物理的に相手を縛る言葉としても使われます。ただし、どちらかというと物理的な拘束表現として使われることはあまり多くはありません。なので、情に訴えて相手を繋ぎ止める、相手の共感を得る、の意味合いで捉えるようにしましょう。
参照:Weblio辞書「絆す」
情に訴えて縛るような時に使うことが多い
「絆す」は、情に訴えて相手の行動や言動を制限するような場合に使います。例えば、情に訴えることで、相手から同情や共感を得るような場合に使うことが多いです。ちなみに「絆す」は日常生活はもちろんですが、ビジネスシーンでの交渉の場でも使用できます。
絆すの読み方と他の表現
「絆す」はなかなか聞き慣れない言葉なので、誤った読み方をする方も少なくありません。なので、ここでは「絆す」の正しい読み方を解説します。また、「絆す」の読み方を説明した上で、いろいろな場面で使えるように「絆す」の他の表現もあわせて解説します。
読み方は「ほだす」
「絆す」は「絆」という漢字を使っているので、「きずな」の読み方の印象が強いでしょう。しかし、「絆す」の読み方は「きずなす」ではなく「ほだす」と読みます。また、古語の表現では「絆」を「ほだし」と読ませるので、あわせて覚えておいてください。ちなみに、「ほだし」には足かせになる、妨げなどの意味があります。
他の表現その1 絆される
「絆される」は「絆す」が受動態になった表現です。受動態になったことで意味も変わり、相手に同情して共感したり、影響されたりする様子をあらわします。つまり、主語が自分から相手に移るので使用する際には注意しましょう。
他の表現その2 絆され易い
「絆され易い」は他人に共感する頻度が高い人、影響されやすい人の様子をあらわした表現です。悪い意味での印象が強いですが、共感してくれる心強い味方という捉え方もできるので、ポジティブな表現としても使われます。
絆すの類義語・言い換え表現
ここでは「絆す」の意味をより深く理解するために「絆す」の類義語について解説します。セットで覚えることで理解を深め、シーンによって使い分けるようにしましょう。また、「絆す」を知らない人に説明する場合、類義語と比較しながら教えると理解が早いので、覚えておいて損はありません。
心揺るがす
「絆す」には相手の心に訴えて賛同を得ようとするときに使うので、相手の琴線に触れる様子をあらわした「心揺るがす」とは類語の関係にあるといえるでしょう。誰から見ても自分の考えを曲げないような人が、情に訴えられて考え方を変わった場面をイメージするとよいでしょう。
タガをはめる
「タガをはめる」には、固定や留めるという意味を持つ言葉なので、束縛や引き止めるといった意味を持っています。人の行動や自由を縛る意味で、「絆す」とは類義語の関係にある言葉です。どちらかというと、悪い印象で捉えられることが多いでしょう。
繋ぎ止める
「繋ぎ止める」は、相手を引き止めるときの表現なので、「絆す」の言い換え表現になります。どちらかというと「繋ぎ止める」の方が一般的に知られている言葉なので、場合によっては「繋ぎ止める」を使った方が無難といえます。
絆すの対義語・反対語
「絆す」という言葉は聞き慣れないため、単体の意味だけだとなかなか理解が定着しないかもしれません。対義語・反対語も知ることで「絆す」の意味をより深く理解できるでしょう。加えて、セットで覚えれば、ボキャブラリーも増えるのでおすすめです。
意に介さない
「意に介さない」は、相手のことを気にしない、関心を持たないという意味を持つ言葉なので、相手に共感を呼びかけたり、影響を与えたりする「絆す」の反対語といえるでしょう。「意に介さない」は、どちらかと言うと無関心の意味合いが強いので、後述する「頑なに」とは違ったニュアンスの対義語表現といえます。
頑なに
「頑なに」は自分の意見を曲げない頑固な様子を表現している言葉なので、影響される様子を表現した「絆す」の反対語です。「意に介さない」と比較すると、言葉の持つ印象からより否定のイメージが強くなるのが特徴です。
例外なく
「例外なく」は、柔軟な対応を嫌い、一辺倒なイメージを持つ言葉なので、情に影響され考え方や意見を変えるイメージのある「絆す」とは対義語の関係になります。ただし、例外なくはものごとに対して使用することが多いので、人に使用する場合は前述の他の表現を使うことをおすすめします。
絆すの英語表現
「絆す」は英語表現にするのが難しい言葉ですが、類義語をうまく活用することで、「絆す」に近い英語表現が可能になります。ここでは、例文を交えながら紹介するので、ぜひ実践でも使用できるようにチャレンジしてみてください。
彼女は男性の心を絆すのが得意だ
『She is good at her appealing to feeling, and attracting the heart of the man.』(彼女は情に訴えて、男性の心を惹きつけるのがうまいです。)
惹きつけるという意味を持つ「attracting」を用いています。さらに「絆す」の意味に近づけるために、情に訴えてという意味になる「apperling to feeling」を使用しているのがポイントです。
相手の心を絆すテクニック
『Technique to have the other party sympathize.』(相手からの共感を得るテクニック)
同情する、共感するという意味を持つ「sympathize」を使用することで、相手からの共感を得るという意味持つ「絆す」に近い表現にした例文です。
ビジネスで使える絆すの例文
「絆す」は、正しく理解すればビジネスシーンでも使用できます。特に、営業や商談の場面でも使えるので、多くのビジネスパーソンにとって利便性の高い言葉となるでしょう。ここでは「絆す」をビジネスシーンで使えるように例文を交えながら解説します。自分の職場に置き換えてみて、実際に使用するシーンを想定しながら読んでみてください。
時には情に訴えて相手を絆すのも一つの手だ
「絆す」は相手の情に訴えることで、こちら側に共感してもらうという意味があります。つまり、相手の協力を仰ぎたいときや、目的達成のため、自分の考えに賛同してもらいたい場合、「絆す」という言葉はぴったりです。例えば、プロジェクトなどが発足されたときに、リーダーがメンバーの協力を仰ぎたいときや、目的に賛同してもらいたいときは「絆す」がぴったりの表現になります。
彼は顧客の心を絆す営業が得意だ
顧客からの共感を得るのがうまい営業に対して、称える表現として「絆す」を使用した例文になります。「絆す」の持つ、相手の共感や同情を得るという意味は、例文のような人の心をつかむ人を称える表現としてぴったりでしょう。単純に「営業がうまい」や「相手の心をつかむのがうまい」などでは称える表現として印象が薄いので、「絆す」を使ってワンランク上の表現をするのもおすすめです。
退職する意向だったが社長の熱意に心を絆され残ることにした
「絆す」には情に訴えて相手を引き止めるという意味があります。例文のように社長が有能な人材を引き止めるようなシチューションには、「絆す」を使うと文の意味合いがしっくりきます。「絆す」が持っている「情に訴える」という意味は、情けをかけるイメージが強いですが、例文のように熱意を持った表現としても使えるので、ぜひ覚えておきましょう。
まとめ
「絆す」という言葉は聞き慣れない方が大半かもしれませんが、しっかりと意味を理解すれば多くの方にとって便利な言葉となります。ぜひ、今回の記事を参考にして「絆す」を知らない人にも説明し、積極的に使用できるようになりましょう。