「孤軍奮闘」という言葉を聞いたことはありますか?漢字のニュアンスから「たった一人で頑張っている」様子が浮かび上がってきますね。今回は「孤軍奮闘」の正しい意味と使い方に加え、類語や対義語・英語表現についても詳しく紹介します!
「孤軍奮闘」の意味とは?
「孤軍奮闘」という言葉は、日常生活やビジネスシーンにおいてよく使われる言葉です。この言葉を使ったことがあるという方も多いでしょう。ここでは「孤軍奮闘」の意味やニュアンスについて詳しく解説します。
「誰の援助も無く、一人で努力すること」を指す
「孤軍奮闘」は「ただ一人で懸命に戦う」という意味の言葉です。ビジネスシーンにおいても使われる言葉ではありますが、なるべくならば孤軍奮闘しなけらばならない状況は避けるべきです。一人で努力することも素晴らしいことではありますが、「孤軍」になって「奮闘」し続けるのは仕事を進めるうえで無理が生じるときがあります。「孤軍奮闘」するよりも協力しながら仕事を進めるようにしましょう。
一人で抱えこまない事が大切
ビジネスシーンにおいては、「孤軍奮闘」は辛い思いをするときが多いです。なるべく周囲の助けを得られるよう、「孤軍奮闘」にならないための対処法もこの後紹介します。一人で抱え込みがちな性格な人、孤軍奮闘で戦いがちな人は注意が必要です。
「孤軍奮闘」の読み方
「孤軍奮闘」は「こぐんふんとう」と読みます。「孤軍」という熟語と「奮闘」という熟語が合体してできた言葉です。日本人ならば常識として知っておきたい四字熟語になります。
「孤軍奮闘」の由来・語源
ここでは孤軍奮闘の由来や語源について解説します。「孤軍」は「孤独な軍」という意味 で「周囲に助けを求められない状況」を表す言葉です。「奮闘」は力いっぱい努力するという意味を持ち、人よりもさらに強い強度で努力しているというニュアンスを持ちます。成り立ちが比較的わかりやすいため、意味のとりやすい言葉に分類されるでしょう。
「孤軍奮闘」の類義語・言い替え
「孤軍奮闘」の類義語や言い換え表現を紹介します。ここで紹介するのは「四面楚歌」と「孤立無援」の2つの言葉です。似た意味の言葉をたくさん知ることは、表現の幅を広げることにつながります。それぞれの言葉の意味やニュアンスを詳しく見ていきましょう。
「四面楚歌」
「四面楚歌」という言葉の意味は、「周りが敵ばかりで助けるものがいない状況」を表す言葉です。集団の中で孤立している状態を表す言葉で、中国の故事成語が由来となっています。「自軍がすでに降服し援軍がこない中、孤立した軍が奮闘している様子」を表した四字熟語で、全方向から敵の楚の国の歌が聞こえてくる様子から来ています。想像するだけでもかなり絶望的な状況であることがわかります。ビジネスシーンにおいて「四面楚歌」は絶対に避けて通りたい道になります。
「孤立無援」
「孤立無援」と四字熟語は「仲間や味方が誰もおらず、助けを全く得られないさま」を表す言葉です。。自分だけで戦わなくてはいけない状況を指し、この言葉も「孤軍奮闘」や「四面楚歌」と同じニュアンスを持っているといえます。「孤軍奮闘」と異なるのは、「奮闘しているかどうかはわからないこと」です。「孤立しながらも努力していること」を強調して表現した場合は「孤軍奮闘」の方が適しているでしょう。
「孤軍奮闘」の対義語
「孤軍奮闘」の対義語を紹介します。今回は「共存共栄」と「相互扶助」という2つの言葉について深掘りします。逆の意味を持つ言葉を見つけることで、日本語のボキャブラリーを増やすことにつながります。これらの言葉の意味や使い方について詳しく見ていきましょう。
「共存共栄」
「共存共栄」という言葉は「敵対せずに、お互いに生存し栄えていくこと」を表す言葉です。2つ以上のものが持ちつ持たれつで生存し栄えている様子を表します。つまり、ウィンウィンな関係が成立している状態を指します。ビジネスシーンにおいても最終的にはこの関係に収束するようにしていくことが望ましいです。虫の世界で例えるならば、アリとアブラムシの関係に近いといえます。アリはアブラムシから蜜をもらい、アブラムシはアリの天敵であるテントウムシから守ってもらいます。自然界においてもこのようなウィンウィンな関係が成り立ちます。
「相互扶助」
「相互扶助」は「互いに支えあい助け合うこと」を表します。「相互扶助」を省略して、「互助」という熟語も使われます。「相互扶助」を使う際の注意点として、「する」をつけて動詞化することはしない点です。名詞として使用するようにしましょう。
仕事において「孤軍奮闘」にならないための対処法3選
ここでは仕事場において「孤軍奮闘」という状況にならないための対処法を3つ紹介します。仕事が一人の人に集中している状況はビジネスシーンにおいて散見されます。そういった状況を防ぐためにも、普段からコミュニケーションを取って業務を分担する必要が出てきます。ここではそれらのことについて紹介します。
経験量にかかわらず相談しやすい雰囲気を作る
ある程度経験を積んだ社会人が感じることとして、「経験をある程度積んでいると周囲の人に質問しにくい」という気持ちが挙げられます。「年下の子には聞きにくいな…」といったことは誰もが感じる気持ちであるといえます。しかし、職場で孤軍奮闘にならないためには、年次が自分より低い人に対しても「わからないことがあったら積極的に訪ねること」が大切です。そこから新たな人間関係が広がる可能性もあります。一人で抱え込まないようにしましょう。
新人が先輩へ気軽に話しかけられる関係を築く
新人の悩みとしては先輩に質問しにくいという問題が挙げられます。「先輩が忙しいそう…」「今質問したら悪いかな。」など、新人ならも誰もが抱える悩みであるといえます。とはいえ、いつも余裕たっぷりでフォローしてあげられないのが先輩方の実情でしょう。こういったジレンマを解決するためには、「忙しくてもヘルプを出せる信頼関係を築く」ことが大切です。困っていることの意思表示だけでもしておくべきであり、手が空いたら助けてもらえる信頼関係を築いておくことが何よりも重要です。
「教えても無駄」は命取り!積極的に手を差し伸べる
自分が抱えている業務の専門性が高くなると、「教えるより自分がやった方が早い。」という状況が増えていきます。しかしこの考え方は非常に危険です。仕事において意外と同じ状況や質問は何度も繰り返されます。説明するときは手間でも、自分ができることを職場全体にも伝えておくことは後々自分の仕事を減らすことにつながります。自分と同じ専門性を持つ人が職場に増えれば自分の業無負荷も減るため、孤軍奮闘にならないための予防線になります。
「孤軍奮闘」を英語でいうと?
孤軍奮闘という言葉の英語表現を紹介します。ここで紹介するのは、「fight alone」と「put up a solitary struggle」の2語です。これらの言葉について詳しく見ていきましょう。
「fight alone」
「to fight alone against a powerful enemy」は「大敵を相手に少数の軍勢で奮闘する」という意味の言葉です。「fight」 で「戦う」という意味、「alone」で「孤独」を表します。この文はまさに「孤軍奮闘」を表現しているといえます。一つ一つの単語はかんたんなので、フレーズとして身に着けておくと役に立つことがあるかもしれません。
「put up a solitary struggle」
2つ目の英語表現として「put up a solitary struggle」が挙げられます。「solitary」 で「一人で」を表し、「struggle」で「一生懸命努力をする」という意味になります。つまり、「孤軍奮闘」を英語に直訳したような表現になります。
「孤軍奮闘」の使い方と例文集
最後に「孤軍奮闘」の使い方や注意点、例文について解説します。正しい言葉の使い方を身につけることは非常に大切なことです。使い方や注意点について詳しく見ていきましょう。
「孤軍奮闘」の使い方
「孤軍奮闘」は「一人で努力している様子」を表現するときに使う言葉です。また、よい意味と悪い意味の両方に使える表現になります。肯定的か否定的な意味かは、この言葉を発する人の主観によります。「一人で頑張っていること」を称賛する気持ちがあるのか、それとも批判的に評価しているのかが文脈から伝わってきます。これらの違いは、例文でそれぞれ紹介します。
「孤軍奮闘」を使用するときの注意点
この言葉の注意点としては、「そもそも一人で行うことに使わない」という点です。例えば「彼はたくさん本を読むことに孤軍奮闘している」は誤用になります。なぜなら、読書はそもそも一人でするものだからです。読書に励んでいるニュアンスは伝わりますが「孤軍」をつける必要はありません。「一人で頑張る」の裏には「本来複数人でやるもの」という背景があることを忘れないようにしましょう。
「孤軍奮闘」の例文
最後に「孤軍奮闘」の例文を3つ紹介します。
- 孤軍奮闘で事業を拡大してきたが、そろそろチームのメンバーがほしくなってきた。
- 孤軍奮闘ながらも彼女は素晴らしい成果を挙げるに至った。
- 彼の仕事の仕方を見ていると、孤軍奮闘には限界があることが見て取れる。
2つ目の文は孤軍奮闘がよい意味で使われていますが、3つ目の文はあまりよい意味では使われていません。このように文脈から肯定的な意味か否定的な意味かを読み取れます。
まとめ
「孤軍奮闘」は「誰の援助もなく一人で努力すること」という意味があります。職場において孤軍奮闘にならないためにも、普段から周囲と密にコミュニケーションをとることが何よりも大切です。