「ちなみにをビジネスで使っていいのかな?」とお悩みですか?「ちなみに」はビジネスでも使えます。ただし「ちなみに」は日常生活で誤った使い方がされていることも。ここで「ちなみに」の正しい使い方をマスターし、ビジネスの場に役立たせましょう。
「ちなみに」の意味とは?
「ちなみに」の意味とは、前に述べたことに対して、補足の情報を示すときに使う「接続詞」です。
「ちなみに(因みに)」の語源は「因む」
「ちなみに」の語源は動詞の「ちなむ(因む)」です。「ちなむ」とは、「つながりがあること」を意味します。
「ちなみに」の敬語はある?
「ちなみに」自体に敬語表現はありません。ほかの敬語表現とあわせて敬語を作らなければいけません。
「ちなみに」はビジネスシーンで使える?
「ちなみに」は、ほかの敬語表現と組み合わせて文章を作れば、ビジネスシーンでも問題なく使えます。
ただし、プライベートで頻繁に用いられる言葉なので、カジュアルな表現だと感じる人もいることを知っておきましょう。可能な限りほかの言い換え表現を使うことが好ましいです。この記事では、「ちなみに」の言い換え表現も紹介しているので参考にしてみてください。
「ちなみに」の使い方と例文集
「ちなみに」の使い方を注意点や例文とあわせて理解していきましょう。
「ちなみに」の使い方
「ちなみに」は、前の文と関係性のある情報を、後ろに付け足すときに使います。「本年度の売り上げデータを表にしました。ちなみに、下記の数字は前年度のデータです。」このように、文頭で接続詞としての役割を果たします。
「ちなみに」を使用するときの注意点
「ちなみに」を使用するときは、注意しておくべきことがいくつかあります。ここでは、「ちなみに」を使用するときの注意点を5つ解説します。
ちなみにですが、は使えない
話題を転換する「ちなみにですが」は誤用です。「ちなみに」は、前の文と関係性のある情報を、後ろに付け足すときに使うからです。「ちなみにですが、明日はお休みですか?」といった具合に、「ちなみにですが」を文頭に持ってきて話題を転換することは間違っています。よく耳にするかもしれませんが、正しくないことを知っておきましょう。話題を転換するときは、「ところで」が正しい表現になります。
「ちなみに」は質問文に使えない
「ちなみに~ですか?」のように「ちなみに」を質問文で使うことは誤りです。「ちなみに」が不要である、あるいは「ところで」が適切である場合が多いからです。また、「ちなみに」は、そもそも前の文に情報を付け加えるときに使う接続詞だからです。
たとえば、「お土産です。ちなみに、辛いものはお好きですか?」この場合は「ちなみに」が不要、「北海道のお土産です。ちなみに、北海道に行ったことがありますか?」この場合は、「ところで」が適切となります。
「先日はありがとうございました。ちなみに明日のご予定は?」この場合は、前の文がただの前置きになっていて、「ちなみに」が情報を付け加える役割を果たしていないことがわかります。
「ちなみに」は話題転換に使えない
「ちなみに」は話題転換に使えません。「ちなみにですが、は誤用」であることを解説した際にも触れましたが、「ちなみに」は前後の情報が関係性を持っているときにだけ使える接続詞です。話題転換をしたいときは、「ところで」や「さて」、「何はともあれ」、「それでは」などほかの接続詞を使いましょう。
「ちなみに」の後の文が長い場合使えない
後ろに続く文が、前の文よりも長い場合には、「ちなみに」を使えません。「ちなみに」は、前の文に補足する情報があるときに使う接続詞だからです。後ろの文が長ければ、補足ではなくなってしまいます。後ろの文が前の文よりも長い場合は、前後を入れかえると適切な表現になることが多いです。
「ちなみに」を使い過ぎない
「ちなみに」を多用しないように注意しましょう。多用すると文章が読みづらくなるからです。目安として、ビジネスメールに使う場合は、本文に1回までとしましょう。それ以上使うと、情報にまとまりがなくなってしまいます。必要に応じて箇条書きも使うようにすれば、「ちなみに」の多用を防げるので試してみてください。
「ちなみに」の例文
「ちなみに」の例文は以下のとおりです。
- …ちなみに申し上げますと、ただいま半額セールを実施中でございます。
- …ちなみに申しますと、本年度は昨年度よりも実績が伸びております。
- 明日の会議では新プロジェクトについて重要な話し合いがあるので必ず出席してください。ちなみにA会議室で行います。
- こちらの商品は現在在庫切れとなっており購入できません。ちなみに再入荷は来週になります。
- 本日はご連絡いただきありがとうございました。ちなみに明日より割引セールを開催いたします。
「ちなみに」の類義語・言い換え
ここでは「ちなみに」の類義語・言い換え表現を、8つ紹介します。シチュエーションに合った表現を使えるようになりましょう。
ついでながら
「ちなみに」のかわりに「ついでながら」を使うとより丁寧な印象を与えられます。「ついでながら」は、相手への配慮や恐縮さが「ちなみに」よりも強い言葉です。ビジネスシーンでは、「ついでながら」が使われる場合も多くあります。
ただし、使う状況はよく見極めましょう。「ついで」には、おまけであるとのニュアンスもあるため、場合によっては補足情報の内容をないがしろに感じさせてしまう恐れがあるからです。使っても違和感がないかあらかじめ確認してください。
補足いたしますと
「補足いたしますと」は「ちなみに」の言い換え表現です。「ちなみに」のカジュアルさが気になる人は「補足いたしますと」を使いましょう。「補足する」に謙譲語の「いたす」が付いているので、相手への敬意を伝えられる丁寧な表現です。
付け加えますと
「付け加えますと」は「ちなみに」の言い換え表現です。「ちなみに」のカジュアルさが気になる場合は、「補足いたしますと」と同様「付け加えますと」を使ってください。「補足いたしますと」とどちらを使ってもほとんど同じ意味です。
なお
「なお」は「ちなみに」と同じように前の文に補足する情報があるときに使える接続詞です。ただし、「なお」の場合は、前述した内容に対する補足情報を強調したいときにも使えます。補足情報を強調したいときは、「ちなみに」ではなく「なお」を使うと覚えておきましょう。
ところで
「ところで」は、話題転換をするときに使う表現です。「ちなみに」が前後の内容に関連性が必要なのに対し、「ところで」は前後の情報関連性がない場合に使います。「ちなみに」と同様ビジネスシーンで使える言葉ですが、フランクな印象もあるため、使うシチュエーションには注意しましょう。
併せて
「併せて」は、「同時に」といった意味を持ち、情報を付け足したいときに使います。付け足す情報が、前の文と関連性がない場合にも使える表現です。前の文の内容と「同時に」して欲しいことやお願いしたいことがあるときに使えます。
蛇足ですが
「蛇足ですが」は、前の文と関連した情報を付け加えるときに使える表現です。「蛇足ですが」を使うことで、「付け足す情報は不要かもしれませんが」といったニュアンスを含められます。より丁寧な表現は、「蛇足ではございますか」となります。
念のために
「ちなみに」の類義語である「念のために」を、「ちなみに」に付け加えて「ちなみに、念のために申し上げますと」とすれば相手への配慮が伝わる丁寧な表現になります。「念のために」を付け加えることで、「ご存知かもしれませんが」といったニュアンスを添えられるからです。相手がすでに知っていることを補足すると不快に思われる恐れもあるので、場合によっては付け加えるようにしましょう。
「ちなみに」を外国語でいうと?ビジネスでも使える!
「ちなみに」を英語、中国語、韓国語それぞれ何というのか紹介します。
「ちなみに」の英語
「ちなみに」の英語表現は、「for your information(ご参考までに)」です。「for your information(ご参考までに)」は、「ちなみに」と同じように、情報を付け足すときに使えます。ほかには、「on a side note」や「as a side note」、「by the way」、「Just for the record」といった表現方法もあります。
「ちなみに」の中国語
「ちなみに」の中国語表現は、「顺便一提(Shùnbiàn yī tí)」や「顺便一说(Shùnbiàn yī shuō)」です。
「ちなみに」の韓国語
「ちなみに」の韓国語表現は、「근데(geunde)」 です。
まとめ
「ちなみに」は、前の文と関係性のある情報を、後ろに付け足すときに使います。敬語と組み合わせれば、ビジネスシーンでも問題なく使えますが、人によってはフランクだと感じてしまうことも。そこで、「ちなみに申し上げますと」や「ついでながら」、「念のために」など言い換え表現も使えるようにしておき、シチュエーションに応じた言葉選びをしていきましょう。