手紙やビジネスメールでよく見かける「追伸」。どういった意味で、どのようにして使えばいいのでしょうか?特にビジネスメールでは、使い方を間違えると失礼に当たることもあります。例文を交えて、詳しく解説します。
追伸の意味・読み方は?
「追伸」という言葉はよく手紙やメールで使われる言葉です。一度は目にしたという人がほとんどでしょう。「追伸」にはどのような意味があるのか、解説していきます。
手紙などで、本文の後に、さらに書き加える文のこと
手紙やメールで本文を書き終えた後、そこにさらに書き加える文のことを指します。また、その書き加える文章の冒頭に加える言葉でもあります。手紙、ビジネスメールの本文では用いず、最後に書き加える文章で使います。
参照:Weblio辞書「追伸」
読み方は「ついしん」
読み方は「ついしん」。主に手紙やメールなどで用いられる書き言葉であり、いわゆる話し言葉としては一般的ではありません。
「追伸」の類義語・言い換え
手紙やメールで本文を書き終えた後、そこにさらに書き加える文のことを指す「追伸」。類義語や言い換えとしてはどのような表現が適切なのでしょうか?詳しく解説します。
共通の意味の言葉は、「二伸」、「再伸」、「追って書き」
「二伸」、「再伸」、「追って書き」などが共通の意味としてあげられます。どの単語も「追伸」と使い方は同じで、本文の後に書き加える文の冒頭に用います。
そのほか「尚尚書」、「追啓」、「追白」が類義語として挙げられる
「尚尚書」、「追啓」、「追白」が類義語です。ただ、一般的にはピンとこないという人がほとんどなので、本文の後に添える文章は「追伸」と表現する方がいいでしょう。
「追伸」の使い方と例文集
例文を交えて、「追伸」の使い方を解説していきます。
手紙での使い方と例文
拝啓 春暖の候 暖かな日差しが嬉しい季節となりました。皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
先日の家族でのお茶会ではありがとうございました。
おかげさまでとても楽しい時間を過ごせました。
一緒に撮った写真も同封しておりますので、よければご覧くださいませ。
暖かくなったとはいえ、まだ朝晩の気温差がありますので、風邪など召されませぬよう、ご自愛ください。
敬具
令和3年4月21日
鈴木花子
山田薫子様
追伸 夏に開催予定のお茶会も楽しみにしております。
「追伸」は手紙では上記のように用います。結びの言葉や結語(敬具など)、日付、自分の名前、手紙を出す相手の名前を書いた後に「追伸」と書き、追加したい文章を書きます。
ビジネスメールでの使い方と例文
件名:〇〇の資料を送ります。(営業部 鈴木)
〇〇係長
お疲れ様です。営業部の鈴木です。
先日の会議では、〇〇についてわかりやすく解説してくださりありがとうございました。
改めて、〇〇についてまとめた資料を作成しましたので、送ります。
ご確認くださいますよう、お願い申し上げます。
追伸 いつも残業お疲れ様です。〇〇のプロジェクトが終わったら、飲みに行きましょう!
署名
ビジネスメールの場合は上記のようになります。本文を書き終えた後に追伸の文章が続き、その後に署名という流れです。
「追伸」を使用するときの注意点
上記では手紙やビジネスシーンにおける追伸の使い方などを解説しましたが、実は「追伸」という言葉は使用するうえで大きな注意点があります。
目上の人に対して使うのは失礼に当たる
「追伸」は、本文を書き終えた後に付け加えたいことがある場合に使う表現です。つまり、追伸は本来、書き直しの手間を省くもの。特に文章を書き直すのが容易なメールにおいて、目上の人に「追伸」を使うのは失礼に当たる可能性があります。
もし目上の人へのメール作成時に文章を付け加えたいと思うケースがあったら、「追伸」は使わずに、本文を書き直すか、また別途メールを作成してから送るのがいいでしょう。 ビジネスシーンにおいて、目上の人に「追伸」は使わないほうが無難です。
「追伸」は親しい人に対してのみ使える
ビジネスメールにおいては失礼にあたる可能性もあるので、特に目上の人には原則NG。また、そのほか同僚や部下などにも、使わないほうが無難といえます。
ただ、日頃から親しくしていて、関係性ができている相手でしたら、使ってもいいでしょう。
「追伸」は相手を選んで用いる必要がある
上記の通り、親しい間柄などを除いて、ビジネスシーンにおいて「追伸」は極力使わない方がいいです。何気なく使っていたけれど、実は失礼に当たっていた、なんてことにならないようお気を付けくださいね。
「追伸」と書かない場合の追記の仕方
「追伸」は原則ビジネスメールでは使えません。ただ、「追伸」を使わず、類語を使って表現することは可能です。詳しく解説します。
「末筆ながら」
「末筆ながら」は、「追伸」の類語であり、ビジネスシーンにおいて使用しても問題のない表現です。結びの挨拶の書き出しに用いられることが多い言葉であり、「末筆ながら」の後には、相手の健康を願ったり、相手への気遣いの気持ちを表現したりする言葉が続くのが一般的です。
ただ、「末筆ながら」の表現は、独立した表現である「追伸」と違って、本文の流れを意識して書かなければいけないという注意点があります。
また、「末筆ながら」も「追伸」と同様に書き言葉なので、話し言葉としては使いません。
「末筆ながら」の例文
- 末筆ながら、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
- 末筆ながら、本年も変わらぬお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。
「末筆ながら」は上記にように使うことが可能です。
また、「末筆ながら」の言い換えとして、「末筆ではございますが」という表現もあります。こちらはより丁寧な表現になります。
- 末筆ではございますが、くれぐれも健康にはご留意ください。
- 末筆でございますが、貴社のご隆盛と皆様のご健勝を心より祈念申し上げます。
「末筆ながら」、「末筆ではございますが」という表現は、目上の人に対しても、目下の人に対しても使える便利な言葉です。社会人として覚えておいて損はないでしょう。
「追伸」を英語でいうと?
「追伸」は英語でPostscriptと表現します。ラテン語のPost scriptum発祥の言葉です。ちなみに、Post scriptumには「後」という意味があります。
Postscript 略語でP.S.
Postscript を略し、P.S.と表します。一度は目にした表現だという人が多いでしょう。こちらの表現も、「追伸」と同じくビジネスシーンでは原則NGで、使わない方が無難でしょう。
親しく関係性が構築されている相手あれば、使っても問題ありません。
P.S.の例文
件名:先日の食事会ではありがとう!
○○様
お疲れ様です!
先日の食事会では幹事を務めてくれてありがとう。
おかげさまで楽しい時間を過ごせました。
またの機会に、ぜひよろしくね!
P.S.この間プレゼントしてくれたハンドクリーム、愛用しています!お気遣いありがとう。
署名
P.S.の使い方は上記のようになります。本文を書き終えた後にP.S.の文章、署名と続く流れです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は追伸について解説しました。
「追伸」を使用するうえで大きな注意点は、失礼に当たる可能性があるかもしれないこと。なぜなら、「追伸」は、本文を書き終えた後に付け加えたいことがある場合に使う表現であり、書き直しの手間を省くものだから。特に文章を書き直すのが容易なメールにおいて、目上の人に「追伸」を使うのは失礼に当たる可能性があります。例え同僚や部下であっても、ビジネスシーンにおいて「追伸」は使用しない方が無難です。ただ、信頼していて関係性が構築されている相手であれば、使っても問題ないでしょう。
それでも「追伸」を使いたい場合は、類語である「末筆ながら・末筆ではございますが」という表現を使うのが適切です。こちらはビジネスシーンにおいて使っても問題ありません。
「追伸」の英語での表現はP.S.です。ただ、こちらもビジネスシーンにおいては使わない方が無難です。仲のいい友達や関係性ができている相手なら問題ないでしょう。
最後に「追伸」のまとめです。
- 「追伸」は手紙やメールで本文を書き終えた後、そこにさらに書き加える文のことを指します。
- 読み方は「ついしん」です。
- 「二伸」、「再伸」、「追って書き」などが「追伸」の共通の意味としてあげられます。そのほか「尚尚書」、「追啓」、「追白」が類義語として挙げられます。
- 特に文章を書き直すのが容易なメールにおいて、目上の人に「追伸」を使うのは失礼に当たる可能性があります。ただ、日頃から親しくしていて、関係性ができている相手でしたら、使ってもいいでしょう。
- 「末筆ながら」は、「追伸」の類語であり、ビジネスシーンにおいて使用しても問題のない表現です。
- 「追伸」は英語でPostscriptと表現します。Postscript を略し、P.S.と表します。こちらの表現も、「追伸」と同じくビジネスシーンでは原則NGで、使わない方が無難でしょう。