ご回答の正しい使い方|敬語の種類や類語「ご返答」との違いも例文解説

「ご回答」の正しい使い方|敬語の種類や類語「ご返答」との違いも例文解説
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「ご回答をいただけますか?」と連絡を受け「ご回答申し上げます」と返し、ん?となったことはありませんか?頼む方も応える方も「ご回答」でいいの?と不安になりますね。誤った使い方をしていることも多いこの言葉、正しく使えるように解説します。

目次

「ご回答」の意味とは?

「ご回答」の意味とは?

「ご回答」は問い合わせに答える場合などによく用いる表現です。何の気なしに使っていると、思わぬ間違いがあっても気付きにくいものです。意味からしっかり確かめていきましょう。

要求などに答えること

「ご回答」は、質問や要求に対して答えることを言います。返す、戻すの意味を持つ「回」の字が用いられているので、まず相手側からの問いかけがあって答えていることを表しています。

「お回答」とは言わない

「ご回答」を漢字にすると「御回答」となります。この「御」の字は、敬語表現のための接頭辞としてよく用いられるものです。ご存知の通り、この字は「お」とも読めるので、「お回答」でもいいのか、となりそうですが、これは誤りです。「御」の読み方は、それが付く言葉が漢語か和語かで決まります。音読みする漢語であれば、それに合わせて音読みで「ご」と読むわけです。

参照:Weblio辞書「ご回答」

「ご回答」の敬語表現

「ご回答」の敬語表現

「ご回答いただけませんか?」と問われて「それではご回答いたします」と返します。相手も自分も「ご回答」を使っていてもいいのでしょうか?「ご回答」の敬語表現について考えてみましょう。

オールマイティーな敬語

結論から言うと、「ご回答」は相手に対しても、自分に対しても使えるオールマイティーな敬語です。相手に使う場合は、尊敬の意味の接頭辞として「ご」が用いられ、全体として尊敬語になります。自分に使う場合は、丁寧表現の接頭辞として用いられ、全体としては丁寧語となり、謙譲表現としても使用できます。

後ろに続く言葉が重要

「ご回答」そのものは尊敬語にも、謙譲語にもなりうるわけですから、前後の文脈や伴って使う補助動詞などで意味が決まります。「ご回答いただきます」とした場合、「いただく」は、してもらう、を表す尊敬表現の補助動詞ですから、「ご回答」は相手の答えを持ち上げている尊敬語となります。「ご回答申し上げます」とした場合、「申し上げる」は、言う、を表す謙譲表現の補助動詞ですから、「ご回答」は自分が答えることの丁寧表現で、全体として自分が答える行為をへりくだって伝える謙譲表現となるわけです。

「ご回答」の使い方と例文集

「ご回答」の使い方と例文集

「ご回答」は使い勝手のよい言葉です。逆に言うと使い間違いの多い言葉でもあります。正しい使い方を身に付ける必要がありますね。

「ご回答」の使い方

「ご回答」は状況に合わせて使い方を変える必要があります。尊敬語として用いる場合と、謙譲語として用いる場合をはっきり使い分けなければなりません。状況別に使い方を見ておきましょう。

尊敬語の場合1:「ご回答ありがとうございます」

例文

お忙しい中、ご回答ありがとうございます。いただいたご意見を生かしてまいります。

相手の回答に対して感謝の意を伝える表現です。「ありがとうございます」自体に尊敬の意味はありませんので、前後の文脈や態度で尊敬の意を表するように注意しましょう。

尊敬語の場合2:「ご回答の程」

例文

問い合わせ内容について、ご回答の程、よろしくお願いいたします。

「の程」は、~してもらうように、を表す敬語表現です。「ご回答ください」の表現は、要求を表す「ください」を伴うのでぶしつけな印象がありますが、「の程」とすることで断定的な表現を避けられます。

尊敬語の場合3:「ご回答いただく」

例文

アンケートにご回答いただくと懸賞に応募できます。

「いただく」は、もらう、の意味の謙譲表現ですから、相手の答えをさらに持ち上げる丁寧な尊敬表現となります。「ご回答してもらうと…」のような表現では「ご回答」が尊敬の意味ではなく単なる丁寧表現にしか受け取れなくなってしまいます。

尊敬語の場合4:「ご回答お待ちしております」

例文

参加の可否について、ご回答お待ちしております。

「お待ちしております」が謙譲表現なので、「ご回答」をより持ち上げる尊敬表現になります。答えを催促するようになると失礼ですが、「お待ちしております」は丁寧ながらも強い待望を感じさせられるので、使いやすい表現です。

謙譲語の場合1:「ご回答がございます」

例文

会場からの質問に対して、担当者よりご回答がございます。

自分側の回答に「ご」を付けるのは間違いでは、とよく誤解されている用法です。「ございます」と丁寧な謙譲表現を用いていますので、この「ご回答」は謙譲語として使われているわけです

謙譲語の場合2:「ご回答申し上げます」

例文

メールにてご回答申し上げる失礼をお許しください。

「申し上げる」は、言う、の意味の謙譲語ですから、「ご回答」も謙譲表現として用いられています。「申し上げる」はとても丁寧な敬語表現ですから、あらたまった場や目上に対しても問題なく使えます。

謙譲語の場合3:「ご回答差し上げる」

例文

社に持ち帰って上司と相談してからご回答差し上げたいと存じます。

「差し上げる」は、与える、の意味の謙譲語ですから、全体として謙譲表現になります。謙譲表現とはいえ「差し上げる」にはやや上から目線な響きを感じる人もいます。気になるようなら「申し上げる」を用いる方が無難でしょう。

「ご回答」の間違いやすい使い方

「ご回答」の間違いやすい使い方

「ご回答」は日常よく使う言葉なだけに気付かないうちに誤った使い方をしてしまっていることがあります。よくある例を3つ紹介します。

「ご回答いたします」

・ただいまよりご回答いたします。
「ご回答いたします」は何気なく使ってしまっていますが、厳密には間違った使い方です。「回答する」を謙譲語にしたものが「回答いたす」なので、これに「ご」を付けることは二重敬語となるからです。この言い方なら「回答いたします」とするのが正しい用い方となります。

「ご回答させていただく」

・その件については書面にてご回答させていただきます。
「ご回答させていただく」は「回答する」を受動態にして謙譲の補助動詞を添えた謙譲語なので、これに「ご」を付するのは二重敬語です。「ご回答」を「させていただく」のように助詞の「を」で分割することで、この誤りを避けられます。「~させていただく」は何となく丁寧な印象があり多用される傾向がありますが、二重敬語となりやすいので避けた方がいい言い回しです。

「ご回答ください」

・明日までにご回答ください。
「ください」は敬語表現なのですが、要求を表す意味があるため、敬意を表す意味が薄れがちです。特に目上の方などに用いると、何か指示を受けているかのような居丈高な雰囲気を感じさせてしまうこともあります。誤解を避ける意味でも「ご回答よろしくお願いいたします」のような丁寧な言い方を心がけましょう。

「ご回答」の類義語と違い

「ご回答」の類義語と違い

答えることを表す言葉はほかにもあり、「ご回答」と混同しやすいものもあります。2つを見ていきましょう。

「ご解答」

・先日の試験のご解答を拝見しました。
解答は、問題を解いて答えること、またはその答え、を表す言葉です。音が同じなのでよく間違われますが、「ご回答」と違い、解答には返事の意味はありません。

「ご返答」

・ご返答がないので、お届け物は持ち帰りました。
返答は、問いかけに答える、呼びかけへの受け答え、の意味があります。「ご回答」が比較的こみ入った内容の返事を求めるのに対して、単純な受け答えに用いる場合が多いですね。

「ご回答」を英語でいうと?

「ご回答」を英語でいうと?

英文のメールなどで「ご回答」を求めるとき、なんと言えばいいのでしょうか?英語表現についても見ておきましょう。

answer

・Thank you for your answer.(ご回答いただきありがとうございます。)
一般的に質問に対する答えのことはanswerで表現できます。テストの解答もこの言葉で表現されますので、返事の意味ではあまり用いられないですね。

response

・Please write a response on the response sheet.(回答用紙にご回答を書きこんでください。)
responseは、反応、の意味を表す言葉ですが、問いかけに反応する点で「ご回答」の意味になります。answerよりは一般的ではありませんが、単に問題に答えることよりは「ご回答」に近いニュアンスがあります。

まとめ

「ご回答」は敬語表現としては非常に守備範囲の広い言葉です。申し出に対して回答を求める場合にも、自分の方から回答をする場合にも使えるので、日常的によく使われます。しかし、その使用頻度の割に正しい使い方がきちんと理解されず、誤った用い方が多い言葉でもあります。ビジネスシーンではそうしたちょっとした違和感が、大きな不信につながってしまうことは避けなければなりません。日々の言葉の使い方をこまめにチェックする習慣を身に付けておきたいですね。

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