してくださいの正しい敬語の使い方と意味|して下さいとの違いや言い換え例文

「してください」の正しい敬語の使い方と意味|「して下さい」との違いと言い換え例文
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「してください」は、他人に何かしてほしい時にお願いする際に使用する言葉です。

「してください」は、敬語のように思えますが、実は丁寧語。命令形でもあるので、失礼にあたる可能性があり、ビジネスシーンではそぐわないこともあります。

この記事では「してください」の意味や正しい敬語の使い方のほか、ビジネスシーンでふさわしい表現とその例文を紹介しますので、参考にしてください。

目次

「してください」は正しい敬語表現?

「してください」は正しい敬語?

人に何か行動をお願いするときに使われる「○○してください」という表現。

なかには、「してください」とは、敬語なのかどうか迷う方もいるかと思いますが、「してください」は「して」という言葉に「ください」という丁寧語をつけた敬語表現になります。

ただ、「してください」は敬語(丁寧語)ではありますが、人によっては「命令されている」と捉えてしまう人もいますので注意が必要な言葉ではあります。また、よりかしこまった表現がふさわしいビジネスメールや手紙などの文章には、より適した表現があります。

小学生も使う「してください」は幼稚に思われがちなこと、命令形なので強く聞こえてしまう点でも、避けた方が無難です。

「してください」の意味と使い方

「してください」の意味と使い方

「してください」は他人に行動を促す命令文

「してください」は、他人に行動してもらうための命令文に使われます

また、して欲しくないときに使う「しないでください」も同様に命令文に使われ、強制している感じを与えてしまいます。「してください」を相手の目の前で、気持ちに沿うように優しい口調で言えば機嫌を損なうことはないかもしれません。ですがビジネスメールなど相手の顔が見えず、声の調子で推し量れない状況では、失礼に思われてしまうことの方が多いでしょう。

「してください」の敬語の種類

「してください」の敬語の種類

「してください」は、相手にお願いするときに使う丁寧語です。相手に敬意を示す尊敬語や謙譲語とは異なるので、相手に行動してもらいたい場合に使うと命令のようになり、そぐわないケースがあります。

「してください」の敬語の種類は丁寧語

「してください」は「して」に丁寧語の「ください」が合わさっていて、聞き手にお願いする場面で多く用いられます。丁寧語とは言葉をきれいに感じさせるための表現で、相手への敬意は含まれていないため、敬語ではない点に注意しましょう。「ご連絡」の「ご」や「お茶」の「お」は、丁寧語にするための接頭語です。

「してください」の尊敬語は「なさってください」

「してください」の尊敬語は「なさってください」です。「する」の尊敬語が「なさって」になります。たとえば「ご検討なさってください」や「ゆっくりなさってください」など、「して」を「なさって」に変えるとていねいな表現になり、相手の行動に対して敬意を伝えられます。

接頭語「ご」または「お」+名詞+「ください」でも尊敬表現に

「してください」の代わりに「ご」または「お」の接頭語を名詞に付け、語尾を「ください」とすると尊敬表現にできます。「ご」は音読みされる漢語(中国から入ってきた言葉)に、「お」はひらがな表記の和語や漢字の訓読みに付けましょう。たとえば「お忘れ物のないよう、お帰りの際はご確認ください。」などと使います。

「してください」の正しい敬語表現とは?

「してください」の正しい敬語表現とは?

「してくださいませ」「してくださいますか」だとより丁寧な印象に

「してください」を「してくださいませ」とすると、相手へのお願いにていねいな気持ちが込められ、柔らかい印象になります。また、「してくださいますか」とすると文末が疑問形になり、「して欲しいが可能でしょうか」というニュアンスになって、より柔らかい表現になります。

例文
  • どうぞお召し上がりくださいませ。
  • ごゆっくりおくつろぎくださいませ。
  • ○日のミーティングに同席してくださいますか。

「してください」の間違った使い方

「してください」の間違った使い方

「してください」は命令形なので、状況によっては失礼に思われてしまうことも。上司や先輩にものを尋ねるときに使うと、配慮に欠ける後輩だなとマイナスになってしまうかもしれません。また、「してください」は補助動詞なので、「して下さい」と書くのはルール違反になります。

「してください」は上から目線に捉えられがち

「してください」は他人に行動してもらうのに使いますが、言い方が強い命令形なので上から目線で言っているように捉えられがちです。相手の状況を推し量るようなニュアンスにも欠けるので、上司や先輩から配慮が足りないと思われてしまうこともあります。ビジネスの場では「していただけないでしょうか」などのやんわりとした表現に変え、ていねいな表現を心がけましょう。

「ご○○してください」は誤用

接頭語の「ご(お)」を頭につける場合、「ご(お)○○してください」という文法は使用することができません。正しくは「ご(お)○○ください」という言い回しになります。

例文
  • お召し上がりしてください。
  • お召し上がり下さい。

「〜されてください」は不自然な日本語

「する」を尊敬語にすると「されて」になりますが、「してください」を「されてください」としてしまうと、日本語として不自然です。

この場合は代わりに「なさってください」とするのが正解です。また、接頭語の「ご」または「お」+「してください」も間違った使い方です。「ご確認してください」ではなく「ご確認ください」、「お電話してください」ではなく「お電話ください」と表現しましょう。

「してください」と「して下さい」の違い

「してください」と間違いやすい言葉

本動詞は漢字、補助動詞はひらがな

「してください」は、ひらがなで表記する場合と「して下さい」というように漢字で表記する場合があります。

基本的には、相手にお願いするときの「してください」は補助動詞なので、正しくはすべてひらがなで表記するのがルールです。例えば、「電話して下さい」や「あちらへ移って下さい」など、「して下さい」と漢字交じりで書くのは誤りです。

「下さい」と書くのは本動詞のときで、「お金を下さい」「お水を下さい」などの物をもらうときは「下さい」は漢字で表記されるということを覚えておきましょう。

ここで説明している「してください」は、相手に何かすることをお願いする場合の「ください」なので、補助動詞として使用されるため「してください」とひらがな表記することが正しいです。

同じようなパターンは他にもいくつかあり、典型例は「いただく/頂く」「いたす/致す」などがあげられます。

「してください」の慣用表現

「してください」の慣用表現

「してください」の代わりにお願いするときに使える慣用表現を紹介します。「してください」は丁寧語ですが、謙譲語や間接的にお願いするニュアンスを含んだ表現に代えた方が、ビジネスの場ではふさわしいことがあります。

「〜をお願いいたします」「〜をお願い申し上げます」

「してください」のほかの敬語表現に、「〜をお願いいたします」と「〜をお願い申し上げます」があります。「申す」は「言う」、「いたす」は「する」の謙譲語ですから、どちらを使っても「お願いを言わせていただく」と自分をへりくだって表現でき、「してください」よりもていねいな文章になります。たとえば「今後ともよろしくお願い申し上げます」や、「こちらで間違いはないかご確認をお願いいたします」などと使います。

「~していただけますでしょうか」「〜していただけないでしょうか」

「~していただけますでしょうか」と「〜していただけないでしょうか」も、「してください」よりもていねいです。相手にできるかと可能性を問うているので、間接的にお願いをする表現になります。たとえば「この件を〇〇に伝えていただけますでしょうか」や、「ぜひ〇〇をしていただけないでしょうか」などと使います。また、「〜してもらうことは可能ですか」とすると、さらにていねいな表現になります。

「〜していただきたく存じます」

「〜していただきたく存じます」を分解すると、「してもらう」の謙譲語の「していただく」と願望を表す助動詞「たい」、「思う」の謙譲語の「存じる」と丁寧語の「ます」になります。つまり、「〇〇をしてほしい」のていねいな表現です。たとえば、「万が一の際はこちらに知らせていただきたく存じます」などと使います。

「してください」を使いたいときの言い換え例文集

「してください」を使いたいときの言い換え例文集

「してください」の代わりの敬語表現を使った、言い換え例文集をまとめました。「してください」と命令文にするのではなく、やんわりとした表現にして、ていねいにお願いするようにしましょう。とくに取引先など別の会社の人や、社内でも上司や先輩に対しては以下の表現を使うようにします。

ビジネスメールの結びの一文に「してください」を使いたいとき

ビジネスメールや手紙などで「〜してください」の代わりに使いたい表現を紹介します。ビジネスでの文章は話し言葉に比べ、よりかしこまった表現が求められます。

「~いただければ幸いです」

使い方・例文

先日の〇〇についてご確認いただければ幸いです。

「~いただきたく存じます」

使い方・例文

〇月〇日までにご連絡いただきたく存じます。

「~いただければと存じます」

使い方・例文

新規事業に関しましても、お力添えいただければと存じます。

「~いただきますよう/~くださいますよう」

使い方・例文
  • 以前お渡しした資料について、ご指示いただきますようお願いいたします。
  • 〇〇についてご教示くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。

ビジネス電話で取引先・上司・先輩に「してください」を使いたいとき

ビジネス電話はメールなどの文章よりはかしこまらずに済みますが、相手が取引先や上司、先輩の場合は文章同様の表現にした方が無難です。

「~していただけますか?」

使い方・例文
  • よろしければ、〇〇様に外出から戻った旨をお伝えいただけますか?

「~していただけますでしょうか?」

使い方・例文
  • すみません、〇〇についてご教示いただけますでしょうか?

「~いただければ幸いです」

使い方・例文
  • 〇〇様に、A商事から電話があった旨をお伝えいただければ幸いです。

「~いただきますようお願いします」

使い方・例文
  • 〇〇につき、ご承認いただきますようお願いします。

商談で社外取引先に「してください」を使いたいとき

商談の場で取引先の方にお願い事をするときは「してください」ではなく、「もらう」の謙譲語の「いただく」を使うようにしましょう。

「〜していただけますでしょうか」

使い方・例文
  • よろしければ、こちらにもお手元の資料をいただけますでしょうか。

「〜していただけないでしょうか」

使い方・例文
  • すみませんが、〇〇の背景についてご教示いただけないでしょうか。

「〜していただくことは可能でしょうか」

使い方・例文
  • B課まで、〇〇の旨をお伝えいただくことは可能でしょうか。

お願いするときに「してください」を使いたいとき

最後の「~してください/~願います」は、ビジネス会話で自分と対等やそれ以下の相手であれば使ってもよいでしょう。

「~いただければと存じます」

使い方・例文
  • ぜひ〇〇について、ご意見いただければと存じます。

「~のほどお願いいたします/~をお願いします」

使い方・例文
  • お力添えのほどお願いいたします。
  • 〇〇とお伝えいただきますようお願いします。

「~いただけますでしょうか?」

使い方・例文
  • 〇〇に同行していただけますでしょうか?

「~してください/~願います」

使い方・例文
  • 〇〇について確認してください。
  • 〇〇様に、外出から戻った旨をお伝え願います。

「してください」の英語表現

「してください」を英語でいうと?

「してください」は英語で「Please」です。丁寧な言い回しとしては「Will(Would) you please do」です。

または「Please+動詞の原型」も「してください」を意味します。SNSなどで見られるスラング的な表現では、「Please」を「plz」とします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この記事では、「してください」の意味や使い方のほか、ビジネスシーンでよりふさわしい表現とその例文を紹介しました。

まとめると、丁寧語の「してください」は、他人に何かをしてもらうときの命令文に使います。

そして、ビジネスシーンでは、「〜をお願いいたします」や「〜していただきたく存じます」、「〜していただけないでしょうか」など、謙譲語を使ったよりていねいな表現の方が好まれます。

「されてください」や「ご◯◯してください」は間違いなので、使わないように気をつけましょう。

最後に「してください」のまとめです。

「してください」のまとめ
  • 「してください」は「して」という言葉に「ください」という丁寧語をつけた敬語表現になります。
  • 「してください」は他人に動いてもらうための命令文に使われます。
  • 相手に敬意を示す尊敬語や謙譲語とは異なるので、相手に行動してもらいたい場合に使うと命令のようになり、そぐわないケースがあります。
  • 「してください」を「してくださいませ」とすると、相手へのお願いにていねいな気持ちが込められ、柔らかい印象になります。
  • 「してください」は命令形なので、状況によっては失礼に思われてしまうことも。
  • 相手にお願いするときの「してください」は補助動詞なので、正しくはすべてひらがなで表記するのがルールです。
  • 「してください」は丁寧語ですが、謙譲語や間接的にお願いするニュアンスを含んだ表現に代えた方が、ビジネスの場ではふさわしいことがあります。
  • 「してください」は英語で「Please」です。丁寧な言い回しとしては「Will(Would) you please do」です。
「してください」の正しい敬語の使い方と意味|「して下さい」との違いと言い換え例文

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