「リファレンス」には「参照する」という意味がありますが、分野によって異なる意味を持ちます。転職の際には身元証明のため「リファレンスチェック」を行う企業もあるのです。この記事では「リファレンス」の意味や分野別の使われ方について解説します。
「リファレンス」の意味とは
「リファレンス」には「参照する」という意味がありますが、使われる場面によってニュアンスが少しずつ異なる表現です。ここでは、「リファレンス」の意味と語源について解説します。
「レファレンス」でも同じ意味
「リファレンス」は「レファレンス」とも読まれる場合がありますが、言葉が持つ意味は同じです。物事に言及したり参照したりする場面や、参考文献を指す言葉として使われます。プログラミングの分野では、開発手順や関数・変数を参照する文書を意味する表現としても使われます。
「リファレンス」は英語のreferenceが語源
「リファレンスは」英語のreferenceをカタカナ表記したものが語源です。英語では「リファレンス」よりも「レファレンス」に近い発音で読まれます。
各分野の「リファレンス」の意味と使い方
「リファレンス」は「参照する」という意味がありますが、使われる業界や分野によって異なるニュアンスを持つ言葉です。ここでは「リファレンス」を使う業界や分野を紹介しながら、どのように使われているのかを解説します。
IT業界では「参照」や「マニュアル」を意味する
IT業界で使われる「リファレンス」には「参照」や「マニュアル」という意味があります。「リファレンス」はIT業界で広く使われる言葉で、ハードウェアやソフトウェアの開発者が基準にする仕様書のことを「リファレンスマニュアル」と呼びます。ほかにも、基準となるデータを「リファレンスデータ」、ハードウェアとソフトウェアの互換性を調べるための機種を「リファレンス機」と呼びます。
科学分野では「参考文献や実験」を意味する
科学分野で使われる「リファレンス」には「参考文献」や「実験」という意味があります。科学論文を執筆する際に参考として使用する文献のことを「リファレンス」といいますが、あくまで参考にするだけにとどまります。科学実験では、とある条件を確認するために一部分だけ条件を変えることを「対照実験」といい、この一連の実験のことを「リファレンス」と呼びます。
医療分野では「会議や研究」を意味する
医療分野で使われる「リファレンス」には、「会議」や「研究」という意味があります。症例に関するデータを一カ所に集めて研究を重ねながら、教育にも生かす目的として使用される「リファレンスセンター」という施設もあります。
図書館では「調べ物の手伝い」を意味する
図書館で使われる「リファレンス」には「調べ物の手伝い」という意味があります。図書館には「リファレンスサービス」があり、利用者に対して文献や図書の探し方を案内したり、利用者が求める情報を図書館の職員が代わりに探し出したりします。大学附属図書館や都道府県図書館などの規模が大きい図書館には「リファレンスデスク」が設けられているところが多く、メールや電話などで調べ物に対する質問や相談を受け付けています。
航空券の予約番号を意味する「リファレンスナンバー」
航空券の予約番号のことを「リファレンスナンバー」といい、「参照される番号」という意味があります。航空会社のサイトなどで航空券を予約したときに「リファレンスナンバー」が発行され、この番号をもとに予約管理などが行われます。航空券に関する質問や問い合わせの際は、この「リファレンスナンバー」を相手に伝えるとスムーズです。
転職時の「リファレンスチェック」とは
欧米や外資系企業でよく行われる「リファレンスチェック」は、応募書類に記載されている職務能力などが事実かどうかを確認するために行われます。ここでは、「リファレンスチェック」で確認される具体的な内容や、事前に準備しておくことを解説します。外資系企業に転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
外資系企業の中途採用時に行われる
「リファレンスチェック」は欧米や外資系企業では盛んに行われている採用時チェックで、中途採用の過程で関係者に連絡を取って書類記載内容の事実確認を行います。電話で行われる場合が多いですが、企業によっては書類の提出や面接を行うこともあります。
「リファレンスチェック」」で確認されることとは
「リファレンスチェック」では勤務状況や勤務態度、コミュニケーションに関して質問されます。ここでは、よくある質問内容を抜粋して記載します。
- 求職者の勤務期間、役職や職務内容
- 周囲とのコミュニケーションは良好であったか
- 遅刻や欠勤が多くなかったか
- 上司や部下との関係は良好であったか
- 主な実績やトラブル対応能力について
- 仕事の進め方に無駄がなかったか
- リーダーシップはあるか
「リファレンスチェック」の前に準備しておくこと
まずは「リファレンスチェック」の質問に答えてくれる人を選びます。このとき、自分の人間性や仕事の実績を推薦してくれる人を選びましょう。誰でもよいのですが、仕事ぶりをよく理解してくれていて関係が良好な上司にお願いするのがおすすめです。人選が済んだら、推薦者に応募先へ提出したレジュメを渡して「どの点をアピールポイントにしているか」を把握してもらいましょう。また、上記で挙げたよくある質問を事前に伝えておくこともスムーズな「リファレンスチェック」を行うための準備になります。
「リファレンス」の類義語・言い換え表現
「リファレンス」の類義語表現には「コンサルテーション」や「サイテーション」が挙げられます。「コンサルテーション」は教育相談や臨床心理の分野で使われる言葉で、「サイテーション」はGoogleの検索画面で上位表示を狙うSEO対策の観点や、科学分野でも使われている言葉です。それぞれの意味について詳しく解説します。
コンサルテーション
「コンサルテーション」とは、異なる専門知識を持つ人が集まって問題の解決について話し合うことを指します。臨床心理や教育相談の際に使用される言葉で、自らの専門性に基づいてほかの専門家を支援する「コンサルタント」と呼ばれる人たちと、援助を受ける立場である「コンサルティ」によって成り立ちます。教育現場では子どもに対する指導方法について、教育の専門家である「コンサルタント」に教師である「コンサルティ」が相談や連携をする仕組みになっています。教師が専門家に知識を参照するという意味として、「リファレンス」の類義語の範囲内であるといえるでしょう。
サイテーション
「サイテーション」には引用」や「言及」「という意味があります。SEOの世界では、「リンクではない形で他のページを参照すること」を表す言葉として使われています。これまでは外部サイトが自分のWebサイトのリンクを貼る「被リンク」がSEO対策として知られていましたが、Googleは検索エンジンの強化を続けたことでブログや自身のWebサイトでリンクを貼らなくても、検索画面で上位に表示されるSEO効果があるのではないかといわれているのです。このほかにも、科学の分野で論文を引用することも「サイテーション」といいます。「リファレンス」が持つ「参照」の意味とはニュアンスが異なりますが、似たような表現として挙げられるでしょう。
「リファレンス」の例文
「リファレンス」はさまざまな分野の専門用語として使用されることがありますが、使い方は以下の例文のとおりです。
- 飛行機のチケットがきちんと取れたか心配で、リファレンスナンバーを確認した。
- 機能の互換性を確認するために、リファレンス機を使って動作確認をしてください。
まとめ
「リファレンス」とは「参照」を意味する言葉で、「レファレンス」という読み方でも同じ意味として扱います。IT業界や医療科学分野、図書館においても「リファレンス」という表現が使われますが、分野ごとに意味が少しずつ異なっています。外資系企業へ転職しようと考えている方は、応募書類に記載されている内容が正しいかどうかを関係者にヒアリングする「リファレンスチェック」が行われます。事前準備をしっかり行い、信頼できる上司に推薦者の役割をお願いできるよう交渉してみましょう。