普段から使うことの多い「結構です」という言葉ですが、知らないうちに相手に冷たいイメージを与えたり、使ってはいけない場面で使っていたりするかもしれません。今回は「結構です」の意味や使い方、注意点や言い換え方法をみていきましょう。
「結構です」の意味とは?
「結構です」にはそれでいいよという肯定の意味と、不要ですという否定の意味をもち、どちらの意味で言っているかは前後の文脈で判断します。
ただ「結構です」と伝えただけでは肯定と否定の両方を表わし、セールスなどで商品の購入を断ったにもかかわらず肯定と捉えられ問題になったケースもあるので、使い方には注意が必要です。
「結構です」の使い方と例文
「結構です」とただ一言伝えただけでは違う意味で捉えられてしまうこともあります。肯定と否定のそれぞれの使い方と、例文を見ていきましょう。
肯定の「結構です」の使い方と例文
それでいいという肯定の「結構です」を使う場合、「はい」や「そのままで」とつけることで肯定の意志を伝えやすくなります。
- こちらの商品でよろしいですか?-「はい、結構です。」
- 暑いので窓を開けましょうか?-「そのままで結構です、ありがとうございます。」
「結構です」の前後に一言付け加えるだけで「大丈夫」「問題ありません」など、意味が伝わりやすくなりますね。
否定の「結構です」の使い方と例文
不要ですという否定の「結構です」を使う場合にも、「いいえ」や「もう」とつけることで意志が伝わりやすくなります。
- もう一度説明しましょうか?-「いいえ、結構です。」
- お茶のおかわりをお持ちしましょうか?-「もういただいたので結構です。」
こちらも「不要です」「十分です」の意味をしっかりと伝えられますね。
「結構です」の注意点
「結構です」はさまざまなシーンで使えますが、使う相手によっては失礼だと思われるなど注意が必要な言葉でもあります。注意点を確認して適切な場面で使っていきましょう!
注意点1.目上の人に使うと失礼にあたる
「結構です」は丁寧語のため目上の人にも使えると思われがちですが、実際に目上の人に使うと失礼とされています。その理由として、「結構です」はもともと身分の高いものから目下のものに対し許可を与える際に使っていたことが挙げられます。目上の人に使うと偉そう、生意気だという印象を与えてしまうので注意しましょう。
ただし、「ご都合のいい時間で結構ですので、確認いただけますか」や「お手数おかけいたしますのでメールで結構です」など、返答ではなく言葉の途中で使うのは問題ありません。
注意点2.冷たいイメージを与えてしまう
同僚や部下相手に使うことには問題のない「結構です」ですが、「結構です」と一言だけ伝えてしまうと突き放されたようなぶっきらぼうな言い方と感じられ、冷たいイメージを与えてしまうこともあります。
しつこいセールスなど撥ね除けたい相手には有効ですが、これからも関わる相手への「結構です」の対処法として、「今回は間に合っているので結構です、ありがとう」や「これで結構です、対応ありがとう」など断る理由や感謝の言葉をつけるとやわらかい表現になり印象が変わるので、ぜひ使ってみてくださいね。
注意点3.2つの意味をもつため意図が伝わりにくい
「結構です」の意味の部分でも伝えたとおり、肯定と否定の意味をもつ言葉なので、真意が正反対に伝わってしまう恐れがあることを注意点として覚えておきましょう。
使い方と例文で説明した「はい、いいえ」や「そのままで、もう」をつけ、意志がわかりやすく伝わるようにしていきましょう。
注意点4.「結構でしょうか?」という使い方はしない
「結構」は、自分の行動に対して使う言葉です。返答として「結構です」を使うことは正しいですが、質問する側が「結構でしょうか?」と使用するのは間違った使い方です。
お店などで品物を買った際の確認として「こちらでよろしいでしょうか?」という言葉を「こちらで結構でしょうか?」と言い換えてしまう人も多いため、注意しましょう。
「結構です」の類義語・言い換え表現
さまざまな注意点がある「結構です」ですが、類義語や言い換えの表現としてはどの言葉が適切なのでしょうか。肯定、否定それぞれの「結構です」の言い換え表現をみていきましょう。
肯定の「結構です」の言い換え表現
肯定の意味での「結構です」の言い換え表現は以下の言葉です。
- 差し支えありません
- 十分です
- 問題ありません
- 構いません
- 大丈夫です
ただし、目上の人に対して「構いません」「大丈夫です」という言葉は失礼にあたるので注意しましょう。こちらについてはこの後詳しく説明していますのでぜひ見てみてくださいね。
否定の「結構です」の言い換え表現
否定の意味での「結構です」の言い換え表現は以下の言葉です。
- お気遣い無く
- 遠慮いたします
- お断りします
- お気になさらないでください
- 大丈夫です
「結構です」とだけ答えると冷たいイメージを持たれやすいため、相手により上記の類語に言い換えて対応していきましょう。
目上の人に使うと失礼にあたる言い換え表現
先ほど言い換え表現で挙げた言葉の中で、「構いません」と「大丈夫です」は目上の人に使うと失礼にあたる表現です。それぞれの理由をみていきましょう。
構いません
構いませんは「構わない」の丁寧表現のため、上司や目上の人に使われると思われがちです。しかし相手に許可を与える際に使われる言葉のため、目上の人への敬意が示せません。
また、構いませんはどちらでもよいという意味であるため、相手に無関心な印象を与えてしまいます。相手が同等の人か目下の人になら使える言葉ではありますが、やや偉そうな印象を与えることがあるため使う際に注意が必要です。
大丈夫です
大丈夫ですは「問題ないです」という意味があり、口語で頻繁に使われる言葉です。職場の仲間には失礼にはなりませんが、目上の人に使うにはフランクで失礼な印象をもたれる可能性があります。また、大丈夫ですという言葉も肯定と否定の意味をもつため、意図と違う意味で捉えられることもあります。
「結構です」と「構いません」の違い
「結構です」と「構いません」はどちらも丁寧表現であると同時に、目上の人に使うと失礼だという面ももっています。ただし、「構いません」は「結構です」と違い否定の意味をもたず、肯定の意味のみの言葉です。
「構いません」には「~せん」と否定文が入っているため否定の意味をもち合わせている印象もありますが、あくまで肯定するための言葉ということを覚えておきましょう。
「結構です」の英語表現
「結構です」を英語で表現するとき、どんな言葉で表わすのでしょうか。最後に肯定と否定の意味をもつ「結構です」の英語表現をみていきましょう。
肯定の「結構です」の英語表現
肯定の意味での「結構です」を英語で表わす場合、以下の単語をつかいます。
- That should be fine.(それで結構です。)
- That’s good.(よいですね。)
- It’s alright.(大丈夫です。)
goodやalrightは覚えやすいので、咄嗟に出てくるように頭に置いておきたいですね。
否定の「結構です」の英語表現
否定の意味での「結構です」は以下の英語表現をつかいます。
- No,thank you.(いいえ、結構です。)
- I’m good,thank you.(もう大丈夫です、ありがとう。)
- No,I’m fine.(いいえ、結構です。)
英語表現においてもNoを入れると相手を突き放してしまう印象になるため、Noの後にありがとうとつけたり、Noをつかわない表現方法を覚えておきましょう!
まとめ
- 結構です」は肯定と否定の2つの意味をもつ
- 「結構です」の注意点として、目上の人に使うと失礼にあたること、冷たいイメージを与えてしまうこと、意図が伝わりにくいことなどがある
- 肯定の「結構です」の言い換え表現として「差し支えありません」「十分です」「問題ありません」などがある
- 「構いません」「大丈夫です」も肯定の言い換え表現として使えるが、目上の人には使えないので注意する
- 否定の「結構です」の言い換え表現として「お気遣い無く」「遠慮いたします」「お断りします」などがある
- 肯定の「結構です」の英語表現は「alright」や「OK」と表わす
- 否定の「結構です」の英語表現は「No,thank you」や「I’m good,thank you」で表わせる
「結構です」の使い方や言い換え表現などを頭に入れ、目上の人やビジネスの相手にも失礼のないように使っていきましょう!