「いずれか」はどのようなときに使っていますか?また「いづれか」との違いはなんでしょうか。「いずれか」の漢字や類義語、英語での表現の仕方などを詳しく解説します。正しい場面で「いずれか」を使えるようになりますよ。
「いずれか」の意味とは?
「いずれか」を普段の会話の中で使っている人も多いですが、複数の意味があることを知っている人は少ないかもしれません。「いずれか」がもつ意味を詳しく解説します。
どちらか
「いずれか」は、「2つあるもののうちのどちらかが」という意味があります。普通の形の文章や疑問形の中で使われます。
「これらの景品のうちいずれかが当たります。」は、「これらの景品のどれかが当たります」という意味で、「ここにある2つの絵のうち本物はいずれか?」だと「2つの絵のどちらが本物なのか?」という意味になります。
いくつかある中のどれか
2つではなく、たくさんあるものの中のどれかを指すときにも「いずれか」は使われます。
こちらにある景品の中からお好きなものいずれかをお選びください。
これは「いくつか(もしくはたくさんの)の中からどれか好きなものを1つ選んでください」という意味になります。「いずれか」は2つ以上のものを言い表すときに使えます。
いったいどれが
現代では使うことはほとんどありませんが、「いずれか」は反語として古文の中で使われることがあります。反語とは反対の意味を言い表す方法です。
これらの宝石のいずれかが偽物というのですか?
この例文は、「これらの宝石のどれも偽物ではありません」という意味をこめた文章になっています。
「いずれか」の漢字は?
「いずれか」は、漢字で書くと「何れか」となります。「何」という漢字は、疑問や問いただす意味がありますが、ほかにも「いずれ」や「どれ」といった意味があります。
「いずれか」の由来・語源
「いずれか」は、古文の中にも使われる古くからある言葉です。古文の中では現在使われている「いずれか」ではなく「いづれか」、または漢字を使った「何れか」が用いられています。漢字の「何」のもつ意味、「どれ」や「いずれ」から反対の意味を言い表す反語として、また2つ以上のものを指す言葉として使われてきたのでしょう。
「いずれか」の類義語・言い換え
「いずれか」の類義語や言い換えた言葉を紹介します。
どれか
「いずれか」の類語に「どれか」があります。「どれか」は、「たくさんあるうちの中の」という意味です。また似た言葉で「どちらか」も使えるでしょう。「どちらか」の場合は、2つあるうちの一つという意味になります。「いずれか」も「どれか」も同じ意味として使えますが、「いずれか」の方が丁寧な言い方なので、ビジネスやフォーマルなシーンでは「いずれか」を使うといいでしょう。
- 「こちらにあるどれかをお選びください。」
- 「こちらにあるいずれかをお選びください。」
2つの文章を比べると「いずれか」を使う方がフォーマルな印象を与えますね。
この中で
「この中で」も「いずれか」と同じ意味で使えます。
- 「いずれか好きなものをお選びください。」
- 「この中で好きなものをお選びください。」
やはり「いずれか」を使う方が丁寧でフォーマルな印象になるので、ビジネスでは「いずれか」を使う方がいいでしょう。
「いずれか」と「いづれか」の違い
「いずれか」と同じ意味で「いづれか」が使われる場合があります。この2つの違いは、「いずれか」は、現代の表記で、「いづれか」は歴史的なかな使いという点です。古文などで使われる場合は、「いづれか」または漢字を用いた「何れか」が多く登場します。どれも間違いではありませんが、現代は文語体に近い「いずれか」を使うことがほとんどです。
「いずれか」を英語でいうと?
「いずれか」の英語表現を紹介します。英語でもいくつかの単語があります。
either of
「either of」は、「どちらか」という意味です。「either A of B」または「either of something」で使います。
- She doesn’t know either of them.(彼女は二人とも知らない。)
- in either case(どちらのケースにしても)
このように、「either of」でも「of」を使わず「either」だけでも使えます。
any of
「any of」も「〜のいずれか」という意味があります。
- in any of these cases(いずれの場合も)
- any of the following(次のいずれか)
any
「any」だけの場合、さまざまな意味があります。「どんな〜でも」や「いくらか」、また「すべて」などを表す意味にもなります。
- any number of times.(何度でも)
- any number of examples(いくつもの例)
また、anyを疑問形で使うと「いくら」の意味を表せます。
- Do you have any friends in Japan?(日本には何人友達がいるの?)
「いずれか」の使い方と例文集
「いずれか」の使い方を例文を紹介します。
「いずれか」の使い方
「いずれか」は、ものを選ぶときだけではなく、人に対しても使えます。「部長か課長、いずれかにお伝えください」などといえます。また反語として「いずれか」を使う場合、反対の意味と「両方やすべて」という意味で用いることもあります。例えば「いずれも帰らず」は、「誰も帰らない」という意味になります。
「いずれか」の例文1
ものを指す場合に使う「いずれか」の例文を紹介します。
- コースのお食事につくお飲み物は、ビールまたは以下のいずれかのソフトドリンクからお選びいただけます。
- 参加賞は、こちらにあるいずれかお好きな景品をお選びください。
「いずれか」の例文2
「いずれか」をどちらかの意味で使う例文です。
- 本当の健康体とは心と体、いずれかだけではなく、両方が健やかでいる状態をいう。
- 業績が悪化したため、商品開発のコストか、広告宣伝費のコストかいずれかを削減する必要がある。
「いずれか」の例文3
「いずれか」を日時に用いる場合の例文です。
- 歓迎会は、部内全体に先日お伝えしたいずれかの日程で行おうと思います。
- 弊社で説明会を行うためお手数ですが、以下のいずれかの日程でご都合のよろしい日をお知らせいただけますでしょうか。
「いずれか」を使用するときの注意点
「いずれか」は、2つのうちどちらか、または2つ以上あるうちの一つを選ぶときに使う言葉です。両方を選ぶ場合や、すべてを選ぶときには使えません。ただし、5つあるうちの2つなど多くの中からいくつかを選ぶ場合には、「5つのうちいずれか2つをお選びください」などと使えます。
まとめ
「いずれか」は、「どちらか」や「たくさんあるうちのどれか」の意味があります。また反語として使われる場合もあります。「何れか」や「いづれか」と書く場合もありますが、現代では「いずれか」を使うことがほとんどです。
ビジネスシーンでは「どちらか」や「どれか」よりも、「いずれか」の方が丁寧でやわらかい印象があるので、適しています。口語だけではなくメールでも使えるので、ぜひフォーマルなシーンで「いずれか」を使ってみましょう。