「後顧の憂い」の意味とは?「後顧の憂いを断つ」の使い方や由来・類語・例文を解説

後顧の憂い
目次

「後顧の憂い」の読み方と意味

「後顧の憂い」の読み方と意味

「後顧の憂い」の読み方と意味を解説します。「後顧の憂い」を意味する四字熟語、似た表記の四字熟語についても確認してください。

「後顧の憂い」の読み方

「後顧の憂い」は「こうこのうれい」と読みます。漢字「顧(コ)」の訓読みは「かえり(みる)」で、意味は「ふりむいてみる」や「思いを巡らす」です。また、漢字「憂い(うれい)」は音読みで「ユウ」。「思い悩む」や「心配する」などの意味です。「後顧の憂い」と同じ意味の四字熟語「後顧之憂」は「こうこのうれい」または「こうこのゆう」と読みます。「後顧之思」の表記も使います。

「後顧の憂い」の意味

「さきざきの心配」や「あとあと、将来の心配」が「後顧の憂い」の意味です。熟語「後顧」には「あとあとを気遣うこと」、「憂い」には「予想される悪い事態への心配」の意味があります。「後顧」と「憂い」の意味が合わさった「あとあとの心配」が、「後顧の憂い」の意味です。

「後顧の憂い」の由来・語源

「後顧の憂い」の由来・語源

もともと「後顧の憂い」は中国の故事成語に由来しています。出典や由来になった故事成語を紹介します。

出典は中国の歴史書

中国の歴史書『魏書(ぎしょ)』の「李沖伝」が「後顧の憂い」の出典です。「魏書」は学者の魏収(ぎしゅう)が中心になって編纂した正史で、554年に成立しました。中国の王朝・北魏(ほくぎ)の歴史が記されています。

由来になった故事成語

『魏書』の一文「我をして、境を出し、後顧の憂い無からしむ」が「後顧の憂い」の由来です。現代語訳では「私が国の外に出るとき、李沖があとの心配がないようにしてくれた」。この故事成語がもとになって、「後顧の憂い」といわれるようになりました。

「後顧の憂い」の使い方

「後顧の憂い」の使い方

「後顧の憂い」の正しい使い方をチェックしましょう。「後顧の憂い」のあとに続く言葉や間違いやすい表記を解説します。

一般的な使い方は「後顧の憂いを断つ」

「後顧の憂いを断つ」の言い方が一般的です。「あとの心配事をなくす」や「あとあとの気遣いを断ち切る」の意味です。「後顧の憂いを断って」や「後顧の憂いを断ち」、あるいは「後顧の憂いを断つべく」などの形で使います。

間違いやすい使い方「後顧の憂いを絶つ」

「後顧の憂いを絶つ」は間違った表記です。「心配事をバッサリ断ち切る」ので、「絶つ」ではなく「断つ」を使います。「絶つ」には「永続的なつながりを切る」の意味があります。たとえば「消息」や「命」などです。一方「断つ」は「一時的に続けていたものを切る」の意味があります。たとえば「お酒」や「退路」などです。「後顧の憂い」では「断つ」を使います。ビジネスメールや手紙などの文中で使う場合は、漢字の表記に要注意です。

「後顧の憂いなく」など否定の使い方

「後顧の憂い」は「後顧の憂いを断つ」や「後顧の憂いをなくす」など、あとに動詞をつけて使うほか、「後顧の憂いなく」など否定の言葉をつけても使います。たとえば「後顧の憂いなし」や「後顧の憂いなきよう」、あるいは「後顧の憂いなければ」などの形です。

「後顧の憂い」の例文

「後顧の憂い」の例文

よく使われる言い方「後顧の憂いを断つ」と「後顧の憂いがない」それぞれの例文を挙げます。

「後顧の憂いを断つ」を使った例文

「後顧の憂いを断つ」を使った例文を挙げます。「断つ」を使った例文は、「あとの心配をなくすために何らかの対処をする」意味です。

・後顧の憂いを断つためにも、プロジェクトの準備は入念にしておいたほうがいい。
・家族のため、万が一に備えて生命保険に加入した。これで後顧の憂いを1つ断ったというものだ。
・のちのち問題になるような付き合いはやめて、後顧の憂いを断つべきだ。
・後顧の憂いを断ち、安らかな気持ちで受験に打ち込める環境を作りたい。
・いつも中途半端な準備しかしないから、後顧の憂いを断ちきれないのだ。

「後顧の憂いがない」を使った例文

「後顧の憂いなく」や「後顧の憂いがない」など、あとに否定が続く場合の例文を挙げます。いずれも「心配がなくなった状態」を意味します。

・後顧の憂いなく出発するためには、彼との間で問題を解決しておく必要があった。
・まずはやるべき課題をすべて片付け、後顧の憂いがない状態で夏休みを満喫しよう。
・安全装置は二重三重にチェックして、くれぐれも後顧の憂いなきように。
・彼とは十分に話し合い、今後のためにもすべての誤解をといてきた。これで後顧の憂いなし、というものだ。
・仕事上のトラブルが頭を離れない。後顧の憂いがなければ、もっと心穏やかな帰省になっただろうになぁ。

「後顧の憂い」の類義語・言い換え表現

「後顧の憂い」の類義語・言い換え表現

「後顧の憂い」の類語を紹介します。いずれも「あとあとの心配」を意味する言葉です。

「心残り」

「心残り」は「こころのこり」と読み、「未練や思い残すことがある状態」を表す言葉です。「小さな子どもがいるのに亡くなってしまったとは、さぞ心残りだったことだろう」などと使います。

「気がかり」

「気がかり」は「きがかり」と読み、「どうなるのかという不安が心に引っかかって、スッキリしない状態」を意味します。たとえば「出勤はしたものの、飼い猫の体調が気がかりで仕事に手が付かない」のように使います。

「気をもむ」

「気をもむ」は「きをもむ」と読み、「心配ごとがあって気が休まらない」や「心配でやきもきする」意味です。「いつ上司が怒り出すかと、ミーティング中ずっと気をもんでいた」などと使います。

「危惧する」

「危惧する」は「きぐする」と読み、「悪いことが起こるのではないかと恐れ、心配する」意味です。たとえば「貿易の不均衡が外交問題に発展するのではないかと危惧している」のように使います。

四字熟語

四字熟語「後顧之憂」と同じ意味の「回顧之憂(かいこのうれい)」と「還顧之憂(かんこのうれい)」、「反顧之憂(はんこのうれい)」は「後顧の憂い」の類語です。

「後顧の憂い」の対義語・反対語

「後顧の憂い」の対義語・反対語

「後顧の憂い」の対義語は、「心配がなく、心が落ち着いた状態」を表す言葉です。つまり「後顧の憂いなく」や「後顧の憂いがない」の類語が「後顧の憂い」の対義語に該当します。以下、「後顧の憂い」の対義語を挙げます。

「心置きなく」

「心置きなく」は「こころおきなく」と読み、「安心して」または「遠慮や気兼ねがなく」の意味です。たとえば「彼女は山積みの仕事をすべて片付け、心置きなく週末の小旅行に出かけた」などと使います。「心置き」だけでも使い、意味は「心づかい」や「遠慮、気兼ね」です。

「安心して」

「安心して」は「あんしんして」と読み、「気がかりがなく、落ち着いた心の状態」の意味です。「砂場のゴミと石をすべて拾い集めた。これで安心して子どもたちを遊ばせられる」などと使います。

「心配なく」

「心配なく」は「しんぱいなく」と読み、「悩みや気がかりがない状態」の意味です。たとえば「予算の問題がクリアになりました。皆さんはプロジェクトが頓挫する心配なく仕事に取り組めるはずです」などと使います。「心配」には「ものごとの先行き、あとあとのこと」を案じるニュアンスがあり、否定の「なく」をつけることで「後顧の憂い」の対義語となります。

「後顧の憂い」の英語表現

「後顧の憂い」の英語表現

「後顧の憂い」の直訳はありませんが、「anxiety」が「後顧の憂い」に近い言葉です。「anxiety」は「不安」の意味で、さきざきのことを心配するニュアンスがあります。「worry」の意味も「不安」ですが、「あとあとの心配」のニュアンスがある「anxiety」のほうが、「後顧の憂い」の英訳に適しています。

まとめ

「後顧の憂い」は「あとあとの心配」の意味で、「後顧の憂いを断つ」や「後顧の憂いなく」の形で使います。「後顧の憂いを絶つ」は間違った表記なので要注意。ビジネスでは「後顧の憂いなく」仕事にあたれるよう、最善を尽くしたいですね。

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