よく使われる「デフォルメ」という言葉ですが、正しい使い方を知っていますか?実は、「デフォルメ」は意味を勘違いして使っている場合もある言葉なのです。「デフォルメ」とは、どんな意味で、どんな使い方をするのかを類義語との違いも含めて解説します。
「デフォルメ」の意味とは?
「デフォルメ」という言葉は、よく耳にする言葉ですが、意味を聞かれてもきちんと説明ができない言葉ではないでしょうか?
ここでは、「デフォルメ」にはどんな意味があるのか解説していきます。
意味1.変形
「デフォルメ」と聞いて、多くの人が連想するのは、何か対象のものがあって、その対象を「デフォルメ」するというイメージではないでしょうか。
「デフォルメ」には、そのイメージ通り「変形(へんけい)」の意味があります。「デフォルメ」は、対象になるものを「変形」させて表現していきます。
意味2.誇張
「デフォルメ」には、ほかにも「誇張(こちょう)」の意味があります。
誇張は、対象となるものを実際の見た目より大げさにみせることです。
「デフォルメ」は、おもに絵やイラストの分野で用いられる表現方法の1つですが、ダンスやメイクなどにも取り入れられています。
「デフォルメ」と間違えやすい言葉
「デフォルメ」は、「デフォルト」と発音が似ているため間違えやすい言葉です。
「デフォルト」は、標準設定や初期設定という意味を持つ言葉で、ビジネスシーンでもよく使われます。
「デフォルメ」と「デフォルト」は文字にしたときも字面が似ているため見間違う確率も高いです。そのため両方の意味を理解していないと、言葉として使うときや見たときに間違えてしまうのでしょう。
ビジネスの場で多用される「デフォルト」と「デフォルメ」を間違えないように、意味をしっかり覚えて使い分けましょう。
「デフォルメ」の由来・語源は?
「デフォルメ」とは、もともと美術の技法を指す言葉で「変形」や「歪曲(わいきょく)」という意味のフランス語です。
動詞として使う場合が「deformer(デフォルメ)」、名詞として使う場合は「deformation(デフォルマシオン)」となります。
「デフォルメ」の語源となったのは、ラテン語の「形を歪める」「醜くする」などを意味する言葉です。また古代エジプトの時代から「デフォルメ」の表現技法は続いています。
「デフォルメ」の類義語・言い換え表現
「デフォルメ」に似ている意味を持つ類義語や言い換えはあるのでしょうか?
「デフォルメ」には、日常でもよく見聞きする類義語が複数あります。その中からいくつかの類義語や言い換えについて解説していきます。
一番近い「パロディ」
「デフォルメ」という言葉に一番近い意味を持つ言葉が「パロディ(Parodi)」です。
パロディは、元となる作品の構成や特徴を真似て、そこにユーモアを足した作品にすることです。
パロディは対象となるものの範囲が広く、美術分野だけでなく音楽や文学の作品も対象となります。
一般的には、元となる作品を滑稽(こっけい)な形にするパロディが多いです。
考え方が異なる「オマージュ」
「デフォルメ」と似ている意味を持つ言葉に「オマージュ(hommage)」もあります。
オマージュは、対象とするものに対して「敬意」「尊敬の念」があり、思い入れのある作品などに対して行われるのが一般的です。
元となる作品の作者への賞賛や賛辞を込めて、自分のオリジナル作品に要素を取り入れ作られたものがオマージュと呼ばれます。
「デフォルメ」の対義語・反対語
「デフォルメ」の対義語ですが、「デフォルメ」と正反対の意味を持つ言葉は存在しません。
ただ、真似るという意味を持つ「コピー(copy)」は、「デフォルメ」の対義語に含めても問題ない言葉でしょう。
コピーとは、対象のものをそのまま複製することで、「デフォルメ」の変形とは意味が違う言葉です。
コピーは、基本的にオリジナルに忠実に複製されますが、細かい部分まで比率が正確であれば、サイズや素材が異なっても容認されます。
ほかにも、対象のものを写真のように再現する「写実」も「デフォルメ」の対義語としてもよいでしょう。
「写実的」は、対象のものに主観を含めず「ありままに」表現する技法です。
「コピー」も「写実」も対象になるものに、変化を加えない点で「デフォルメ」とは対義にあるといえます。
「デフォルメ」の英語表現は?
「デフォルメ」を英語で表現するとどのような言葉になるのでしょう。
「デフォルメ」を英語で表現するときの言葉を解説します。
名詞と動詞の2パターンある
「デフォルメ」の英語表現は「ディフォルメ(deform)」です。
名詞の場合は、「ディフォーム」ですが、動詞になると「ディフォーメーション(deformation)」となります。
英語の場合は、根本的な意味を「デフォルメ」と一緒ですが、より幅が広がり日常生活の中でも「変形」「歪形」の意味で使われます。
「チート」は類義語
「デフォルメ」を英語で表現する場合に、類義語とされる言葉に「チート(cheat)」があります。
チートには、「いかさま」や「ごまかし」などの意味があります。オリジナルに手を加えてごまかすなどの意味合いから「デフォルメ」類義語に入れられる場合があります。
チートは、マイナスなイメージがありますが、近年では「いかさまのようにすごい」などの意味でスポーツ選手の技術を褒める場合にも用いられるときがあります。
「デフォルメ」の使い方や例文
「デフォルメ」を言葉として使用する場合、どのように使えばよいでしょうか?
「デフォルメ」の使い方と、具体的な内容を入れた例文を解説します。
「デフォルメ」の使い方
「デフォルメ」を言葉として使う機会が多いのは、アートに関連する分野です。おもに「デフォルメする」「デフォルメ化する」のように使います。
対象となるものを意識的に変化させるときに使う言葉となっています。
ただし、間違えてはいけないのが、「デフォルメ」には、技術が伴わずにオリジナルから変化している場合などは含まれません。
「デフォルメ」を使った例文
「デフォルメ」を使った例文は下記になります。
・お気に入りのキャラクターがデフォルメされたグッズが発売された。
・このデフォルメ化は、ある意味で正解だろう。
・あの話はデフォルメされて伝わっているようだ。
「デフォルメ」が使われるシーンとは?
「デフォルメ」が使われるシーンは、具体的にはどのようなところなのでしょうか。
「デフォルメ」が活用されるシーンや「デフォルメ」の表現方法・技法について紹介します。
美術系の分野
「デフォルメ」の意味や類義語などの解説でも触ていますが、「デフォルメ」が活用されるのは美術系の分野が多いです。
アートなど創作を行う分野では昔から取り入れている技法ですので、ほかの分野と比べて歴史的にも古くから活用されています。
イラストなどの場合は、「デフォルメ」することで、意図してオリジナルの特徴を誇張した表現方法がよく使われます。
「デフォルメ」の描き方
「デフォルメ」とは、どのように描かれているものでしょうか?
一般的に、人物のキャラクターを「デフォルメ」する場合、通常の頭身の人間を2~4頭身に変化させて描かれます。
頭身を低くすることで、性別や年齢、身長や体型の違いが少なくなります。差別化を図るためには、それぞれのキャラクターに個性が必要です。
そこで通常の頭身のときの特徴を際立たせるように「デフォルメ」するのです。
「デフォルメ」キャラとは?
通常の頭身を2頭身程度に変形をさせ、目や髪型、服装などで個性を際立たせたキャラクターは「デフォルメキャラ」と呼ばれます。
全体的に「丸み」などの立体感を出すことで、キャラクターに親しみやすさを追加できます。
このように「デフォルメ」を施してキャラクターを作りこみ、作品に幅を持たせる手法も漫画やアニメ、イラストのジャンルでは有効です。
まとめ
「デフォルメ」の意味や使い方はさまざまです。ビジネスシーンにおいても「デフォルメ」という言葉が使われているので、しっかりと意味や使い方を身につけておくとよいでしょう。
類義語である「パロディ」との違いも押さえておくと「デフォルメ」を説明するときに使えます。自分の仕事にも「デフォルメ」を取り入れて活用してみましょう。