「参りました」は、使う意味によって謙譲語にも丁寧語にもなる言葉です。いくつもの意味を持つ「参りました」を正しく使い分けできるように、例文付きで解説します。また、ビジネスシーンでの使い方や英語での使い方も紹介します。
「参りました」の現代語の意味とは?
「参りました」の現代語には、大きくわけて尊敬語と「相手に屈した」の2つの意味があります。尊敬語の中でも、謙譲語の意味と丁寧語の意味の2つにわけられます。「 相手に屈した」の意味も、さらに3つの意味にわけられます。それぞれの意味を見ていきましょう。
「参りました」の意味1 尊敬語
「参りました」には尊敬語の意味があり、ビジネスシーンでよく使われます。謙譲語と丁寧語の2つの意味があるので、シーンに合わせて使えるようにしましょう。
「来ました」の謙譲語としての意味と使い方・例文
謙譲語は相手に対して自分がへりくだる言葉です。「参りました」の場合は、丁寧語との違いがわかりにくいのですが、自分が実際に動いたときは謙譲語の「参りました」を使います。例文は次のとおりです。
- 顧客:足が痛かったので、出にくかったんです。
- 自分:車でお迎えに参りました。
- 課長:〇〇支店から異動になった鈴木さんです。
- 自分:〇〇支店から参りました、鈴木と申します。
「行った」や「来た」の丁寧語としての意味と使い方・例文
丁寧語の「参りました」は、「行った」や「来た」を丁寧にいう場合に使います。また、丁寧語の「参りました」を書く際には、「参りました」ではなく「まいりました」とひらがなで表記します。例文は次のとおりです。
- 担当の△△がまいりましたので、もうすぐ到着するかと存じます。
- 寒いと思っていたら、雪が降ってまいりました。
「参りました」の意味2 「 相手に屈した」
「参りました」には、「相手に屈した」という意味もあり、その意味の中でさらに3つの意味にわかれます。それぞれの意味や使い方・例文を紹介します。
「負けました」を意味する使い方・例文
「参りました」は、「負けました」の意味でも使います。勝負事に負けた側が買った側に負けたことを認める場面で使うのです。例文は次のとおりです。
- バッター:やった、さよなら満塁ホームランだ!
- ピッチャー:参りました。
「閉口しました」を意味する使い方・例文
「参りました」には、「閉口しました」の意味もあります。閉口したというのは、困った、弱ったという意味です。例文は次のとおりです。
- □□社に急に呼び出されて、参りました。
- トラブルで残業になってしまって、参りました。
「心を奪われました」を意味する使い方・例文
「参りました」は、いわゆる一目惚れの場面で「心を奪われました」の意味でも使います。例文は次のとおりです。
- 以前から気になっていた、総務課の〇〇さんの仕草に参りました。
- 彼女は営業の△△君の優しさにすっかり参りました。
「参りました」の語源
「参りました」のもとの言葉「参る」は、古くは「まいいる」と表記されていました。「まいる」に「入る」の意味を持つ「いる」が付いていたのですが、徐々に「まいる」に変化したのです。「貴人のもとに参入する」というのが、もともとの意味です。
「参りました」と「伺いました」の違いと例文
「参りました」と「伺いました」の違いは、謙譲語の種類です。どちらも謙譲語なのですが、「参りました」は謙譲語2、「伺いました」は謙譲語1と分類されています。謙譲語1が話題に上がっているものへの敬意を表す敬語なのに対して、謙譲語2は、話し相手に対する敬語です。例文は次のとおりです。
- 昨日私が社長のところへ説明に参りました。
- 先月は、中3のときの担任の先生宅に有志で伺いました。
「参りました」の類義語
「参りました」の類義語には、「来ました」と「行きました」があります。意味と使い方・例文を紹介します。
「参りました」の類義語「来ました」の意味と使い方・例文
「参りました」の類義語「来ました」は「来ます」の過去形です。「参りました」が敬語表現なのに対して、「来ました」は丁寧な表現ではありますが敬語表現ではないので、ビジネスシーンでは使えません。間違った例文と正しい例文は次のとおりです。
- ×今日は、ここまで電車で来ました。
- ○今日は、ここまで電車で「参りました」。
「参りました」の類義語「行きました」の意味と使い方・例文
「参りました」の類義語「行きました」は、「行きます」の過去形です。「行きました」もやはり丁寧な表現ではありますが敬語表現ではないので、ビジネスシーンでは使えません。間違った例文と正しい例文は次のとおりです。
- ×私がかぜをひいた〇〇さんの代わりに行きます。
- ○私がかぜをひいた〇〇さんの代わりにまいります。
ビジネスシーンでの「参りました」の使い方・例文
ビジネスシーンでの「参りました」には、謙譲語の「参りました」と「行った」や「来た」の丁寧語としての「参りました」があります。それぞれの使い方・例文を紹介します。
「来ました」の謙譲語の「参りました」の使い方・例文
ビジネスシーンで使える「来ました」の謙譲語としての「参りました」は、顧客や就職活動での面接官など気を遣う相手に会った際に使います。例文は次のとおりです。
- 〇〇大学から「参りました」田中と申します。
- △△会社から「参りました」佐藤と申します。
「行った」や「来た」の丁寧語としての「参りました」の使い方・例文
ビジネスシーンで使える「行った」や「来た」の丁寧語としての「まいりました」は、丁寧に表現したいときに使います。例文は次のとおりです。
- 雨が降ってまいりましたので、よろしかったら傘をお持ちください。
- 部長が今まいりました。もう少々お待ちください。
「魔入りました!入間くん」の「魔入りました」とは?
「魔入りました!入間くん」は、NHKの人気テレビアニメです。お人よしの人間の少年・鈴木入間が、魔界の大悪魔・サリバンに気に入られ、サリバンが校長を務める悪魔学校バビルスに通います。タイトルにある「魔入りました」が「魔界に入った」の意味と「参りました」に引っかけた表現になっているのが特徴です。
「参りました」の英語表現・例文
「参りました」の英語表現「I give up」「have come to you」「absorbed」の3つの使い方・例文を紹介します。
「I give up」
「I give up」は、「負けました」を意味する「参りました」の英語表現です。例文は次のとおりです。
- I give up!What is the answer?(参りました!答えは何でしょうか?)
「have come to you」
「have come to you」は、「来ました」の謙譲語としての意味の「参りました」の英語表現です。例文は次のとおりです。
- I have come to you for help.(助けていただきたくてまいりました。)
「absorbed」
「absorbed」は、「心を奪われました」を意味する「参りました」の英語表現です。例文は次のとおりです。
- He was so absorbed in his studies that he didn’t even hear the phone ring.(彼は自分の勉強に心を奪われていて、電話が鳴っていることに気づきませんでした。)
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は参りましたについて解説しました。
「参りました」は、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。ビジネスパーソンなら、謙譲語として使う場合と丁寧語として使う場合の使い分けができるようにしましょう。
最後に「参りました」のまとめです。
- 「参りました」の現代語には、大きくわけて尊敬語と「相手に屈した」の2つの意味があります。
- 「参りました」のもとの言葉「参る」は、古くは「まいいる」と表記されていました。
- 「参りました」の類義語には、「来ました」と「行きました」があります。
- 「参りました」の英語表現は「I give up」「have come to you」「absorbed」です。