「つまるところ」という表現は聞いたことありますか。では、「とどのつまり」との使い方の違いはご存じでしょうか。今回は「つまるところ」の意味や使い方・類義語や対義語、英語表現に加え、「とどのつまり」との違いについても徹底解説します!
「つまるところ」の意味とは?
「つまるところ」という言葉は、ビジネスシーンや日常生活でも高い頻度で使われる言葉になります。そこで「つまるところ」がどういう意味を持ち、どのようなタイミングで使われるのかを正確に把握することが大切になります。ここでは、「つまるところ」の意味や話し言葉での使い方について紹介します。普段から何気なくこの言葉を使っているものの、その意味は今でも意識したことがないという方は必見です。
「結局は」という意味
「つまるところ」に含まれる「詰まる」という言葉は「ふさがっている」という意味を指します。この言葉は「その先には行き場がないこと」というニュアンスを持っています。転じて「この先にこれ以上の展開の仕方がないこと」、「結局」という意味の言葉になりました。これ以上核心に迫れない様子を表現した言葉で、状況や内容の説明を要点を絞って説明したいときに使われます。
口語では「つまり」
「つまるところ」という言葉は、話し言葉においては「つまり」という言葉が多用されます。「つまるところ」は文章やメールなどの書き言葉で使われています。「つまるところ」という言葉は比較的かしこまった表現であるためビジネスシーンでよく使われ、「つまり」という言葉は日常会話において使われることが多いです。
「つまるところ」の類義語・言い替え
「つまるところ」の類義語や言い換え表現について紹介します。「つまるところ」の類義語として「要するに」と「言い換える」という2つの言葉の意味について説明します。これらの言葉に共通するのは「結局は」「まとめると」というニュアンスを持ち、結論を伝えたり話の内容をまとめたりするときに使われます。このような周辺の語句をおさえておくことで、日本語の語彙が増えるとともに表現の仕方の幅も広がります。これを機にこれらの言葉もしっかり理解しておきましょう。
「要するに」
「要するに」という言葉は、「今まで述べてきたことをまとめると」という意味になります。相手の話を聞いて要点を簡潔にまとめる際に「要するに君が言いたいことはこういうことだね。」というような使われ方をします。「相手の説明をわかりやすく言い換える」というニュアンスが含まれているため、使いすぎると説明が下手だと思っていると捉えられかねません。使いすぎには注意が必要です。目上の人に対しては、使わない方が無難といえるでしょう。
「言い換えると」
「言い換えると」という言葉は、「同じことを他の言葉で言い直すこと」という意味を持ちます。先ほど紹介した「要するに」とほぼ同じ意味であると考えて問題ないです。「要するに」よりは角が立たない表現法であるといえます。相手との話の中に理解の食い違いがないよう答え合わせをするときに、相手の説明を自分の言葉で表現し直すことですり合わせをするタイミングなどで用いられます。例えば、「言い換えると先ほどおっしゃったご説明はこういうことですよね。」というように用いると、誤解やすれ違いを防げます。
「つまるところ」の対義語
「つまるところ」の対義語として2つ紹介します。ここでは「冗長」と「散漫」という言葉について説明します。これらの言葉に共通するニュアンスは「話や考えがまとまっていないこと」になります。反対の言葉を理解することで、それぞれの言葉の立ち位置を相対的に理解できるようになります。対義語も積極的に把握することで、日本語力をより高めることに繋がります。
「冗長」
「冗長」という言葉は「話の無駄が多いこと」という意味を表しています。「冗長表現」という使われ方もあるように、話や文章が無駄に長く伝わりづらくなっている状態を指します。「冗長」の対義語としては「簡潔」という言葉があげられます。この言葉は、「かんたんで要領よくまとまっている状態」を表しています。「つまるところ」という表現をするときは「簡潔」な説明になっていることが大前提になるので注意が必要です。
「散漫」
「散漫」という言葉は「まとまりがなく散らばっていること」という意味を表します。「散漫な話」 というように使われ、「話や文章が無駄に長くなっていてまとまりがない状態」を指します。また注意力に対しても使われることがあります。「彼はいつも注意力散漫だ。」というのように使われ、この場合、集中力や注意力が人よりも劣っていることを表現しています。
「つまるところ」と「とどのつまり」の違い
ここでは、「つまるところ」と「とどのつまり」の違いについて説明します。これらの違いを語るにはその由来から理解する必要があります。つまるところの由来としては「詰まる」という言葉から、「その先にはもう進めない」という概念がありました。では「とどのつまり」にはどのような由来があるのでしょうか。そもそも「とど」とは何を表しているのか、そういったポイントを軸に詳しく解説していきます。
「つまるところ」との違いは「由来」にある
「とどのつまり」も「つまるところ」と同じく「結局のところ」という意味を表しています。この言葉の由来は「ボラ」という魚にあります。ボラは成長とともに名前が変わるところに、「とどのつまり」の由来が隠されています。ボラは最終的には「トド」という名前になり、これ以上成長によって名前を変えることはありません。転じて、これ以上発展しない様子から「とどのつまり」は「つまるところ」と同じ意味を持つようになりました。ボラという魚は「はた」「おぼこ」「いな」「ぼら」「とど」 という順番に名前を書いていきます。この成長に基づく名前の変遷は、地域によっても若干の違いがあるので注意が必要です。一番知名度があるボラの時点で、最終の名前である「トド」の一歩手前の成長状態になります。
意味に違いはないが使う場面に差がある
「つまるところ」と「とどのつまり」は同じ意味になります。状況によって使い分けるとすれば、「つまるところ」の方がビジネスシーンにおいては似つかわしいといえるでしょう。「とどのつまり」を用いても間違いではありませんが、「つまるところ」の方が一般的に浸透しておりフォーマルな文献にも相応しい表現になります。明確な使い分けはありませんが、それぞれの言葉の守備範囲もしっかり理解しておくとよいでしょう。
「つまるところ」を英語でいうと?
「つまるところ」の英語表現はどのようなものになるでしょうか。「After All」と「at the end」という2つの英語表現について解説します。詳しく見ていきましょう
「after all」
「after all」は「結局は」という意味の英語表現です。カジュアルな場面やビジネスシーン両方において使える便利な言葉であるといえます。比較的かんたんな言葉であるため、英語圏の国に行った時に使えると便利になるので身につけておくとよいでしょう。
「At the end」
「At the end」も「結局のところ」「つまるところ」という意味のある英語表現です。「 At the end it was sheer blackmail.」 で「結局のところは完全な搾取」という意味になります。「sheer」は「全くの」、「blackmail」は「恐喝、ゆすり」という意味になります。文の前に置くことで、文全体を修飾できる表現方法です。
「つまるところ」の使い方と例文集
「つまるところ」の使い方と注意点、例文について紹介します。言葉の使い方を正確に理解することで、正しく日本語を操れるようになります。普段何気なく使っている言葉も、その意味やニュアンス使い方などを意識するようにするとまた違った世界が見えてくるかもしれません。
「つまるところ」の使い方
「つまるところ」の使い方として、話の核心に迫る時は相手の言葉を要約するとき、話をまとめるときなどによく用いられます。話し言葉においてはつまりという言葉で代用されます。日常生活やビジネスシーンにおいてもよく使われる言葉になるので、使われるタイミングはしっかり理解しておきましょう。
「つまるところ」を使用するときの注意点
「つまるところ」や「つまり」という言葉を使うときの注意点として、頻繁に使ってしまう点があります。比較的よく見かける状況ですが、「つまるところ」と前置きしたのにもかかわらず話がまとまっていないことなどが散見されます。話の要点を掴み重要な点を凝縮した上で「つまるところ」や「つまり」という言葉を使うようにしましょう。
「つまるところ」の例文
「つまるところ」や「つまり」を用いた例文を3つ紹介します。
- つまり、新規事業への参入は見送るのですか?
- つまるところ、情報不足が本事業撤退の原因になります。
- つまり、売れ行きは好調だという解釈でよろしいですね。
まとめ
「つまるところ」は「結局は」という意味になります。とどのつまりとの違いはその由来にあり、意味の違いはありません。意味が同じでも由来が異なると表現の仕方が変わってくるのが言葉の面白いところです。わからない言葉があったら積極的に検索するようにしましょう。