「感服します。」という表現を一度は耳にしたことがあるでしょう。一般的に使われる言葉ではありますが「敬服」との違いなど難しい点もあります。今回は、「感服」の正しい使い方に加え、「敬服」との違いや類語・対義語・英語表現について詳しく紹介します。
「感服」の意味とは?
「感服」という言葉の意味をご存知ですか。日常生活やビジネスシーンにおいても使われるタイミングはある「感服」という言葉。ここでは「感服」の意味やビジネスシーンにおいての使い方について解説します。言葉の意味はそのニュアンスを正確に理解することで、より円滑にコミュニケーションを取れるようになります。さっそく見ていきましょう。
「深く感心して、尊敬の気持ちを抱くこと」を指す
「感服」は「相手に深く感心して尊敬の気持ちを抱くこと」を表しています。「相手に感心する」「すごいと思う」という気持ちを表現する言葉は、日本語の中にも多数存在し、それらの言葉については後ほど紹介します。意味が似ているためその使い分けは若干難しいところがあります。
参照:Weblio辞書「感服」
上司に使っていいの?
この「感服」という表現はビジネスシーンにおいて、上司や目上の人に対して使ってもよいのかという問題が浮上します。結論は使っても問題ありません。しかし上司の方の取り方によっては失礼にあたる可能性も否めません。そのような場合は「敬服」という言葉を使うほうが無難でしょう。「敬服」という言葉の中には「敬」という漢字が含まれているため、相手を尊敬しているというニュアンスがより直接的に伝わります。上司や目上の方との普段の人間関係にもよりますが、「感服」か「敬服」かどちらを使うか迷った時は、「敬服」を使った方が無難でしょう。
「感服」の読み方
「感服」は「かんぷく」と読みます。「服」という漢字は「身につける」という意味のほかに、「付き従う」というニュアンスも持ち合わせています。こういった意味を持つ「服」を使った熟語として「降服」や「屈服」、「克服」などが存在します。漢字ひとつとってみても、その中にいろいろなニュアンスがあるのが日本語の面白いところです。
「感服」の類義語・言い替え
ここでは「感服」の類義語や言い換え表現を3つ紹介します。それらの言葉は「感心」「尊敬」「脱帽」です。そのどれもが相手に対して敬意を示す言葉になりますが、若干のニュアンスの違いが存在します。これらの言葉がどのように使い分けられているのか、詳しく見ていきましょう。
「感心」
「感心」という言葉には「優れた技量に心が動かされる」という意味があります。また、「呆れること」という反対にも持ち合わせています。この使い方は、元の「優れた技量に心が動かされる」という意味を逆手にとり、皮肉った表現になるためビジネスシーンや日常会話においてはあまり使わない方がよいでしょう。この「感心」という言葉は、 自分よりも年下の人に使うのが適切です。つまり上司や目上の人に「感心しました。」と伝えるのは失礼にあたるので注意しましょう。また、「興味がある」という意味の「関心」とは全く意味が違うので気をつけましょう。
「尊敬」
「尊敬」という言葉は、「人格の素晴らしさに感じ入り、見習いたくなること」を指します。目上目下かかわらず使う言葉であるため、比較的使いやすいといえるでしょう。また相手に対して憧れていますというメッセージを伝えることもできるため、オーソドックスな誉め言葉であるといえます。目上の人に使うのはもちろんのこと年下の人に対しても敬意を示せる言葉です。人の行動に対して「見習いたいな」と思うことがあったら積極的に使っていきましょう。
「脱帽」
「脱帽」は「相手に対して敬意を示すこと」を指します。。元々は純粋に帽子を脱ぐといった意味でしたが、相手に敬意を表している証拠として帽子を脱ぐという文化があるため、脱帽という言葉自体が相手に敬意を示すことという意味を持つようになりました。ニュアンスとしては「感服」とほぼ同じ意味になります。一般的に目上の人に対して使われる表現として浸透しています。
「感服」の対義語
「感服」の対義語は3つ紹介します。それらの言葉は「軽蔑」「侮蔑」「貶める」です。これらの言葉に共通するのは、「相手を軽んじる」「見下す」というニュアンスです。このニュアンスからもわかる通り、プラスの意味で使われる言葉ではありません。 どのような状況でこれらの言葉が使われるのか。詳しく解説します。
「軽蔑」
「軽蔑」とは、「相手を劣ったものとみなして、馬鹿にすること」を表しています。この意味合いからもわかるように、よい意味の言葉ではないので、直接相手に伝えるべき言葉ではありません。「彼はいつもあの人を軽蔑している。」のように、客観的な事実として人に対する接し方を表現するときに用いられます。
「侮蔑」
「侮蔑」とは「見下して蔑むこと」を表す言葉です。軽蔑と同じ意味と考えて問題ないでしょう。蔑には「さげすむ」や 「ないがしろ」という読み方も存在します。これら全ては相手を見下すことというニュアンスが含まれている言葉です。 また差別的な名称という意味で「蔑称」という言葉が存在します。これらの言葉から「蔑」という漢字が持っているニュアンスを理解できます。
「貶める」
「貶める」とは「見下す」「蔑む」という意味になります。この漢字は「おとしめる」とも「けなす」とも読まれます。相手のことを悪く言ったり、身分や地位を落とすというニュアンスを持ちます。「毀誉褒貶」という四字熟語がありますが、この言葉は「褒めたりけなしたりする」という意味になります。この四字熟語にも「貶」という漢字が入っていることから、これを機に覚えておくとよいでしょう。
「感服」と「敬服」の違い
「感服」と「敬服」の違いについて紹介します。 この2つの言葉はどちらも相手に対して敬意を表するという意味では一致しています。ではどういったところで違いが生じているのでしょうか。「感服」と「敬服」の使い方の違いについて詳しく見ていきましょう。
目上の人に使うには「敬服」が無難
目上の人に使う場合は「感服」よりも「敬服」を用いた方が無難でしょう。一般的には「感服」でも問題ありませんが相手の受け取り方はわからないため、上司との人間関係コミュニケーションの取り方を考慮したうえで使い分けをするべきだといえます。また「脱帽」という言葉もあるため、これを使うのもよいでしょう。注意が必要なのは「感心」という言葉です。「感心」という言葉は年上の人が年下の人を誉めるというニュアンスがあるため、目上の人に使うのは避けるべきです。
「敬服」の意味
「敬服」という言葉の意味は、「感心して尊敬の念を抱くこと」という意味になります。「感服」という言葉と大きな差はありませんが、「敬」という漢字が入っているところが違います。この漢字が入ることで「敬っている」ニュアンスをより強く表現しています。ただ本質的には「感服」でも「敬服」でも言葉の意味に大差はありません。
「感服」を英語でいうと?
「感服」の英語表現を2つ紹介します。相手を尊敬するニュアンスを持つ言葉であるため、英語での表現法を知っておくと英語圏でのコミュニケーションに役に立つ可能性があります。比較的かんたんな表現法をピックアップしました。これを機におさえておくとよいでしょう。
「be impressed with」
「be impressed with」で「感動した」というニュアンスを持つ英語表現になります。「I was impressed with her work.」で「彼女の仕事に感服した。」という意味になります。「impressed」が「心が揺さぶられる」という意味を持つ言葉になるので、合わせて覚えておくとよいでしょう。
「admiration」
「I am filled with admiration.」で「実に感服した」という意味になります。「fill」は「いっぱいになる」、「admiration」は「憧れ」という意味を持っているため、「 胸の中が憧れで満たされた」状態を表しています。
「感服」の使い方と例文集
最後に「感服」の使い方と注意点、例文を紹介します。褒め言葉であるため、使い方をわきまえた上で積極的に使っていきましょう。お互いに承認し合える人間関係を築けると、仕事も非常に進めやすくなります。
「感服」の使い方
「感服」は「敬って従うこと」という意味があります。相手に対する褒め言葉として用いられ、「感服しております」「感服しました」「感服するばかりです」というような使われ方をすることが多いです。
「感服」を使用するときの注意点
「感服」の使い方の注意点としては、相手によっては「敬服」を使った方がよいという点です。これらの使い分けは実質的には受け取り方次第の問題になるため、普段の人間関係に合わせて使い分けをしていきましょう。
「感服」の例文
最後に「感服」を使った例文を3つ紹介します。
- 彼の働きには感服するばかりだ。
- 御社の洗練されたサービスに感服いたします。
- 彼女の研究成果には感服する。
まとめ
「感服」という言葉の意味は「深く感心して尊敬の気持ちを抱くこと」という意味があります。目上の人に使うには敬服の方が好ましいでしょう。今回紹介した類義語や対義語も合わせて押さえておくとよいでしょう。感服や敬服と言った言葉はビジネスシーンでもよく使われる言葉になります。正しく言葉を使って、コミュニケーション円滑にとっていきましょう。