尊厳の正しい使い方!英語や類語、言い換えも解説

「尊厳」の正しい使い方!英語や類語、言い換えも解説
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「尊厳」という言葉を知っている人は多いかと思いますが、具体的な説明を求められたとき返答に困ってしまう方も案外いるのではないでしょうか。そこで今回は、「尊厳」について詳しく解説していきます。是非参考にしてみてください。

目次

「尊厳」の意味とは?

「尊厳」の意味とは?

近年、個人の持つ「尊厳」のあり方が世界的に問題になっています。今後さらに人間の持つ「尊厳」について、一人一人が考えなければならない時代になっていきます。ではいったい「尊厳」とは何なのでしょうか。ぜひ参考にしてみてください。

「尊厳」の意味は「厳かで尊いこと」

「尊厳」の意味とは、尊く厳かなこと、気高く犯し難いこととあります。これだけだと非常に概念的すぎてわかりづらいかもしれません。昔は身分が高い人、社会的地位が高い人に対して使っていましたが、現在では一人一人が持つ存在価値の高さのことを指して使います。現代において、一人一人が尊く尊重されるべきものだといった解釈がなされており、このような価値観は広く一般的に普及されつつあります。

参照:Weblio辞書「尊厳」

人間の「尊厳」

こういったことから、「尊厳」とは人間にとっての究極的な価値であるとされています。すべての人は、その存在に平等に価値があり、人がそこに存在していることそのものが、かけがえのない価値なのであるとされています。

個人の「尊厳」

日本国憲法の3大原理である「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」は、「個人の尊厳」を尊重しようといった理念のもとで構成されています。それは、過去人類が人間の生命や存在価値を軽視してきた時代があり、それによって起きた悲劇や過ちを二度と繰り返さぬよう人類の叡智を結集して作り上げた理念になります。その中の基本的人権の尊重において、日本国憲法第十三条では個人の尊厳についてこう記されています。

・第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

私たちは、どのように生きたいのか、どんな人生を歩みたいのか、どんな幸せを得たいのか、それらを追い求めていく個人としての権利を、憲法によって尊重されています。そして、それらの権利は自分のみならず他者の権利をも等しく尊重して扱わなければいけません。「尊厳」は個人の力だけでは完結しないのです。一人一人が互いに思いやる気持ちがあってはじめて個人の尊厳は保たれるのです。

法の「尊厳」

法の権威を犯すような行為を行った場合、法の「尊厳」を傷つける行為だと表現されます。その法が法としてちゃんと機能し、「尊厳」が保たれているのは、人の心の中にある、法を破ってはいけないといった概念によってのみ成り立っています。

しかし、何故人は法を守ろうとするのでしょうか。それは、法が人の権利を守ってくれていると感じるからです。わかりやすく説明すると、法を守ること、破ることにそれぞれメリット・デメリットがあるから人は法を守ろうとします。これは何も憲法や法律だけの話ではなく、一般社会におけるさまざまなルールや規律もそのように構成されています。

ルールを守ればメリットがあり、ルールを破ればデメリットがある、このバランスが釣り合っていると感じるからこそ、人はルールを守ろうとするのです。逆にいえば、デメリットがあってないようなルールであったり、ルールを守ることでのメリットが割に合わないと感じられるものだったりする場合、人はそれを破ることをも躊躇しません。そのようにして破られたルールは、次第にルールとして機能しなくなっていきます。

このように、法の「尊厳」は人の心に大きく依存するものです。だからこそ我私たちは、幼い時から法とは何なのか、ルールとは何なのかを学んでいく中で、法の「尊厳」を守るための道徳心や良心を身につけていくのです。それこそが国を、社会を、生活を形作っていくのです。

「尊厳」の英語とは

「尊厳」の英語とは

「尊厳」は、数多くの国で概念として存在しています。では、英語で訳した場合どのような言葉になるのでしょうか。順番に解説していきましょう。

「尊厳」を表す単語

「尊厳」に関する単語は以下の通りです。

  • dignity(尊厳)
  • prestige(威信)
  • the dignity of man(人間の尊厳)
  • death with dignity(尊厳死)

このように「尊厳」に関する英語の表現はいくつもあります。「dignity」が「尊厳」を表す基本的な言葉です。「the dignity of man」で「人間の尊厳」といった意味になります。

「尊厳」を使った例文

「尊厳」を使った例文は以下の通りです。

  • human dignity 人間の尊厳
  • his self-satisfied dignity 彼の自己満足の尊厳
  • impair the dignity of 尊厳を傷つける

「human dignity」といった表現も「人間の尊厳」といった意味になります。「impair the dignity of」で「尊厳を傷つける」になります。

「尊厳」の類語・言い換え

「尊厳」の類語・言い換え

「尊厳」に近い意味の言葉は、日本語でも数多くあります。順番に解説していきましょう。

  • 尊重:尊いものとして重んじること
  • 威厳・威風(いふう):厳かで立派に見える様子
  • 威儀(いぎ):いかめしく重々しい動作、立ち居振る舞いの威厳を示す作法
  • 威容(いよう):人や建物のりっぱで威厳のある様子、威勢のあるりっぱな姿
  • 偉容(いよう):仰ぎ見るほどのすぐれてりっぱな姿、堂々たる姿
  • 厳か:重々しくいかめしいさま、礼儀正しく近寄りにくいさま
  • 荘厳:重々しくおごそかなこと、おごそかでりっぱな様子
  • 荘重(そうちょう):おごそかで重々しいこと、様子
  • 矜持(きょうじ):自信、自負、自尊といった「誇り」あるいはプライドの感情を意味する語
  • 貫禄:からだつきや態度などから感じる人間的重みや風格、身に備わった威厳
  • 自敬:哲学において自己の中に人格の絶対的価値と尊厳とを認めること、自尊
  • 自尊:(1)自分で自分をすぐれたものと思いこむこと、うぬぼれること
       (2)自分を大切にし品位を傷つけないようにすること
  • 気品:どことなく感じられる上品で気高い趣
  • 品格:その人やその物に感じられる気高さや上品さ

「尊厳死」とは

「尊厳死」とは

近年、話題になっている「尊厳死」と「安楽死」。どういった違いがあるのかを、医学的見地も踏まえた上で紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

「尊厳死」の意味

「尊厳死」とは、回復を見込めない傷病者が、延命治療を断り自らの意思で死を迎えることを意味します。患者自らが自分の最期の死に方を選ぶことそのものが、個人の「尊厳」に関わってくるものであるといった考えから生まれた概念です。現在、この考えについてさまざまな議論がなされており、人類の直面している問題の一つでもあります。

「尊厳死」と「安楽死」の違い

尊厳死は、回復の見込みがない本人のリヴィングウィル(生前の意思)に基づき、人工的な生命維持装置を取り外して自然な形で寿命を全うさせることを指します。

一方、安楽死は、本人あるいは親族など周囲の人の希望に従い、苦痛の少ない薬物を用いて楽に死なせることを指します。

さらに安楽死といった行為の概念は、大きく分けて2つに分類されます。

  • 積極的安楽死
  • 消極的安楽死

積極的安楽死は、簡潔にいうと積極的に死なせること、つまり殺すことを指します。これは仮に医療行為の範疇といえども、倫理的に許されざる行為です。

消極的安楽死とは、治療しないといった選択を受け入れることを指します。延命治療では患者の幸せを望めない場合に、患者自らが望んだ死といった選択でもって苦痛や不幸な状態から解放する行為になります。

ほかに、安楽死を決定するまでのプロセスには3つの分類があります。

  • 自発的安楽死
  • 非自発的安楽死
  • 反自発的安楽死

自発的安楽死は、患者本人の意思によって決定した安楽死のことです。

非自発的安楽死とは、患者本人に選択する能力がない状態で決定した安楽死のことです。たとえば重度の障害を持って産まれた新生児などの場合で、本人がそういった状況を理解できる能力がない状態のときに決定された安楽死は、非自発的安楽死に該当します。

反自発的安楽死は、本人に選択する能力があるにもかかわらず、本人の意思を聞かずに行った安楽死や、また本人が反対しているにもかかわらず行われた安楽死はこれに該当します。反自発的安楽死は、社会的にも倫理的にも許されざる行為です。

医療の観点からみる「尊厳」

昔に比べて現代の世界の平均寿命は、以前では考えられないほど長くなりました。そうした中で問題になってきたのは、寿命が尽きる最期にどのような死に方をしたいかといったことでした。

「寿命がどんなに長くなっても、健康に生きられないかもしれない。動けずただベッドの上で寝ているだけの存在になった場合、それを果たして生きているといえるのか。」

人は、寿命が長くなることで自分が生きていることの価値やQOL(生命の質)を考えなければいけなくなった結果、望んだ理想の形で生きていけないのならば、最後だけでも自分の望んだ形で死を迎えたいといったような考えが醸成されていったのです。

それこそが、人間の生きている証であり、人としての「尊厳」を保つことに関わってくると考えられています。そうした中で作られたのが「尊厳死」と「安楽死」といった概念なのです。

しかし、仮にも医療とは人の命を救うことが大前提である以上、本人が望んでいるとはいえ人を殺す行為をしていいのかといった問題がつきまといます。人の「尊厳」や人権、社会的倫理観、職業的使命、さまざまな観点から今もなお議論が続けられ、未だ答えが出ていない状況です。

ハラスメントから考える「尊厳」

ハラスメントから考える「尊厳」

近年、さまざまなハラスメントについて世界的に問題になっています。個人の「尊厳」がどのように扱われているのか、この問題について解説しましょう。

個人の「尊厳」が尊重されてきている時代

アブラハム・マズローによって提唱された欲求5段階説によると、人には5つの欲求があるといわれています。

  • 生理的欲求 人の持つ根源的な欲求。睡眠欲や食欲など
  • 安全欲求 健康や治安の良さなど安全で豊かであることを望む欲求
  • 所属と愛の欲求 社会やコミュニティなど人と繋がっていたい欲求
  • 承認欲求 名声や注目を浴びたい欲求
  • 自己実現欲求 自分の存在している意味や価値を実現したい欲求

近年、さまざまなハラスメント問題について改善していこうといった動きが活発化しています。人によっては「昔はこんなにもうるさくはなかった」「窮屈で生きづらい世の中になった」と感じる人も少なくないでしょう。

数百年前、中世などの時代は個人の持つ権利や存在価値はとても低く見られていました。当時、人の大切にしているものといえば「金(家畜)、住居、伴侶」程度で、最低限の生理的欲求や安全欲求さえ満たされれば問題ない世の中でした。

しかし、現代では文明が発達していき、物が豊かになって、平和で安全に暮らせることが当たり前の時代になりました。生理的欲求や安全欲求が満たされていることは普通のことで、さらにネットやSNSの発達により所属と愛の欲求、承認欲求までもがかんたんに手に入る時代になったのです。

そうなると、最後に残っているものは自己実現欲求です。いうなればそれは「人の個性、アイデンティティ」です。言葉を変えれば「尊厳」とも言い換えられます。社会が成熟していった結果、どれだけ「尊厳」を満たせるかが問題となってきているのです。

このことからいえるのは、ハラスメント問題の本質とは「尊厳」を守る運動、つまりは「いかに自分らしく生きられるか」といったテーマが根底にあるのです。

世界における「尊厳」の現状

こういった問題は日本だけにとどまらず、世界的に見ても重要な問題となっています。ハラスメント問題をはじめ差別問題やジェンダーの問題など、それらは他者の意思に根付くものであり、個人の意思だけでは解決しない問題です。

「尊厳」もまた同じで、個人の「尊厳」を尊重するためには自分だけではなく他者の「尊厳」も互いに尊重し合うことで、はじめて達成され得るものなのです。ですが他者の「尊厳」を尊重することは大変難しく、誰もが納得できる答えを見つけ出せていないのが現状です。これからもさまざまな問題を通して、「尊厳」を尊重し合うこととはどういうことなのかをより多く議論していく必要があります。

まとめ

「尊厳」とは、心のあり方を表現している言葉です。誰もが自分の「尊厳」に自信を持ち、互いに尊重しあえる世の中になっていくことを願います。

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