「是非もない」の」正しい使い方を知っていますか?意味や「是非に及ばず」との違いもあいまいになっているひとがほとんどですよね。この記事では「是非もない」について徹底解説します。ビジネスシーンでも使いますので、確実に押さえておきましょう。
「是非もなし」の意味とは?
「是非もなし」とは「いいも悪いもいっていられない」という意味です。つまり「仕方がないことだ」と表現しているのです。歴史的に有名な人物が使っていたという話によって、「是非もなし」を知っているひともいるのではないでしょうか。
「是非もなし」の読み方
「是非もなし」は「ぜひもなし」と読みます。「ぜひ」はほかにも「ぜひ食べてみてください」「ぜひ挑戦してみよう」のように使って、言葉を強調することもあります。
「是非もなし」の由来・語源
「是非もなし」の由来・語源は「古語」からきています。平安時代にすでに存在していた「是非なし」という言葉が「是非もなし」になったとされているのです。古語である「是非なし」にはもともと「ひたすら」「当然」という意味もありましたが、時間の経過とともにそれらの意味では使われなくなりました。そして「仕方がないことだ」という意味だけが残って、現代においても使われているのです。
「是非もなし」の類義語・言い換え
ここでは「是非もなし」の類義語・言い換えについて解説します。「是非もなし」は「仕方がない」という意味で使われますが、意味を理解していないひともなかにはいます️️。そんなときには「是非もなし」の類義語や言い換えで相手に意味を伝えましょう。「是非もなし」の類義語・言い換えが使えると、語彙力もアップしますよ。
「是非もなし」の類義語1「否応もない」
「是非もなし」の類義語1つ目は「否応もない」です。「否応」とは「承知と不承知」を表現する言葉。「いい悪い」を表現する「是非」と同じように、相反する言葉を並べたものです。「否応もない」で「承知も不承知もないので仕方がない」という意味になります。
私は否応もなく、そのプロジェクトに参加させられた。
「是非もなし」の類義語2「やむを得ない」
「是非もなし」の類義語2つ目は「やむを得ない」です。漢字では「止むを得ない」や「已むを得ない」と表記されます。意味は「ほかにどうすることもできないので仕方がない」です。
やむを得ず私は雨のなかを傘なしで走って帰った。
「是非もなし」の類義語3「選択の余地がない」
「是非もなし」の類義語3つ目は「選択の余地がない」です。「余地」とは「ものごとを行うときのゆとり」のことを指しています。よって「選択の余地がない」で「ものごとを選んでいる余裕はない」という意味になります。
選択の余地がない。これはもう多数決で決めてしまおう。
「是非もなし」の類義語4「ほかに道がない」
「是非もなし」の類義語4つ目は「ほかに道がない」です。「道」は単純に「道路」を表現するのはもちろんですが、「ある結果にたどり着くための経路」のことも指しています。つまり「ほかに道がない」と表現することによって、「結果にたどり着くためにはこの方法しかない」という意味を表しています。
ほかに道がありませんので、今月は食費を切り詰めるしかないようです。
「是非もなし」の類義語5「ノーチョイス」
「是非もなし」の類義語5つ目は「ノーチョイス」です。「チョイス」は「選択」「選択肢」のことを指す英単語である「choice」からきています。よって「ノーチョイス」は「選択肢がない」という意味を表しているのです。
ここはノーチョイスですので、「はい」を選びましょう。
「是非もなし」と「是非に及ばず」の違い
「是非もなし」と似た言葉に「是非に及ばず」というものがあります。これらは多くのひとが同じ意味だと思って使っていますが、実は違いがあるのです。ここでは「是非もなし」と「是非に及ばず」の違いを解説します。違いをわからないままにして使っていると恥ずかしいことになりかねません。社会人として「是非もなし」と「是非に及ばず」の違いは頭に入れておきましょう。
「是非に及ばず」の意味
「是非に及ばず」は「あれこれを論じる必要もなく、そうするしかないのだ」という意味です。「及ばず」が「到達しない」という意味を表しているため、「是非」と一緒に使うことによって「いいか悪いかを論じているまでに達さない」という意味を表します。
「是非もなし」と「是非に及ばず」の違い
「是非もなし」と「是非に及ばず」は基本的には同じように使われていますが、実は絶妙な違いがあるのです。「是非もなし」と「是非に及ばず」の違いは「仕方ないという結果に至るまでの思考」です。「是非もなし」は「いいも悪いもないので諦めよう」という思考ですが、「是非に及ばず」は「いい悪いの論議には及ばないほど選択の余地がない」という思考。最終的に到達する「仕方がない」という意味に変わりないのです、どうしてそうなったかには違いがありますので注意しましょう。
「是非もなし」の使い方と例文集
「是非もなし」の意味や類義語を知っていても、実際に使えないのであればその知識は何の役にも立ちません。ここでは「是非もなし」の使い方、使うときの注意点、例文を紹介します。実際にどのようにして使われるのかを学ぶことによって、いまある知識を実際に生活に使えるまで落とし込みましょう。
「是非もなし」の使い方
「是非もなし」はビジネスシーンにおいても日常生活においても幅広く使える言葉です。一般的には「是非もなく」「是非もないこと」などの使い方をします。「仕方なく」と表現するよりも丁寧な印象を与えられるので、相手と状況を確認したうえで「是非もなし」が適切だと思ったら使うようにしましょう。
「是非もなし」を使用するときの注意点
「是非もなし」を使うときには「相手の失礼にあたらないか」に注意しましょう。「是非もなし」と表現することによって「仕方ない」よりも丁寧に意味を伝えられるのですが、「仕方がない」という意味を伝えていることには変わりありません。上司やクライアントの頼みに対して使ってしまうと、相手に非常に不快な気持ちを与えてしまいます。そのような場合においてはこころよく頼を受け入れるのがベスト。どうしても気に入らない頼みであれば、しっかりと話し合うようにしましょう。
「是非もなし」の例文
「是非もなし」を使った例文は以下のとおりです。
- これだけやっても報われないのなら是非もないことだ。
- 今日が大事な日だというなら是非もない。
- 母がうるさいので是非もなく勉強を始めた。
- 準備ばかりをしていても是非もなし。準備はものごとを始めてからでもいいだろう。
- このままでは是非もないので、視点を変えて考えてみよう。
「是非もなし」が実際に使われた場面
ここでは「是非もなし」が実際に使われた場面について紹介します。「是非もなし」や「是非に及ばず」が歴史的に有名な人物の名言として語り継がれていることを知っているひともいるでしょう。このような話を知っていることによって、学があるという印象を与えることもできるかもしれません。豆知識として是非覚えておきましょう。
「是非もなし」「是非に及ばず」は直江状にも使われた言葉
「是非もなし」「是非に及ばず」は直江状にも使われた言葉です。「直江状」とは「直江兼続が上杉家との交渉の際に西笑承兌に送った書簡」のこと。その文章のなかで「是非もなし」「是非に及ばず」が使われていたのです。
「是非もなし」「是非に及ばず」は織田信長に使われた言葉
「是非もなし」「是非に及ばず」は織田信長にも使われた言葉です。織田信長といえば「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」という有名な句を残した戦国武将。彼が本能寺の変において明智光秀の謀反に対して戦うことを決意したときにも「是非もなし」「是非に及ばず」を使ったといわれています。状況から考えると、「戦うほかに選択肢ない」という意味が込められているので「是非に及ばず」といったのかもしれません。
「是非もなし」を英語でいうと?
「是非もなし」を英語でいうと「have no choice」「unavoidable」「inevitable」となります。「have no choice」は「選択肢がほかにない」という意味。「unavoidable」と「inevitable」「回避不可能」という意味です。
- I had no choice but to make that choice.(私は是非もなしにその選択をした。)
- It was an unavoidable choice.(その選択は是非もなしだった。)
- It was an inevitable choice.(その選択は是非もなしだった。)
まとめ
「是非もなし」とは「もうどうにもできないので仕方がない」という意味です。単に「仕方がない」という意味を表現するときにも使われます。「仕方がない」という一定のネガティブ要素を抱えた意味ですので、上司やクライアントからの依頼に対して使うのは失礼にあたります。「是非もなし」は相手と状況を選んで使いましょう。