慣用句「しのぎを削る」の意味や使い方とは?語源・類語・英語を例文解説

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    慣用句「しのぎを削る」をふだんの会話で使ったことがありますか?本記事では意味や類語を例文で解説します。間違いやすい「しのぎ」の表記や、「しのぎ」の同音異義語もあわせて紹介。あやふやだった「しのぎを削る」がよくわかるようになりますよ。

    目次

    「しのぎを削る」の漢字表記

    「しのぎを削る」の漢字表記

    「しのぎを削る」の「しのぎ」の表記と、間違いやすい表記について説明します。

    「しのぎ」は「鎬」が正しい

    「しのぎを削る」の「しのぎ」は、漢字で「鎬」と表記します。漢字「鎬」は音読みで「コウ」、訓読みで「しのぎ」または「なべ」です。

    注意!「凌ぎを削る」は間違い

    間違いやすい「しのぎ」の漢字表記が、「凌ぎ」です。「凌ぎを削る」という表現はなく、誤表記です。

    「しのぎを削る」の意味

    「しのぎを削る」の意味

    「激しく争う」が「しのぎを削る」の意味です。「刀で激しく切り合う」意味もありますが、「激しく争う」意味が一般的です。

    「しのぎを削る」の語源・由来

    「しのぎを削る」の語源・由来

    「しのぎを削る」は、刀にちなんだ慣用表現です。そもそも「しのぎ(鎬)」は刀の刃と峰の境、盛り上がった線の部分を差します。この「しのぎ」の部分が削れるほど何度も切り合い、激しく戦うたとえが転じて「激しく争う」意味を表すようになりました。いつから「しのぎを削る」の表現が使われるようになったかは不明です。鎌倉初期の事件を題材にした軍記物語『曽我物語』に、「たがひにしのぎをけづりあひ、時をうつしてたたかひけるに」と記されています。『曽我物語』は南北朝時代から室町、戦国時代に口承で広まりました。江戸時代には、歌舞伎の人気演目だったそうです。

    たくさんある「しのぎ」の同音異義語

    たくさんある「しのぎ」の同音異義語

    「しのぎを削る」の「しのぎ」と同音異義の言葉は複数あります。「凌ぎを削る」のような誤用をしないためにも、それぞれの「しのぎ」を確認してください。

    収入を得る手段の「しのぎ」

    仕事、商売など収入を得るための手段を「しのぎ」といいます。任侠映画などでは、おなじみの言葉です。あまりクリーンでまっとうなニュアンスでは使いません。

    我慢して切り抜ける意味の「しのぎ」

    苦しいこと、辛い局面を辛抱して切り抜けることを「しのぎ」といいます。たとえば「一時しのぎ」や「急場しのぎ」、あるいは「退屈しのぎ」などです。根本的な解決ではなく、急ごしらえや苦し紛れといったニュアンスが含まれます。

    小腹を満たすための「しのぎ」

    懐石料理では献立の前半で、軽く空腹を満たすために小さな寿司や少量のうどんといった食事を出します。これを「凌ぎ」または「お凌ぎ」といいます。

    陶芸用語としての「しのぎ」

    陶芸の伝統的な技法「しのぎ」は「鎬」と表記します。「しのぎ」は素地の表面をヘラやカンナで削って稜線模様を作る技法です。稜線模様は刀の「しのぎ」のように盛り上がり、器に味わいを加えます。刀の「しのぎ」がもとになった言葉ですが、「しのぎを削る」の意味とは異なります。

    「しのぎを削る」の使い方と例文

    「しのぎを削る」の使い方と例文

    「しのぎを削る」はどんな場面にふさわしい表現なのか、使い方と例文を挙げます。

    争う場面で使う

    「激しく争う」が「しのぎを削る」の意味なので、争う場面で使います。争うのは個人対個人にとどまらず、チームや会社、国など規模の大小は問いません。争う内容もスポーツや権力闘争、出世、学力、人気などあらゆる分野に該当します。

    実力が伯仲している場合にのみ使う

    「しのぎを削る」は「激しく争う」意味から、互いに実力が伯仲している場合にだけ使えます。もとになっているたとえ「何度も切り合う」のは、実力が拮抗しているからこそできることです。どちらかが圧倒的に強ければ、争うまでもなく一瞬で勝負がついてしまいます。実力差が大きい場合には、「しのぎを削る」が当てはまりません。

    例文

    「しのぎを削る」を使った例文を挙げます。

    ・私と彼は学生時代、互いに有力な水泳選手だった。県大会では常にしのぎを削る戦いを繰り広げていたものだ。
    ・広告業界は、A社とB社がシェア獲得でしのぎを削っている。
    ・原宿は多くのヘアサロンがしのぎを削る激戦区だ。ここで10年生き残るには、相当な努力が必要だろう。
    ・トーナメントCブロックはサッカー強豪国たちがしのぎを削る、死のブロックとなった。
    ・戦国時代は大名たちがしのぎを削る、群雄割拠の様相を呈した。

    「しのぎを削る」の類義語・言い換え表現

    「しのぎを削る」の類義語・言い換え表現

    「しのぎを削る」の類語を挙げます。いずれも「激しく争う」意味が共通しています。

    「火花を散らす」

    「火花を散らす(ひばなをちらす)」は「刀を激しく打ち合わせて争う」たとえが転じて、「激しく争う」意味の慣用表現。「しのぎを削る」と同じく、刀が語源です。刀を激しく打ち合わせると火花が散ることから、「火花が散る」というようになりました。「火が散る」ともいいます。「激しく争う」意味と「実力が伯仲している場面で使う」点が「しのぎを削る」と共通です。「火花を散らす」を使った例文を挙げます。

    ・決勝トーナメント進出の最後の一枠をめぐり、両チームが火花をちらした。

    「せめぎ合う」

    「せめぎ合う」は「鬩ぎ合う」とも表記し、「対立して互いに争う」意味です。「せめぐ(鬩ぐ)」の意味は、「互いに憎み合って争う」や「責め苦しめる」。「激しさ」よりも「争い」のニュアンスが強い表現です。「よい心と悪い心がせめぎ合う」のように、内面の葛藤にも使います。

    ・今年の春闘では、労使双方の激しいせめぎ合いとなった。

    「しのぎを削る」の対義語

    「しのぎを削る」の対義語

    「しのぎを削る」の対義語、反対の意味をもつ言葉を紹介します。

    「圧勝」

    「圧勝(あっしょう)」は、「勝負や戦いで他に大きな差をつけて勝つこと、そのような勝ち方」を表します。「しのぎを削る」は実力が伯仲しているもの同士の争いなので、大きな実力差で勝負がついてしまう「圧勝」は反対の意味です。「大勝(たいしょう)」や「楽勝(らくしょう)」、「快勝(かいしょう)」と「完勝(かんしょう)」も「圧勝」同様に実力差が大きい勝負を指すため、「しのぎを削る」の対義語といえます。「圧勝」を使った例文を挙げます。

    ・ボクシングの世界戦は開始1分半でKO、チャンピオンの圧勝だった。

    「完敗」

    「完敗(かんぱい)」は、「徹底的に負ける、圧倒的な実力差で負ける」意味です。「圧勝」同様、実力差が大きくて勝負にならない点が「しのぎを削る」と反対です。「惨敗(ざんぱい)」や「大敗(たいはい)」、「完封(かんぷう)」も「完敗」と似た意味で、「しのぎを削る」の対義語にあたります。「完敗」を使った例文を挙げます。

    ・新商品の発売で大手メーカーからシェア奪取を目論んだが、結果は今期も完敗だった。

    「鎧袖一触」

    「鎧袖一触(がいしゅういっしょく)」は、「圧倒的な強さで、相手をかんたんに打ち負かす」意味の四字熟語です。江戸時代後期に歴史家・頼山陽(らいさんよう)が記した国史『日本外史(にほんがいし)』が出典。『日本外史』は、源氏・平氏から徳川氏までの武家盛衰史です。そのなかに記された、源為朝(みなもとのためとも)の言葉「至如平清盛輩、臣鎧袖一触、皆自倒耳(平清盛など、私の鎧の袖がひとたび触れれば、みな勝手に倒れるでしょう)」がもとになり、「鎧袖一触」というようになりました。「楽勝」や「圧勝」、「瞬殺」といった意味で使い、「しのぎを削る」と反対の意味の四字熟語です。「鎧袖一触」を使った例文を挙げます。

    ・将棋の名人戦は、前評判どおりに名人が鎧袖一触ともいうべき強さを見せた。

    「しのぎを削る」の英語表現

    「しのぎを削る」の英語表現

    「しのぎを削る」の直訳はありません。「激しく争う」意味の英語表現では「have a fierce competition」を使います。「to compete ruthlessly」または「to sharpen swords」も、「激しく争う」意味です。とくに「competition(競争、競争相手)」あるいは「compete(競争する、匹敵する、太刀打ちする)」は、「しのぎを削る」と近い英語表現です。「tough competition」や「compete fiercely」、「spark steeper competition」といった使い方をします。また、スポーツなどの試合において互角の争いを繰り広げることは「square」。権力や人気などを争って張り合う意味で「jostle」を使います。

    まとめ

    「しのぎを削る」は、「力が拮抗しているもの同士が激しく争う」意味の慣用表現です。「凌ぎ」の表記は間違いである点、実力差がある場合は当てはまらない点に要注意。ビジネスシーンでも、激しく競う場面では「しのぎを削る」と使います。ぜひ、意味と使い方をマスターしてくださいね。

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