「篭絡」の意味を正しく理解していますか?類似している言葉もたくさんあるので、間違って覚えてしまう方も多いようです。今回は「篭絡」の正しい意味を解説し、類語表現との違いも解説します。最後には例文も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
「篭絡」の意味と使い方
「篭絡」は、自分の思うままに相手を操る様子を表現しています。よく耳にする言葉ですが、言葉に含まれている背景なども読み取れれば、使用する際にイメージがつきやすくなります。まずは「篭絡」の意味と使い方について深彫りして解説するので、イメージを掴めるようにしてください。
意味は自分の思い通りに操ること
「篭絡」は言葉で相手を言いくるめて、自分の思うように操るという意味を持っています。人を操りコントロールしようとする様子から、悪意の念が読み取れます。また、力ではなく、言葉で相手を言いくるめる様子から、同時に知的な印象を与える言葉でもあります。
参照:Weblio辞書「篭絡」
相手に対してや第三者の目線としても使える言葉
「篭絡」は、「篭絡する」など自分が主語になり、相手に向けて能動的に働きかける表現はもちろん、「篭絡されている」など、第三者目線で言葉巧みに騙されている人の様子を表現することもできます。
「篭絡」の語源・由来
「篭絡」の「篭」は「かご」、「絡」には「しばる」などの意味があります。つまり「篭絡」は、「かご」の中に相手を「しばる」様子から、相手を自分の思い通りに操る言葉として使われてきたそうです。
「篭絡」の読み方と他の漢字表現
ここでは「篭絡」の読み方を紹介し、もう一つの漢字表現を解説します。他の漢字表現も知っておくことで知見が広まるので、セットで把握しましょう。
読み方は「ろうらく」
「篭絡」は「ろうらく」と読みます。「篭」を「ろう」、絡を「らく」とそれぞれ音読みで読ませ、それぞれを組合わせて「篭絡」が完成します。
「籠絡」と表現することもできる
「篭絡」は「籠絡」と別の漢字の表現で表すことも可能です。ここでの「籠」は入れ物の「かご」とし認識されるのが一般的です。そして、両者の意味はほとんど一緒なので、どちらを使って表現しても間違いではありません。ただ、両方の書き方を知っておけば、使用場面や相手によって使い分けができるのでおすすめです。
「篭絡」の類義語・言い換え表現
「篭絡」には複数の類似表現があるので、ここではいくつか事例を紹介します。類似はしているものの、与える印象やニュアンスが異なる場合もあるので、対比しながら覚えるようにするのがおすすめです。
「懐柔」
「懐柔(かいじゅう)」は、うまく話を持ちかけて従わせるという意味があります。「篭絡」と近い言葉ですが、「懐柔」はあくまでも相手を同じ立ち位置で見ており、仲間として自分の考えに賛同してもらえるように働きかける印象があります。なので、相手を丸めこんで利用しようとする「篭絡」とは、意味は似ていてもニュアンスが異なります。
「手なづける」
「手なづける」は、面倒をよく見るようにして引きこむといった意味があるので、「篭絡」の類語表現に当てはまります。ただし、一般的には「ペットや動物などを手なづける」となど、動物の調教表現として扱われることが多いです。
「たぶらかす」
「たぶらかす」には、だまして惑わす、欺くなどの意味があります。悪意を持って相手を騙そうとする様子は、意味もニュアンスも「篭絡」の類語表現として当てはまるでしょう。ちなみに「たぶらかす」は漢字で「誑かす」と書きます。ひらがなで表現する方が一般的ですが、文章でたまに見かけるので、セットで覚えておくといいでしょう。
「手玉に取る」
「手玉にとる」は、もてあそぶように相手を騙すという意味があります。まるで手玉で遊ぶような感覚で相手を騙すなどの使い方があり、相手に対する侮蔑の表現として使われます。
「篭絡」の対義語・反対語
ここでは、「篭絡」の対義語・反対語について解説します。類似表現だけでなく、反対表現も知ることでよりイメージがしやすくなるので、あわせてチェックしましょう。
「威圧」
「威圧」は、力で相手を無理矢理おさえつけることを指します。言葉巧みに知性で相手を丸め込もうとする「篭絡」に対して、「威圧」は物理的な力で押さえつけます。おさえて言うことを聞かせる点では似ていますが、方法が全く異なるので、「威圧」は「篭絡」の反対表現となります。
「排除」
「排除」の意味は、相手を取り込んで利用するのではなく、相手そのものを退けることです。なので相手を利用して自分のリソースにする「篭絡」とは、反対の意味を持った表現になります。
「自己犠牲」
「自己犠牲」は、何かの目的のために自分の時間や労力、身体を捧げて犠牲にすることです。なので、「自己犠牲」は相手ではなく、自らを犠牲にする点で「篭絡」とは反対の意味を持った言葉になります。
「誠心誠意」
「誠心誠意」は、言葉の通り誠実な印象を与えます。なので、相手を言葉巧みに騙そうとする「篭絡」とは反対のニュアンスを持った言葉になります。「誠心誠意」を反対表現とすることで、「篭絡」が持つ悪意や企みの念が読み取れるでしょう。
「篭絡」の英語表現
「篭絡」は英語でもいくつか表現できる言葉があります。それぞれ意味は類似していますが、日本語と同様、単語によってニュアンスが異なるので、対比しながら覚えましょう。
inveigling
『inveigling』は『inveigle』の現在分詞形です。『inveigle』には誘いこむや、だますなどの意味があります。『inveigling』と現在形になることで「篭絡」に直結する意味を持ちます。『inveigle』は、甘い言葉を使って相手を操る、といったニュアンスで用いることが多いようです。
ensnaring
『ensnaring』は『ensnare』の現在分詞形です。『ensnare』にはわなにかけるといった意味があり、『ensnaring』と現在分詞の形になることで、「篭絡」の意味を持つ英単語になります。『He entrapped her.(彼は彼女を陥れた)』など、悪意を持って相手を騙す点が「篭絡」と似通っています。
cajoling
『cajoling』は『cajole』の現在分詞系です。『cajoling』と現在分詞形にすることで、「篭絡」という意味を持ちます。『cajole』は、口がうまく、言葉巧みに相手を操るという意味があり、以下の例文のような使い方をします。『She is good at coaxing him.(彼女は彼を丸め込むのが得意だ)』
「篭絡」を使った例文
最後に「篭絡」を使った例文を紹介します。ここまでの内容を基に、実際にどのようなケースで「篭絡」が使われるのか解説します。まず前提として、「篭絡」は相手にいい印象を与える言葉ではありません。その前提を念頭に置いた上で、どんなニュアンスで使用されるかに注目してください。
彼女は男を「篭絡」するのが得意だ
例文のような男女関係で「篭絡」を使用する場合は、甘い言葉で相手を誘い込むようなニュアンスで使います。「篭絡」は「口説く」よりも悪意の念が強く、恋愛以外の目的があるのでは?と第三者に印象付ける言葉になります。
彼は相手を「篭絡」するスタイルのセールスマンだ
「篭絡」は例文のようにビジネスパーソン使用することもできます。「篭絡」は言葉の裏に悪意を感じさせる言葉ですので、例文の場合だと、自分の営業成績を上げるために相手を言葉巧みに操るセールスマンといったイメージを持たせます。
悪徳業者に「篭絡」される被害者が後を絶たない
この例文では、日常で起こりえるケースで「篭絡」を表現しています。例文のようなケースなら「騙された」や「口車に乗せられた」などが類似した意味でよく使われる言葉ですが、より悪意を象徴したい場合には「篭絡」と使うといいでしょう。
まとめ
「篭絡」は用いられる機会が多い言葉ですが、なんとなく使用している方もいらっしゃるかもしれませんね。相手に不要な誤解を与えないためにも、「篭絡」の持つ意味やニュアンスをしっかりと理解し、然るべきタイミングで「篭絡」を使うようにしましょう。