敷居が高いは誤用が多い?正しい意味や使い方、類語を解説

「敷居が高い」は誤用が多い?正しい意味や使い方、類語を解説
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あなたは「敷居が高い」の本来の意味で使っていますか?もしかすると「高級すぎて入りにくい」の意味で使っていますか?「高級すぎて入りにくい」の意味で使ったら誤用になるのか、それとも誤用にはならないのか、詳しく解説します!

目次

「敷居が高い」の本来の意味と使い方

「敷居が高い」の本来の意味と使い方

誤用が多いとよく言われる「敷居が高い(しきいがたかい)」の本来の意味とは?そもその「敷居」とは何かから解説します!

「敷居が高い」の「敷居」とは?

「敷居が高い」に出てくる「敷居」とは、玄関の引き戸、襖(ふすま)、障子などをスライドさせるために取り付ける、溝やレールがついた横木の建具のことです。「敷居」の対となる、上部に取り付ける横木の建具は「鴨居」と呼ばれます。

襖や障子の敷居は高さが畳や廊下と同じなので高さを感じることはありませんが、昔の家の玄関や外玄関(門)には、少し高くなった敷居がありました。今でも、寺社仏閣の山門には高い敷居が見られます。

「敷居」は踏んではいけない

「敷居」に関するマナーの一つは、「敷居は踏んではいけない」ことです。「敷居」は跨がなければいけません。

寺社仏閣の山門では子どもが跨げないような高い敷居が見られますが、またぎやすいように前後に補助の段差が付けられているのが一般的です。

敷居を踏んではいけないとされるのは、その行為が家を傷める原因になるのはもちろんのこと、神聖な結界と考えられてきたことも理由の一つです。絶縁して自分の家には入れさせないという意味で使われる表現に「二度と家の敷居はまたがせない」があります。

「敷居が高い」の本来の意味

慣用句「敷居が高い」の本来の意味は、「不義理や不面目なことなどがあったため、その人の家に行きにくい」です。「敷居がまたげない」や「敷居が高くてまたげない」と表現されることもあります。

家と外との境界である玄関にあり、またがなければいけない敷居が、高くてまたぎにくく感じるという慣用句です。使い方の一例を挙げると、「仲人をしてもらったのに離婚したので、敷居が高くなってしまった」などです。

参照:Weblio辞書「敷居が高い」

「敷居が高い」は誤用が多い?

「敷居が高い」は誤用が多い?

違う意味でよく使われている慣用句の一つに挙げられる「敷居が高い」。果たしてその実態は?

「高級すぎて入りにくい」意味で使われる「敷居が高い」

「敷居が高い」は、本来の「不義理や不面目なことなどがあったため、その人の家に行きにくい」よりも、「高級すぎて入りにくい」の意味でよく使われています

例えば、「あのレストランは高級すぎて私にはちょっと敷居が高い」などです。自分にとって高級すぎたり上品すぎたり、格式が高すぎて気軽には行けない様を表すために使われています。

最新の調査では完全に逆転

文化庁では、平成7年度から毎年行っている「国語に関する世論調査」において、「敷居が高い」の認識についても調査をしています。

平成20年度の調査で「敷居が高い」がどの意味だと思うかを尋ねた結果は、本来の意味の「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」が42.1%、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」が45.6%、その両方と答えた人が10.1%という結果でした。

年代別で見ると、30代以下では「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」が7割を超えるほどで、逆に50代以上では、本来の意味の「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」が多いという結果になっていました。

平成20年度の調査ではまだ半々といえるレベルでしたが、令和元年度に行った最新の調査では完全に逆転しています

令和元年度調査の結果は、本来の意味の「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」が29.0%、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」が56.4%、その両方と答えた人が12.2%でした。

年代別では、本来の意味が高かったのは70代のみで、60代以下は全て新しい使い方が多いという結果です。

新しい意味の派生で「敷居が低い」という新表現も

文化庁では、「本来の『不義理をして』の文脈で使われることが減り、『行きにくい』という意味だけが残った」と見ています。

その逆で「行きやすさ」を意味する言葉として「敷居が低い」という新表現も生まれています。「行きやすくする」意味では、「敷居を低くする」「敷居を下げる」も使われます。

使い方の一例を挙げると「伝統芸能は敷居が高いと敬遠されがちだが、新たなファンを増やすために敷居を低くしていきたい」です。

新しい意味が広まったのはいつ頃から?

新しい意味が広まったのはいつ頃から?

戦前に書かれた文学において「敷居が高い」は本来の意味で使われていて、「高級すぎて入りにくい」の意味で使われ出したのは戦後と見られています。

新聞で使われている事例では、1964年に大河内一男東大学長の「都の窓口は敷居が高すぎる」との言葉が最も古いと見られます

1970年代には新しい意味の反対語「敷居が低い」「敷居を低く」も見られ始めて、既に新しい意味が広がっていたことがわかります。

もはや誤用とは言えない

もはや誤用とは言えない

もはや誤用と言えなくなった理由は、世間一般での広がりを受けて、国語辞典でも誤りとしなくなったことが挙げられます

国語辞典では2つの意味が併記されるように

「敷居が高い」を「高級すぎて入りにくい」の意味で使うことが「誤用」とされた理由の一つに、国語辞典において「誤り」と記載されていたことが挙げられます。しかしながら、近年はそれが変化して「誤り」と記載せず、2つ目の意味として記載する国語辞典が増えています

三省堂国語辞典では第6版までは「(あやまって)」と書いた上で新しい意味を記載していましたが、2014年出版の第7版では「(あやまって)」を削除し、さらに反対語として「敷居が低い」も記載しています。2017年12月に出版された広辞苑第7版では、本来の意味の後に「また」と繋いで新しい意味が新たに追加されました。2020年12月に出版の明鏡国語辞典第3版でも、これまでの「誤り」との記述を削除して、新しい意味を2つ目で記載しています。

以上のように、最近出版された国語辞典では、続々と新しい意味を誤りとはしなくなっていて、市民権を得つつある状況です。

文化庁は「誤用」とせず

平成7年度から「国語に関する世論調査」を行って、誤用が多いとされる言葉について調査を行っている文化庁は、そもそも新しい意味で使われることを「誤用」と決めつけてはいません。日本語は揺れ・変化するものであり、「正解は一つとは限らない」との立場です。

「敷居が高い」の場合も、本来の意味が置き換わってなくなったのではなく、新しい意味が追加されたに過ぎません

「敷居が高い」の言い換えは?

「敷居が高い」の言い換えは?

2つの意味が混在している「敷居が高い」を、間違われないようにうまく言い換えるにはどのような言葉があるのでしょうか

本来の「敷居が高い」の言い換え

本来の「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」の意味での「敷居が高い」と全く同義の言葉は「門を塞ぐ(かどをふさぐ)」です。敷居も門も家の入り口・玄関であり、不義理をしてその家に入りにくい表現として使われますが、「敷居が高い」とくらべ「門を塞ぐ」はあまり知られていません。

恥ずかしくてその人にしっかりと対面できないという意味では、「合わせる顔がない」「合わせる顔がなくて家には行けない」が言い換えに使えます。「合わせる顔がない」と同義の「面目がない」も同様に言い換えに使えます。

新しい「敷居が高い」の言い換え

新しい「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」意味での「敷居が高い」を言い換える言葉としては、「ハードルが高い」や「レベルが高い」があります

ただし「ハードルが高い」は、「(仕事などで)乗り越えなくてはならない障害が大きい」など、乗り越えるべき対象に使われることのある言葉です。

その他には、「(高級過ぎて)ためらう」「気後れする」「二の足を踏む」という言い方もできます。

「敷居が高い」を英語で表現すると

「敷居が高い」を英語で表現すると

本来の意味と新しい意味の「敷居が高い」、それぞれを英語ではどう表現すればいいのでしょうか

本来の「敷居が高い」を英語で表現すると

本来の意味の「敷居が高い」にぴったりはまる英語の慣用句はありません。

日本語の言い換えに使われる「合わせる顔がない」を英語で言うと「I can’t face ~」になります。「親に合わせる顔がない」ならば、「I can’t face my parents.」です。「face」は名詞の「顔」ではなく、動詞で「直面する」「直視する」「立ち向かう」の意味です。

恥ずかしさから合わせる顔がない場合は「I’m ashamed to show my face to ~」も使われます。

新しい「敷居が高い」を英語で表現すると

新しい「敷居が高い」を英語にする場合は、「気後れする」の意味の「feel self-conscious」が使えます。

「高いレストランは敷居が高い」なら「I feel self-conscious about going into expensive restaurants.」です

「ためらう」「二の足を踏む」の意味の「hesitate to」を使うなら、「I’m hesitant to go to expensive restaurants.」となります。

単純に「~しにくい(難しい)」との表現ならば、「It’s hard to do」です。

まとめ

誤用が多いと言われてきた「敷居が高い」は、今や辞書でも誤用としてではなく正式な意味の一つとして掲載されるほど、「高級すぎて入りにくい」という新しい意味が広がっています。私たちは、日本語が変化する歴史的な場に立ち会っているのかもしれません!

対象や前後の文脈で2つの意味のどちらかは判別しやすいですが、誤解を避けたい場合は言い換えるなどしてくださいね。

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