「踏襲」の意味と使い方とは?類語・対義語・英語表現も例文解説

踏襲

「踏襲する」や「前例踏襲主義」などと使う、「踏襲」を紹介します。使う場面や含まれるニュアンスなど、「踏襲」を使うときに押さえておきたい知識がわかりますよ。言い回しや例文を確認して、「踏襲」をマスターしてください。

目次

「踏襲」の読み方

「踏襲」の読み方

「踏襲」の読み方を説明し、間違いやすい読み方を挙げます。

「とうしゅう」

「踏襲」の読み方は「とうしゅう」です。

間違いやすい読み方「ふしゅう」

「踏襲」は「ふしゅう」や「しゅうとう」、「ふんしゅう」などと読み間違いが多い言葉です。いずれも間違いなので、注意が必要です。

「踏襲」の意味とは

「踏襲」の意味とは

「踏襲」の意味、使われている漢字それぞれの意味を解説します。

意味

「前人のやり方、考え方をそのまま受け継ぐこと」が、「踏襲」の意味です。「もとのまま受け継ぐ」または「前人のやり方や考え方をそのまま受け継ぎ、自分のものとすること」も、「踏襲」の意味に含まれます。ビジネスシーンでは「業務の進め方」や「運営の方針」、または「企画などの骨子、素案」などが受け継ぐものの対象です。

漢字「踏」の意味

漢字「踏」は音読みで「トウ」、訓読みで「ふ(む)」または「ふ(まえる)」。「ふむ」や「歩く」、「ふまえる」などを表す漢字です。「踏襲」では、「ふまえる」意味で「踏」が使われています。「踏」を使った言葉には、「未踏(みとう)」や「雑踏(ざっとう)」、「高踏(こうとう)」などがあります。

漢字「襲」の意味

漢字「襲」は音読みで「シュウ」です。訓読みでは「おそ(う)」や「つ(ぐ)」、「かさ(ねる)」または「かさね」。「おそいかかる」や「引き継ぐ、受け継ぐ」、「かさねて着る」あるいは「重ね着した着物」を表す漢字です。「踏襲」では、「引き継ぐ」や「受け継ぐ」意味で「襲」が使われています。「世襲(せしゅう)」や「襲名(しゅうめい)」の「襲」も「踏襲」と同じく、「受け継ぐ」を表しています。

「踏襲」の言い回し・使い方

「踏襲」の言い回し・使い方

よく使われる「踏襲」の言い回しを紹介します。どのような意味とニュアンスで使われるのかがわかります。

「踏襲する」

「踏襲する」は、もっともよく使われる言い回しです。「前人のやりかたを受け継ぐ」意味を表します。「昨年の企画を踏襲する」や「我が社の慣例を踏襲して」などの使い方です。

「踏襲しつつ」または「踏襲しながら」

「踏襲しつつ」あるいは「踏襲しながら」という場合には、「前人のやり方を受け継ぎながらも、多少の変化を取り入れる」ニュアンスが含まれます。一新するのではなく、ある程度は前のものも引き継ぐ点がポイントです。ビジネスシーンでは、角を立てないように新しい方針ややり方を取り入れるときに便利な言い回しです。「今までのやり方や前任者の方針は全否定せず、尊重しつつも」と配慮しながら、話を進められます。

四字熟語「前例踏襲」

「踏襲」を含む四字熟語「前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)」の意味は、「前例にならうこと」または「先例をそのまま引き継ぐこと」です。「とりあえず、今回は前例踏襲でいきましょう」などと使います。

「踏襲」のニュアンス

「踏襲」のニュアンス

「踏襲」は、いいニュアンスでも悪いニュアンスでも使います。それぞれ、どのような場合が当てはまるのかを説明します。

いいニュアンスで使う場合

優れた伝統や歴史、前人の実績や考え方を守り、尊重するニュアンスで「踏襲」を使います。ビジネスシーンでは、担当や役職が交代したときに「前任者のよいやり方はそのまま残しましょう」という場面での「踏襲」は、よい意味合いです。

悪いニュアンスで使う場合

変化を嫌い、新しいものを取り入れることを面倒がるようなニュアンスで「踏襲」を使います。ビジネスシーンでは、担当者や役職が交代したときに「急にやり方を変えて波風がたつと面倒だから、そのままのやり方でいいでしょう」という場面での「踏襲」は、悪い意味合いです。

「前例踏襲主義」は悪いニュアンス

「前例踏襲主義(ぜんれいとうしゅうしゅぎ)」の意味は、「仕事や学問において、前例を踏襲することが第一に優先されること」です。「前例以外のやり方や方針をすべて排除する」や、「前例があることを理由に、問題の解決や改善を先送りする姿勢」も「前例踏襲」。保守的で後ろ向きな態度、事なかれ主義の風潮を揶揄するような、ネガティブなニュアンスで使います。「前例踏襲型(ぜんれいとうしゅうがた)」ともいいます。

「踏襲」を使った例文

「踏襲」を使った例文

「踏襲」を使った例文を挙げます。

・準備期間が少ないこともあって、今年のイベントは昨年のプログラムを踏襲せざるを得なかった。
・これまでの方針は踏襲しつつ、新戦略も取り入れていかないと、我が社は時代に取り残されてしまう。
・前例踏襲主義の部長は、とにかく周りともめたくないんだろう。
・伝統的な模様と技法を踏襲しながらも、現代的な色彩で織りあげた布が見事だった。
・会社の規模は小さくなっても、前例踏襲ばかりの職場より自分の裁量ではたらける職場がいいです。

「踏襲」の類義語と言い換え

「踏襲」の類義語と言い換え

「踏襲」の類語、言い換えられる表現を挙げます。

「継承」

「継承(けいしょう)」の意味は、「前人の仕事、身分、財産などを受け継ぐこと」です。「前人のものを受け継ぐ」部分は「踏襲」と共通しています。相違点は受け継ぐ内容です。「踏襲」が「前人の方針、やり方」を受け継ぐのに対し、「継承」は「役職や財産」を受け継ぎます。内面的なものを受け継ぐのが「踏襲」、外面的なものや役割などを受け継ぐのが「継承」です。「継承者」のかたちでよく使われ、「伝統芸能の継承者」とはいいますが、「伝統芸能の踏襲者」とはいいません。「継承」は「相続(そうぞく)」とも言い換えられます。「継承」を使った例文を挙げます。

・私の家には、親の財産と地位を継承するのは長男だという暗黙の了解があった。

「受け継ぐ」

「受け継ぐ(うけつぐ)」は、「前人が残した仕事や役割を引き受けておこなう」あるいは「気質や意思を引き継ぐ」意味です。ほぼ「踏襲」と同じ意味ですが、引き継ぐものに気質や性質が含まれている点が異なります。「踏襲」では自分の意思で前人の考え方などを引継ぎますが、「受け継ぐ」には遺伝など自分の意思とは無関係の場合も含まれるからです。「受け継ぐ」を使った例文を挙げます。

・父の気質を受け継いだのか、私には大胆なところがある。

「倣う」

「倣う(ならう)」の意味は、「既存のやり方や例をまね、そのとおりにすること」または「手本としてまねをする」です。「倣う」は、あくまでもまねをすることにとどまり、受け継ぐ意味は含みません。「倣う」を使った例文を挙げます。

・ゴッホの画風に倣い、鮮やかな色彩の油絵を描いてみた。

「踏襲」の対義語

「踏襲」の対義語

「踏襲」の対義語について解説します。

「刷新」

「刷新(さっしん)」の意味は、「悪い部分を取り除き、まったく新しいものにすること」です。「新しいものにする」点が、「踏襲」の「前人の方針などを受け継ぐ」意味と反対です。「前例踏襲主義」のような「問題があっても改善しようとしない」ニュアンスとも、「刷新」の意味「悪い部分を取り除く」が相反しています。「人事を刷新する」のように使います。

「革新」

「革新(かくしん)」は、「いままでの制度や組織、方針などを改めて新しくすること」を表します。とくに「よくする方向で新しくする」や「改善する」のニュアンスが強く、政治の場面でも使われます。「革新的な政治」や「技術革新」などといいます。

「踏襲」の英語表現

「踏襲」の英語表現

「follow」が、「踏襲」の英語表現です。「follow」は「ついていく」や「従う」を表します。たとえば「follow my predecessor’s way」で「前任者のやり方を踏襲する」です。「follow」は「stick to」でも言い換えられ、「stick to an old tradition」で「古い伝統を踏襲する」を表します。「引き継ぐ」のニュアンスでは「take over」や「hand over」も使います。

まとめ

「踏襲」は「前人のやり方、方針を受け継ぐ」意味です。「伝統を尊重する」などいいニュアンス、「保守的で事なかれ主義」など悪いニュアンスのどちらも含みます。「踏襲」を使うときには、どんなニュアンスが含まれているかに注意が必要ですね。

踏襲

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