「如才ない」の正しい使い方を知っていますか?「にょさいない」など間違った読み方や使い方をされがちな言葉です。この記事では「如才ない」の英語・類語・反対語・語源などを徹底解説します。ひとりの大人として確実に覚えておきましょう。
「如才ない」の読み方
「如才ない」の正しい読み方を知っていますか?実は「如才ない」は間違って読まれていることが多い言葉です。ここでは「如才ない」の正しい読み方について紹介。「如才ない」の別表記についても併せて紹介します。「如才ない」の読み方を間違っていると、社会人としては非常に恥ずかしいことになりますので、気をつけて覚えておきましょう。
「如才ない」は「にょさいない」ではない
「如才ない」は「じょさいない」と読みます。「如」が「如実」などにおいて「にょ」と読むため、「如才ない」を「にょさいない」と読むひとがいますが間違いです。漢字の読み方としては間違っていないため、間違ったまま読んでいるとそのままになりがち。もし「にょさいない」と覚えてしまっていたら、すぐに覚え直しましょう。
「如才ない」は「如才無い」と表記されることも
「如才ない」は「如才無い」と表記されることがあります。つまり「ない」は打ち消しの「ない」なのです。しかしながら、現代においては「如才ない」と表記するのが一般的です。相手のわかりやすく表現することはコミュニケーションのマナーです。特別な指定がない限りは「如才無い」ではなく、「如才ない」を使うようにしましょう。
「如才ない」の意味とは?
「如才ない」は「話などがうまくて気が利くこと」を指しています。「如才」が「気を使わないことによって手落ちがあること」や「手ぬかり」という意味。その「如才」に打ち消しの意味をもつ「ない」がつくことによって、「気が利くこと」を表しているのです。
「如才ない」の由来・語源
ここでは「如才ない」の由来・語源について解説します。「如才ない」は実は『論語』の一説を由来としている言葉。そして、そのころに使われていた意味から変わってきた言葉です。「如才ない」の由来を知っていることで、会話中に豆知識として披露できるかもしれません。社会人としては覚えておいて損はない知識ですよ。
「如才ない」の語源は「論語」から
「如才ない」の由来・語源は『論語』です。『論語』の一説である「祭如在、祭神如神在」が「如才」の由来になっています。「祭如在、祭神如神在」が「先祖を祭るときには先祖が目の前にいるかのように行い、神を祭るときには神が目の前にいるかのように行う」という意味をもっていることから、「如才」が生まれました。そこから「如才」は時代とともに意味を変え、現代では「手落ちがあること」「手ぬかり」という意味になったのです。
「如才ない」は「如在ない」と書かれていた
「如才ない」は「如在ない」と書かれていました。そして、本来の書き方は「如在ない」なのです。「さい」は「在」の漢音。しかしながら「さい」として一般的に知られていたのが「才」であったため誤って書かれることが多くなりました。そしていつしか「如才ない」が本来の書き方であるかのようにされたのです。
「如才ない」の類義語・言い換え
ここでは「如才ない」の類義語・言い換えについて解説します。「如才ない」はひとによっては意味を知らないかもしれない言葉。コミュニケーションのなかで相手にわからない単語を使うのはマナー違反です。相手に伝わりやすい言葉で会話をするためにも、「如才ない」の類義語・言い換えは覚えておきましょう。
「如才ない」の類義語1「抜かりない」
「如才ない」の類義語1つ目は「抜かりない」です。「抜かりない」は「油断や怠慢などを原因とするミスがないこと」を指しています。一般的には「抜かりなく〇〇する」の形で使われることが多い表現です。
彼は細かい作業を抜かりなく丁寧にこなす。
「如才ない」の類義語2「そつがない」
「如才ない」の類義語2つ目は「そつがない」です。「不足や欠点がないこと」「無駄がないこと」を意味する言葉。指摘する場所がなく、完璧な様子を指していいます。
彼はなにをさせてもそつがない万能タイプだ。
「如才ない」の類義語3「慇懃」
「如才ない」の類義語3つ目は「慇懃(いんぎん)」です。「慇懃(いんぎん)」は「真心がこもっていて礼儀正しいこと」「非常に親しく交わること」を意味している言葉。基本的には誰かを褒めるときに使う言葉です。
彼は慇懃(いんぎん)な性格なので、どこへ出しても恥ずかしくない。
「如才ない」の類義語4「温雅」
「如才ない」の類義語4つ目は「温雅(おんが)」です。「温雅(おんが)」は「穏やかで上品なこと」「しとやかなこと」を指している言葉。女性のすばらしい様子を表現するときに使われることが多いです。
彼女は温雅(おんが)な人柄で、誰からも好かれる。
「如才ない」の類義語5「機転がきく」
「如才ない」の類義語5つ目は「機転がきく」です。「機転」とは「その場に応じたすばやい心の働かせ方」のことを指しています。つまり「機転がきく」とは「その場に応じたすばやい心の働かせ方ができる」「気がきく」という意味になるのです。
彼の機転のきいた言動によって張り詰めていた空気がほぐれた。
「如才ない」の対義語・反対語
ここでは「如才ない」の対義語・反対語を紹介します。「如才ない」は誰かを褒める言葉として使えますが、誰かを指摘するときには使えません。誰かを指摘するときには「如才ない」の対義語・反対語を使う必要があるのです。ここで「如才ない」の対義語・反対語をしっかりと覚えておきましょう。
「如才ない」の対義語1「配慮がない」
「如才ない」の対義語1つ目は「配慮がない」です。「配慮」とは「事情をふまえて、気遣いのこもった対処をすること」です。つまり「配慮がない」とは「気を配らない」「ひとのことを考えていない」という意味になるのです。「無配慮」と表現することもあります。
彼は高齢者に対する配慮がない。
「如才ない」の対義語2「手落ち」
「如才ない」の対義語2つ目は「配慮がない」です。「手落ち」とは「手続きや仕事で不足や欠点があること」という意味。「不足や欠点があった箇所」のことも指します。また「手ぬかり」という場合もあるので、覚えておきましょう。
随分と手落ちな仕事をしてくれるじゃないか。
「如才ない」の対義語3「懈怠」
「如才ない」の対義語3つ目は「懈怠(かいたい)」です。「懈怠(かいたい)」は法律用語として「ある義務を怠ること」などを表したり、仏教用語として「善行を収めるのに積極的ではない心の様子」を表したりします。一般的には「怠けること」や「怠ること」を指している言葉です。
懈怠(かいたい)の心があるので、なかなか動けないでいる。
「如才ない」の使い方と例文集
「如才ない」の意味や由来を知っていても、使い方がわからなくては意味がありません。ここでは「如才ない」の使い方と例文を紹介します。実際にどのように「如才ない」が使われているのかをしっかり覚えておきましょう。
「如才ない」の使い方
「如才ない」は誰か人物に対して使うことによって、褒め言葉として使われます。なぜなら「如才ない」には「気が利くこと」「丁寧なこと」「愛想がいいこと」という意味が含まれているから。たとえば、非常に丁寧にしてくださって受付のひとに対して「あなたは如才ない方ですね」という使い方をするのです。また、「如才なく」「如才ないと思いますが」という使い方もしますので、頭に入れておきましょう。
「如才ない」の例文
「如才ない」を使った例文は以下のとおりです。
- 彼はどんな状況でも如才なく振る舞えるひとだ。
- 嫌いなひととも如才なく話すのは非常に難しい。
- 彼女の如才ない人柄は誰もが賞賛するものだ。
- 特別な案件のため、如才ないメンバーを召集しました。
- 如才ないと思いますが、最後にもう一度確認お願いします。
「如才ない」を英語でいうと?
「如才ない」を英語で表現すると「affable」や「smart」などとなります。「affable」は「愛想がいい」という意味であり、「smart」は「器用だ」という意味です。具体的な使い方は以下のとおり。
- She is very affable and pleasant..(彼女は非常に如才なくて心地いい。)
- He is very smart and is someone we want in our company.(彼は如才なく、うちの会社に欲しい人材だ。)
まとめ
「如才ない」は「話がうまく気が利くこと」「愛想がいいこと」などを表す言葉です。誰かに対して使うことで、その人を褒める意味になります。「如才ない」だけではなく、「如才なく」や「如才ないと思いますが」という使い方もしますので、頭に入れておきましょう。