「いみじくも」の正しい使い方を知っていますか?日常的にはあまり使わない言葉ですので、間違って使っているひとも多いです。この記事では「いみじくも」について解説します。ビジネスシーンで耳にすることもあるので、しっかり覚えておきましょう。
「いみじくも」の意味とは?
「いみじくも」は「非常にうまく」や「適切に」という意味です。「偶然にも」や「恐れ多くも」と間違って使っているひともいるので、意味を勘違いしないように注意しましょう。
「いみじくも」の由来・語源
「いみじくも」の由来・語源は古語にあります。古語にある動詞の「忌む」が「いみじくも」の語源であるとされているのです。「いみじくも」はそもそも「いみじ」+「も」で構成されています。そこで「忌む」が名詞である「忌み」に変わり、次に形容詞である「忌みじ」に変わっていったのです。
「いみじくも」の漢字表記
「いみじくも」の漢字での書き方を知っていますか?実は「いみじくも」は複数の漢字での書き方がある言葉。ここでは「いみじくも」の漢字での書き方を解説します。よく「いみじくも」の漢字を間違ったまま使っているひともいるので、注意が必要です。
「いみじくも」は「忌じくも」「微妙くも」と書く
「いみじくも」は漢字で「忌じくも」と書きます。「微妙くも」と書くこともありますが、これは当て字であり、あまり使われていません。現代において「微妙」は「びみょう」としか読まないのです。
「いみじくも」を「意味軸も」と書くのは間違い
「いみじくも」をパソコンやスマホで変換しようとすると「意味軸も」が出てきますが、これは間違いです。「意味軸も」という言葉は存在しないのです。間違って変換したままメールなどで送ってしまうと、非常に恥ずかしい間違いになってしまいますので気をつけておきましょう。
「いみじくも」は漢字で表記しない
「いみじくも」には漢字表記があるのですが、基本的には漢字で表記せずにひらがなで表記します。なぜなら、「いみじくも」自体はポジティブな意味であるにもかかわらず、漢字で表記するとネガティブな印象を与えかねないから。コミュニケーション上で相手が混乱してしまう可能性があるため、なにか特別な事情がない限りは「いみじくも」とひらがなで表記するようにしましょう。
「いみじくも」の類義語・言い換え
ここでは「いみじくも」の類義語・言い換えを紹介します。「いみじくも」は日常的に使う言葉ではありません。よって、なかには意味を知らないひとや勘違いしているひともいるのです。そんなひとと話すときには「いみじくも」を適切に言い換える必要があります。「いみじくも」の類義語・言い換えを覚えて、そのようなケースにも対応できるようになりましょう。
「いみじくも」の類義語1「巧みに」
「いみじくも」の類義語1つ目は「巧みに」です。「巧み」とは「うまく」「精緻に」という意味をもつ言葉。「上手」と比べると「ものごとの手際がいい」というニュアンスが「巧み」には含まれています。
たくさんのお客さんが来店したが、彼は巧みにそのお客さんたちをさばいてみせた。
「いみじくも」の類義語2「上手に」
「いみじくも」の類義語2つ目は「上手に」です。「上手」は「じょうず」と読むことで「ものごとのやり方がすばらしいこと」を指しています。英語における「well」にあたる意味です。
彼は聞き上手だから、悩んだらすぐに彼に頼ってしまう。
「いみじくも」の類義語3「見事に」
「いみじくも」の類義語3つ目は「見事に」です。「見事」は「美事」とも書き、「すばらしいさま」「あざやかなさま」を表現する言葉。また、反語を用いることで「完全であるさま」「すっかり」という意味を表現することもあります。
彼は上司から押し付けられた無理難題を見事にこなした。
「いみじくも」の類義語4「立派に」
「いみじくも」の類義語4つ目は「立派に」です。「立派」とは「威厳があって美しいさま」「不足や欠点がなくて十分に整っているさま」を表します。「立派に〇〇する」以外にも、「立派な〇〇」などの使い方もあります。
とても大切に育てたとはお世辞にも言い難いが、彼は立派に育ってくれた。
「いみじくも」の類義語5「首尾よく」
「いみじくも」の類義語5つ目は「首尾よく」です。「首尾」とは「ものごとのはじめと終わり」「ものごとの成り行きや結果」のことを指している言葉。「首尾よく」とすることによって、「いい結果である」という意味になるのです。
今回のプロジェクトは首尾よく進行しているようで満足だ。
「いみじくも」の対義語
「いみじくも」に対義語は存在しません。しかしながら、「いみじくも」の意味を打ち消す言葉として「不適切に」があります。「不適切に」は「目的や状況にそぐわない」という意味。「非常にうまく」や「適切な」という意味をもつ「いみじくも」の意味を打ち消す言葉です。
「いみじくも」と間違いやすい言葉
ここでは「いみじくも」と間違いやすい言葉について解説します。「いみじくも」は広く正しい意味が浸透していないため、まったく関係のない言葉と同じ意味だと勘違いされがち。社会人になって間違った言葉を使っていると恥ずかしいですので、確実に違いは押さえておきましょう。
「いみじくも」と間違いやすい言葉1「偶然にも」
「いみじくも」と間違いやすい言葉1つ目は「偶然にも」です。「偶然にも」は「偶然」+「にも」で構成されている言葉。「偶然」は「なんの因果関係もなく予想できないものごとが起こること」を指していて、「にも」はその意味を強調する役割をもっています。つまり「偶然にも」は「思いがけず」という意味。「いみじくも」とはまったく違う意味をもっている言葉です。
「いみじくも」と間違いやすい言葉2「恐れ多くも」
「いみじくも」と間違いやすい言葉2つ目は「恐れ多くも」です。「恐れ多い」とは「もったいない」「申し訳ない」という意味をもつ言葉。自分が尊敬しているひとに対して使ったり、自分に対して使ったりします。「非常にいい」という意味をもっている「いみじくも」とは指している意味がまったく違います。
「いみじくも」と間違いやすい言葉3「奇しくも」
「いみじくも」と間違いやすい言葉3つ目は「奇しくも」です。「奇しくも」は「きしくも」とよく読み方を間違えられる言葉ですが、正しい読み方は「くしくも」です。意味は「思いがけず」「不思議なことに」というもの。また「いみじくも」とはまったく違う言葉です。
「いみじくも」の使い方と例文集
「いみじくも」の意味を知っていても使い方がわからなくては意味がありません。ここでは「いみじくも」の使い方、使うときの注意点、例文について解説します。「いみじくも」はあまり頻繁に使わない言葉であるため、使い方がわからなくなりがちな言葉。しっかりと使い方をここでマスターしておきましょう。
「いみじくも」の使い方
「いみじくも」はことわざや慣用句を引用したり、上司などが的確な指摘をしたりしたときに使います。たとえば「部長はいみじくも私のミスを指摘してくれた」というように使います。「非常にうまい」「適切だ」と感じたときには「いみじくも」を使ってみましょう。
「いみじくも」を使用するときの注意点
「いみじくも」を使うときには「相手がこの言葉を知らない可能性がある」ことに注意しましょう。「いみじくも」は日常生活でたくさん使うような言葉ではないため、相手が「いみじくも」の意味を知らない可能性があります。コミュニケーションにおいて相手の知らない言葉を使うのはNG。「いみじくも」という意味を表現したい場合には適切な言い換えなどを使うようにしましょう。
「いみじくも」の例文
「いみじくも」を使った例文は以下のとおり。
- あなたの発言はまさに現在の2社の関係性をいみじくも表現している。
- 「失敗は成功のもと」とはいみじくも言い得たものだ。
- いみじくも上司が指摘したとおりでございます。
「いみじくも」の古語表現
「いみじくも」を古語で表現したいときには「いみじ」を使いましょう。しかしながら、古語の「いみじ」には「すばらしい」という意味以外にも「なみなみではない」「恐ろしい」という意味がありますので、使うときには注意が必要です。
「いみじくも」を英語でいうと?
「いみじくも」を英語で表現すると「admirably」や「aptly」となります。「admirably」は「見事に」という意味をもち、「aptly」は「適切に」という意味をもっています。
- He admirably pointed out my mistake.(彼はいみじくも私のミスを指摘した。)
- He aptly pointed out my mistake.(彼はいみじくも私のミスを指摘した。)
まとめ
「いみじくも」は「非常にうまく」「適切に」という意味をもつ言葉。しかしながら、「偶然にも」「恐れ多くも」などと似たような意味であると誤解されがちです。間違った使い方をしているひともなかにはいるようですので、間違った使い方のまま覚えてしまわないように気をつけましょう。