実は「喝を入れる」は「活を入れる」の誤用で、「活を入れる」は「元気付けること」「活力を与えること」という意味です。 この記事では「喝を入れる」の使い方や「活を入れる」との違いなどを解説します。書き言葉として使うときには注意が必要ですので、しっかり覚えておきましょう。
「喝を入れる」の読み方
「喝を入れる」は「かつをいれる」と読みます。「喝」を「かつ」と読むことを知っていれば確実に読める言葉です。似ている漢字として「曷」や「葛」などがありますので、間違わないように注意が必要です。
「喝を入れる」の意味とは?
「喝を入れる」の意味を知っていますか?実は「喝を入れる」を入れるは存在しない言葉なのです。
間違って使ったままにしていると非常に恥ずかしいもの。社会人として学がないという印象をもたれてしまうのは致命的ですので、しっかりと覚えておくようにしましょう。
「喝を入れる」は「活を入れる」の誤用
実は「喝を入れる」は存在しない言葉だと知っていましたか?「喝を入れる」は「活を入れる」の誤用・誤変換なのです。「喝」が「大声で叱り飛ばすこと」という意味をもっているため、「叱りつけて気を引き締める」という意味があると思われています。多くのひとが間違って使っている言葉ですので、使わないように気をつけましょう。
「活を入れる」は「元気を与える」の意味で使われる
では、「喝を入れる」の誤用のもととなった「活を入れる」はどのような意味なのでしょうか?「活を入れる」は「元気付けること」「活力を与えること」という意味です。これは「活」に「生きる」「生き生きとする」という意味があるから。「活を入れる」は「元気付ける」という意味なのです。
「喝(活)を入れる」の類義語・言い換え
前述のとおり、「喝を入れる」は存在しない言葉であり、間違った表現でした。それでも今まで使っていた意味として「喝を入れる」を使いたいですよね。そんなときに「喝(活)を入れる」を類義語・言い換えが使えるのです。社会人としてあるまじき間違いは避け、正しい言い方に言い直すようにしましょう。
「喝(活)を入れる」の類義語1「気合を入れる」
「喝(活)を入れる」の類義語1つ目は「気合を入れる」です。「気合い」とは「精神を集中させてものごとに取り組むときの気持ちの勢い」のことを指しています。よって、「気合いを入れる」とすることによって、「気持ちの勢いをつける」という意味になるのです。
自分で自分を叱咤して、気合いを入れた。
「喝(活)を入れる」の類義語2「ムチを入れる」
「喝(活)を入れる」の類義語2つ目は「ムチを入れる」です。「ムチ」は漢字で「鞭」と書き、道具自体のことを指す以外にも「ひとを励ましたり叱ったりするための行為や言葉」のことを指します。よって、「ムチを入れる」とは「励ましたり叱ったりするための行為や言動をする」という意味になるのです。
彼にムチを入れたら、見違えるほどよく働くようになった。
「喝(活)を入れる」の類義語3「刺激を与える」
「喝(活)を入れる」の類義語3つ目は「刺激を与える」です。「刺激」とは「ものごとの動きを活発にさせるために、なんらかを外から作用すること」を指しています。これは目的にかかわらず、使用できます。
彼女の行動に刺激を与えられて、まだまだ頑張らなくてはならないと思った。
「喝(活)を入れる」の類義語4「元気づける」
「喝(活)を入れる」の類義語4つ目は「元気づける」です。「元気づける」とは「慰めたり励ましたりして気力をふるい立たせること」を指している言葉。「喝」ではなくて「活」を入れるものです。
彼に元気付けてもらったから、私は今こうしていられるんだ。
「喝(活)を入れる」の類義語5「奮起させる」
「喝(活)を入れる」の類義語5つ目は「奮起させる」です。「奮起」とは「勇気や元気がふるいたつこと」を指している言葉。それに「させる」がつくことによって、「勇気や元気を奮い立たせる」という意味になるのです。
彼の言動に奮起させられた。
「喝(活)を入れる」の対義語
ここでは「喝(活)を入れる」の対義語について解説します。「喝を入れる」の誤用のもととなった「活を入れる」は「元気付ける」という意味をもつ言葉。よって、対義語は「元気をなくさせる」「活力を失くさせる」という意味につながる言葉です。「喝(活)を入れる」と対義語を一緒に覚えておくと非常に便利です。せっかくですので覚えておきましょう。
「喝(活)を入れる」の対義語1「ゆるむ」
「喝(活)を入れる」の対義語1つ目は「ゆるむ」です。「ゆるむ」は漢字で「緩む」「弛む」と書き、「厳しくあった状況がゆるやかになる」ことを意味しています。具体的には「ねじ」「ひも」「表情」などによく使われる言葉です。
この失敗は気がゆるんでしまったことが原因だ。
「喝(活)を入れる」の対義語2「ほどける」
「喝(活)を入れる」の対義語2つ目は「ほどける」です。「ほどける」は漢字で「解ける」と書きます。「気持ちが和らぐ」という意味をもっており、ピンと張り詰めている状態である「活を入れる」とは真逆の意味です。
緊張がほどけることによって、自然と笑顔になった。
「喝(活)を入れる」の対義語3「よどむ」
「喝(活)を入れる」の対義語3つ目は「よどむ」です。「よどむ」は漢字で「淀む」と書き、「底に沈んで溜まる」「ものごとが止まって動かない」ことを指しています。勢いが失われていることによって底に沈んでしまうという考え方から、対義語として使われています。
このよどんだ空気を一新させるためには機転のきいた一言が必要だ。
「喝を入れる」と同じ漢字を使う四字熟語
「喝を入れる」と同じ漢字を使っている四字熟語は以下のとおり。どれも意味には「大きな声で叱る」という意味ですが、「拍手喝采」だけはその意味を含んでいません。「拍手喝采」は「手を叩いて盛んに褒めること」という意味です。
- 大喝一番
- 大喝一声
- 拍手喝采
「喝を入れる」の使い方と例文集
「喝を入れる」は存在しない言葉です。しかしながら、多くのひとが日常生活やビジネスシーンにおいてその間違いに気付かないまま使っています。ここではそんな「喝を入れる」がどのように使われているのか、どんなふうに使われているのかを解説します。紹介はしますが、使わないようにするのが吉。どうしても「喝を入れる」が使いたいときには適切な言い方に言い換えて使いましょう。
「喝を入れる」の使い方
「喝を入れる」は「叱りつけることによって本来の自分を取り戻す」という意味で使われます。特に師匠からの一言や、自分が自分に対して「喝を入れる」という使い方をされることが多いもの。一般的に広く使われているとはいえ、「喝を入れる」は「活を入れる」の誤用に過ぎません。話し言葉として使う分には問題ありませんが、書き言葉として表現するときには注意が必要です。
「喝を入れる」の例文
誤用ではありますが「喝を入れる」がどのように使われているのかは以下のとおり。紹介はしますが、使わないようにしましょう。
- 応援席からコーチに喝を入れられて正気を取り戻した。
- 自分自身に喝を入れることで本来の調子を取り戻そうとしている。
- 大きな声で自分を叱咤することで喝を入れた。
- 喝を入れられることが怖くて、どうしても保守的になってしまう。
- 喝を入れられてからのプレーは見違えるほどよくなっていた。
「喝(活)を入れる」を英語でいうと?
「喝(活)を入れる」を英語で表現すると「give a pep talk」となります。「give」は「与える」という意味で、「pep talk」は「激励の言葉」という意味です。具体的な使い方は以下のとおり。
I was able to win the game because my master gave me a pep talk.(師匠が喝を入れてくれたから試合に勝てた。)
他にも「encourage(励ます)」「fire up(気合を入れる)」といった言い回しも「喝(活)を入れる」と訳すことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「喝を入れる」について解説しました。
「喝を入れる」は本来存在しない言葉であり、「活を入れる」の誤用です。しかしながら、多くのひとに「叱りつけることによって本来の自分を取り戻す」という意味で使われています。
そうはいっても「活を入れる」の誤用であることに変わりありません。話し言葉として使う際には漢字は関係ありませんので意識しなくてもいいかもしれませんが、書き言葉として「喝を入れる」を使うときには注意しておきましょう。
最後に「喝を入れる」のまとめです。
- 「喝を入れる」は「かつをいれる」と読みます。
- 実は「喝を入れる」は存在しない言葉で、「活を入れる」の誤用・誤変換です。
- 「活を入れる」は「元気を与える」の意味で使われます。
- 「喝(活)を入れる」の類義語は「気合を入れる」「ムチを入れる」「刺激を与える」「元気づける」「奮起させる」などです。
- 「喝(活)を入れる」の対義語は「ゆるむ」「ほどける」「よどむ」です。
- 「喝を入れる」と同じ漢字を使う四字熟語は「大喝一番」「大喝一声」「拍手喝采」です。
- 「喝(活)を入れる」を英語で表現すると「give a pep talk」となります。