「兵は神速を尊ぶ」の意味と使い方|由来や類語「兵は拙速を聞く」、対義語・英語も解説

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    「兵は神速を尊ぶ」は中国の古典に由来する言葉で、戦いにおいて軍隊は素早く動かすことが最も重要だと説く言葉です。ビジネスでも用いられる格言の一つになっており、迅速な対応が求められる場面で使われます。類語「兵は拙速を聞く」も合わせて解説します。

    目次

    「兵は神速を尊ぶ」の読み方

    「兵は神速を尊ぶ」の読み方

    「兵は神速を尊ぶ」は「へいはしんそくをたっとぶ」と読みます。「尊ぶ」は「とうとぶ」とも読みますが、やや古風な言い方の「たっとぶ」と読むことが多いです。「貴ぶ」や「尚ぶ」の表記もあります。表記については一般的には、「尊ぶ」の表記は「あがめ敬う意味」の場合に用いることが多く、「貴ぶ」の表記は「価値あるものとして大切にする意味」の場合に用いることが多いです。「兵は神速を尊ぶ」の場合は、由来となった『三国志』「魏志・郭嘉伝」の原文の表記が「貴ぶ」のため、その表記を尊重する場合には「貴ぶ」と表記されます。

    「兵は神速を尊ぶ」の意味

    「兵は神速を尊ぶ」の意味

    「兵は神速を尊ぶ」は「(戦いにおいて)軍隊は素早く動かすことが最も重要だ」の意味です。「兵」はここでは「兵隊を動かすこと」をさし、「兵は~」で戦いにおける用兵の方法について述べていることになります。「神速」は「人間わざとは思えないほど速いこと」の意味です。「尊ぶ」は「重んずる」の意味です。

    「兵は神速を尊ぶ」の由来・語源

    「兵は神速を尊ぶ」の由来・語源

    「兵は神速を尊ぶ」は何に由来する表現なのでしょうか。ここでは「兵は神速を尊ぶ」の由来となった中国の古典を紹介します。

    「兵は神速を尊ぶ」の由来は『三国志』「魏志・郭嘉伝」

    「兵は神速を尊ぶ」は中国の古典『三国志』に由来する表現です。『三国志』は晋の陳寿が著した中国の三国時代の歴史書で、「魏志30巻・呉志20巻・蜀志15巻」から構成されます。「兵は神速を尊ぶ」の表現は、『三国志』の「魏志」のなかの「郭嘉伝(かくかでん)」にあります。郭嘉は中国の後漢末に曹操に仕えた軍師です。郭嘉は的確な見通しを持って戦略をアドバイスし、曹操からは絶大な信頼を寄せられた人物です。

    語源には「兵は拙速を聞く」

    「兵は神速を尊ぶ」は『三国志』「魏志・郭嘉伝」に由来する表現ですが、郭嘉の進言に影響を与えた書物があります。それは『孫子』です。『孫子』は中国の呉の孫武が著したとされる兵法書です。

    『孫子』「作戦篇」には「兵聞拙速。未睹巧之久也。(兵は拙速を聞く。未だ巧の久しきを睹ざるなり。)」の表現があり、「戦いは戦術がまずくとも速やかに兵を動かすものだと聞いている。今まで長期戦で成功した例を見たことがない。」の意味です。「兵は拙速を聞く」の言葉は「兵は拙速を尊ぶ」とも表現され、「兵は神速を尊ぶ」の類義語としても取り上げられます。

    原文・書き下し文・現代語訳

    「兵は神速を尊ぶ」の由来となった『三国志』「魏志・郭嘉伝」の原文・書き下し文・現代語訳を紹介します。

    【原文】
    嘉言曰、「兵貴神速。」

    【書き下し文】
    嘉言ひて曰はく、「兵は神速を貴ぶ。」

    【現代語訳】
    郭嘉が進言して言うことには、「軍事は神のごとき迅速さを尊びます。」

    曹操は郭嘉の進言を受け、戦いに勝利しました。曹操は「奉孝(郭嘉の字)だけが私の意図をよく理解している」と言って、郭嘉に信頼を置いたとされます。

    「兵は神速を尊ぶ」の類義語・対義語

    「兵は神速を尊ぶ」の類義語・対義語

    「兵は神速を尊ぶ」と似た意味の語はあるのでしょうか。また反対の意味を持つ語は何なのでしょうか。「兵は神速を尊ぶ」の類義語と対義語を紹介します。

    類義語は『孫子』の「兵は拙速を聞く」など

    「兵は神速を尊ぶ」の類義語は「兵は拙速を聞く」や「兵を用うるの害は猶予最も大なり」です。

    「兵は拙速を聞く」は『孫子』「作戦篇」の「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹(み)ざるなり」に由来する表現で、「戦争ではたとえ作戦にまずいところがあっても、すばやく戦いを起こすことが大切である」の意味です。「兵は拙速を聞く」は「兵は拙速を尊ぶ(貴ぶ・尚ぶ)」とも表現されます。

    「兵を用うるの害は猶予最も大なり」は『呉子』(『孫子』と並ぶ兵法書)の「兵を用うるの害は猶予最も大なり、三軍の災いは孤疑に生ず」に由来する表現で、「兵隊を用いる際にはためらって決めかねることが最大の欠点である」の意味です。ともに兵隊を動かす際はスピードが重要であるということを述べています。

    対義語は「急がば回れ」「逃げるが勝ち」など

    「兵は神速を尊ぶ」の対義語にはスピードを重視する意味とは反対の意味を持つ表現や「兵は神速を尊ぶ」とは異なる戦い方を推奨する表現が挙げられます。たとえば「急がば回れ」や「逃げるが勝ち」があります。

    「急がば回れ」は「危険な近道よりも、遠回りでも安全で確実な手段をとったほうがかえって早く目的を達成できる」の意味です。他に「近道は遠道」「回るは近道」も挙げられます。「逃げるが勝ち」は「戦いを避けて逃げる方が戦うよりは得策である」の意味です。ほかに「三十六計逃げるに如かず」「負けるが勝ち」も挙げられます。

    「兵は神速を尊ぶ」のビジネス場面での使い方と例文集

    「兵は神速を尊ぶ」のビジネス場面での使い方と例文集

    「兵は神速を尊ぶ」のビジネス場面での使い方を、例文も踏まえて見ていきましょう。

    「兵は神速を尊ぶ」の使い方

    「兵は神速を尊ぶ」は戦術を述べた表現ですが、ビジネス場面では格言として使われることがあります。
    「兵は神速を尊ぶ」の表現の背景には、短期決戦の重要性が説かれています。戦いが長期化することで、たとえ戦いに勝てたとしても、兵力が鈍り、士気も下がります。戦いに費やす費用も増えるばかりで国が疲弊してしまいます。これはビジネスにも通じる考え方です。ビジネスにおいてもスピード重視で対応することで、結果として成果が上がります。

    「兵は神速を尊ぶ」を使用するときの注意点

    「兵は神速を尊ぶ」は「(戦いにおいて)軍隊は素早く動かすことが最も重要だ」の意味ですが、しばしば「考えるよりも先に動け」「早ければそれでいい」などの意味で使われることがあります。しかし、「兵は神速を尊ぶ」は作戦や戦略を軽視した表現ではありません。スピードだけを重視する使い方は間違いです。「兵は神速を尊ぶ」の由来となった表現を理解し、ビジネス場面でも正しく活用できるようにしましょう。

    「兵は神速を尊ぶ」の例文

    「兵は神速を尊ぶ」を使った例文をいくつか紹介します。

    ・「兵は神速を尊ぶ」という言葉を体現するようなスピーディな対応だった。
    ・ぐずぐずしていてもしょうがない。「兵は神速を尊ぶ」と言うじゃないか。
    ・「兵は神速と尊ぶ」と言うが、あまりに拙速では困る。

    「兵は神速を尊ぶ」の英語表現

    「兵は神速を尊ぶ」の英語表現

    「兵は神速を尊ぶ」の英語表現を紹介します。ことわざや格言の英語表現は日本語表現を直訳した表現と、意味が共通する英語圏のことわざや格言で表現する場合とがあります。ことわざや格言が持つ意味合いを伝えたい場合は、直訳するよりも意訳したり、意味が共通する英語圏のことわざや格言で表現したりする方が意図が明確に伝わります。

    直訳すると「The army should act quickly.」

    「兵は神速を尊ぶ」は、直訳すると「The army should act quickly.」の表現になります。「軍隊は素早く行動するべきである。」という意味合いです。

    意訳すると「Prompt action bring you a success.」

    「兵は神速を尊ぶ」は、意訳すると「Prompt action bring you a success.」や「On the battleground, prompt action decides the fate of the day.」といった表現になります。「prompt action」は「迅速な行動」を意味します。「Prompt action bring you a success.」は「迅速な行動は成功をもたらす。」の意味で、「On the battleground, prompt action decides the fate of the day.」は「戦いにおいて、迅速な行動はその日の運命を決定する。」の意味です。

    まとめ

    「兵は神速を尊ぶ」は『三国志』「魏志・郭嘉伝」に由来する表現で、「(戦いにおいて)軍隊は素早く動かすことが最も重要」の意味です。ビジネス場面でも格言の一つとなっており、素早い行動や迅速な対応を重視する場面で用いられることが多くあります。「兵は神速を尊ぶ」は作戦や戦略を踏まえた上で短期決戦を重視する表現で、スピードだけを重視する使い方は間違いです。『孫子』の「兵は拙速を聞く」「兵は拙速を尊ぶ」の表現なども類義語として用いられることがあります。由来となった表現を理解し、正しく活用できるようにしましょう。

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