歌のタイトルに使われる「リリック」の正しい意味や使い方をご存知でしょうか?歌に使われるリリックの正しい意味と使われる用語、頻繁に使用されるラップに関わるフロウやライムなどの音楽用語にあわせて紹介します。
「リリック」の意味とは?
「リリック」という言葉には、主に2つの意味があります。それぞれの意味を理解して、状況にあわせて正しく使えるようにしましょう。
意味1~抒情詩
リリックは抒情詩といわれる詩の一つです。抒情詩とは、詩人が、自分の思想や想いを表現した詩です。詩を読むと、そのときの詩人の心情や内面などが感じ取れます。抒情詩と同じ意味で使われる言葉では「叙情詩」がありますが、一般的には抒情詩の方が使われます。「抒情」という言葉を普段あまり見かけることがある方は少ないのではないでしょうか?「抒」とは、「心の中にある思いを述べる」という意味があり、自分の中にある思いや感情を表す言葉として使われます。使われる例文では、「古代ギリシャのリリック」や「彼はリリックを書く詩人として有名です」などがあります。
意味2~歌詞
リリックの意味には、抒情詩以外では、歌に合わせた言葉の「歌詞」の意味があります。抒情詩よりも、現代では歌詞としてリリックという言葉が使われます。語源は英語の「liric」で、カタカナ語として誕生しました。あらゆる曲の歌詞で使われていていますが、主にラップの歌詞で使うことが多いです。使われる例文としては、「ドラマの主題歌のリリックが好き」や「あのグループはリリックが共感できる人気のバンドです」などがあります。
「リリック」の由来・語源
詩の表現や、歌詞として使われる「リリック」という言葉の語源をご存知でしょうか?リリックは、古代より人々を楽しませ魅了してきた音楽に由来する言葉です。また、現代で使われる「リリックビデオ」の由来も知り、歴史を学びましょう。
語源は楽器の「リラ」
リリックは、「リラ」という古代ギリシャの竪琴「ハーブ」が語源といわれています。リラの奏でる美しい伴奏に合わせ、古代人が詩を歌った名残が、リリックという言葉に繋がっています。
リリックビデオの始まりは「ボブ・ディラン」
歌詞表示がされたミュージックビデオのことを「リリックビデオ」といいます。音楽シーンでよく使われます。そのリリックビデオの始まりは、ボブディランの「Subterranean Homesick Blues」といわれています。
「リリック」の類義語・言い換え
歌詞でよく使われる「リリック」の類義語や言い換えを覚えましょう。よく使われる類義語では、「ライム」や「フロウ」があります。それぞれの意味を正しく理解し、状況に合わせリリックと使い分けをしましょう。
ライム
「ライム」は、リリックの類義語としてよく使われる言葉です。ライムは、「韻を踏む」という意味で、ラップで使用されます。「韻を踏む」とは、歌詞のはじめや終わりなどの決まった場所で語呂が同じ言葉で揃えることです。例えば、「逆上がりで里帰り」や「誕生・現状・戦場・感情」などのように、語尾に同じ音の単語をリリックに盛り込むようなテクニックで使います。
他には、文の先頭をそろえ文全体を整えるような高度なテクニックがあり、ライムを決めることで楽曲の良し悪しが決まるくらい重要なものです。ラップは、ライムを繰り返し使う特徴がある音楽で有名です。ライムを繰り返すことで、語尾のよいリリックになり、ラップの音楽では重要なテクニックとして使われています。
フロウ
「フロウ」は、ラップの曲の中でラッパーが歌うときに表現する感情に合わせ出てくる音の強弱を表現する歌い方です。ラップは、ただ音に合わせるだけでなく、強弱をつけてリズミカルに表現するのが特徴です。
フロウは、ラップの言い回しや強弱、節の上げ下げなどを指す音楽用語として使われています。韻を踏んでいなくても、フロウを使用することで歌詞がリズミカルな音楽になります。そのため、表現力やオリジナリティに溢れるラップに対し、「フロウがある」と表現をします。音楽に合わせフロウをうまく使用することで、ラップがより楽しめます。
「リリック」が使われる音楽用語
「リリック」という言葉は、現代では音楽シーンでよく使われる言葉です。その中でも、リリックは「リリックスピーカー」や「リリックビデオ」として使用されます。それぞれの意味を把握しておきましょう。
リリックスピーカー
「リリックスピーカー」とは、2016年に日本で発売された次世代スピーカーです。リリックスピーカーの特徴は、曲に合わせ歌詞をスピーカーに内蔵されたスクリーンに映せます。激しい曲には力強いグラフィックとして、やさしい曲にはやわらかいフォントが映し出され、歌詞が曲調に合わせて映し出されます。
リリックビデオ
「リリックビデオ」とは、歌詞表示がされたミュージックビデオのことで、音楽シーンでよく使われます。リリックビデオは、アーティストのプロモーションビデオではなく、曲の歌詞を映像と一緒に映し出します。もともと、ミュージックビデオでは歌詞を表現するのものは少なく、リリックビデオの登場により歌詞と映像をリンクできて、歌詞と音楽が同時に楽しめるようになりました。
リリックビデオの定着により、音と映像・表現を同時に楽しんだり、映像から音楽を学び楽しんだりして、さまざまな音楽の楽しみ方が広がるようになりました。現代では、時代背景に合わせリリックビデオの表現手段を取るアーティストが増えています。
「リリック」と「ポエム」の違い
「リリック」と似た言葉で「ポエム」という言葉があります。それぞれの意味を理解し、間違った使い方をしないように注意しましょう。
「ポエム」は詩そのものを指す
リリックと似た言葉で、「ポエム」という言葉があります。リリックは詩の三大部門の一つに対し、ポエムは「詩」全体を指す言葉です。ポエムは、絵本などに添えられるフワッとした印象の詩のイメージが強いですが、本当の意味は違います。現代では、SNSで自己陶酔感が強い詩をポエムと呼ぶことがあり、詩全体をポエムとして捉えて使用する方が少ないです。ポエムを使用した「ポエマー」は和製英語で、「詩人」の意味です。
「ライン」は詩の一行
「ライン」は詩の一行という意味があり、ラップでは「パンチライン」と表現されたりします。ラップは、リリックを表現する曲として知られていて、「ライン」を設定することで、より味わい深い曲に仕上がります。
「リリック」の対義語
詩の三大部門のリリックの対義語には、どのようなものがあるかご存知でしょうか?リリックの対義語として、詩の三大部門「エピック」や「劇詩」があります。それぞれの意味を把握しておきましょう。
「エピック」
「リリック」の対義語として、「エピック」という言葉があります。エピックは、叙事詩・英雄詩のことで、歴史的な英雄や神様が出現し、さまざまな事件や問題が起きて展開される物語のことを指します。国の誕生や民族の歴史を語るときに使われます。リリックは、自分の心情を表現するときに使われるのに対し。エピックは事実をありのままに表現するときに使われます。叙事詩映画は映画の種類の一つで、歴史的事件や英雄の物語を描く作品として人気があります。
「劇詩」
詩の3大部門にはリリックとエピックの他に、「劇詩」というものがあります。劇詩は、演劇の脚本や台本のような形の詩で、舞台の上映を意識していないものを指します。舞台を意識して作られた作品は「詩劇」です。
まとめ
リリックは、詩の三大部門の一つである抒情詩と、歌詞として使われる二つの使い方があります。リリックは、何かとよく耳にする言葉ですが、実際に説明をすると難しい言葉です。
由来は古代ギリシャにさかのぼります。古代ギリシャ人が、竪琴の「リラ」にのせて気持ちを表現したことから、リリックとなったといわれています。現代では、音楽シーンで使う頻度が高い言葉で、音楽に興味がある方は聞く機会が多いでしょう。ラップに使われることが多いですが、ヒップホップやJPOPなどにもリリックは使われます。リリックには、作詞家のメッセージが込められれているので、歌詞に注目して聞いてみるとよいでしょう。