「ハードボイルド」の意味や使い方とは?語源や類語、有名な小説・映画も紹介

ハードボイルド

「ハードボイルド」とは、推理小説のジャンルやキャラクターの特性などを表現する言葉。ハードボイルドな男、ハードボイルド小説、ハードボイルドな生き方といった使われ方をします。正しい使い方や意味、類語、有名な小説・映画作品を紹介します。

目次

「ハードボイルド」の意味とは?

「ハードボイルド」の意味とは?

「ハードボイルド」とは、推理小説のジャンルや人物のキャラクター特性などを表現する言葉です。「ハードボイルドな男」「ハードボイルドな生き様」のような使い方をします。「ハードボイルド」の詳しい意味をもう一度おさらいしてみましょう。

小説や映画における客観的で簡潔な描写手法・文体

「ハードボイルド」とは、小説や映画における客観的で簡潔な描写手法・文体のことをいいます。アメリカ文学でリアリズム(写実主義)といった現実的でスピーディーな文体が特徴の文学手法が興ります。その中で新聞記者出身のアーネスト・ヘミングウェイが、暴力的・反道徳的な内容であっても、批判や感情的な描写を交えず、淡々と登場人物の行動だけをなぞるように描く文章表現を確立します。小説における「ハードボイルド」の技法は、ヘミングウェイの作品が始まりといわれています。

推理小説のジャンルのひとつ「行動派ミステリー」

「ハードボイルド」とは、推理小説のジャンルのひとつである「行動派ミステリー」のことを指します。「ハードボイルド小説」はヘミングウェイの代名詞ともいえますが、その後ダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーなどのミステリー作家によって、行動派の私立探偵や刑事を主人公とした、余計な説明を加えない文体の推理小説が描かれるようになります。

タフな生き様の男性を象徴する言葉

「ハードボイルド」とは、タフで男らしい生き様の男性を象徴する言葉としても使われます。特にレイモンド・チャンドラーが生み出したフィリップ・マーロウは、クールでタフでありながら、内に優しさを秘めたハードボイルドな男性像を地で行く探偵のひとり。チャンドラーの小説は数多く映画化されてきましたが、中でもハンフリー・ボガートが演じた、トレンチコートを着て帽子をかぶり、タバコをふかすマーロウ像は、ハードボイルドのイメージを定着させました。

「ハードボイルド」の由来・語源

「ハードボイルド」の由来・語源

「ハードボイルド」の語源は、卵を固ゆでする「hard‐boiled」から来ています。現実的で情にほだされない、感情を表面に出さないといった意味がある言葉です。そこから多くを語らず、妥協を許さないタフな主人公が登場する作品や小説のジャンル、男性の生き様、男の美学を指す言葉になりました。

「ハードボイルド」の類義語・言い換え

「ハードボイルド」の類義語・言い換え

「ハードボイルド」は、日常会話やビジネスシーンであまり使用される言葉ではありませんが、似た意味を持つ類義語や言い換え表現であれば、普段の生活の中でもよく耳にする言葉がいくつかあります。

無頼・ドライ

「ハードボイルド」と似た意味合いのある類義語に、「無頼」「ドライ」などがあります。「無頼」とは、頼みにするところがない、ならず者、アウトロー的な意味合いがあり、現代の冷徹で暴力的な描写を描いた作品を「ハードボイルド」とする際に適した言葉といえます。「ドライ」は「乾いた」ともいえますが、恐怖や感傷などの感情に流されず、割り切っているさま、態度が冷淡で無味乾燥な様子を表します。

リアリスト・現実主義者

「ハードボイルド」を別の言葉に言い換えると、「リアリスト」「現実主義者」などがあります。「リアリスト」と「現実主義者」は同じ意味になりますが、現実に発生した事象をもとに、物事を考え処理する人を指します。芸術においては「写実主義者」、哲学では「実在論者」とも言い換えられます。「ハードボイルド」のもともとの表現方法が、リアリズムの流れをくむものなので、言い換え表現として適しています。

無感情・非情

「ハードボイルド」は、「無感情」「非情」といった言葉に置き換えて使うことも可能です。「無感情」とは、感情が乏しく、喜怒哀楽のような心の動きがないことをいいいます。「非情」は、人間らしい感情に左右されず、機械のように淡々とこなす様子を表す際に使える言葉です。「ハードボイルド」は、感情よりも行動のみを表現する客観的な技法のため、細かいニュアンスは異なりますが、「無感情」や「非情」と言い換えられます。

「ハードボイルド」が登場する映画・小説作品

「ハードボイルド」が登場する映画・小説作品

「ハードボイルド」な人物やストーリーが登場する作品は世界中にたくさんあります。その中でも、「ハードボイルド」の代名詞ともいえる映画や小説を紹介します。

ダシール・ハメット「マルタの鷹」

推理ミステリーにおける「ハードボイルド」の元祖と称される、ダシール・ハメットの長編小説「マルタの鷹」。簡潔で客観的な状況描写に、タフでクールな主人公が登場する作風は、「ハードボイルド」の雛形ともいうべき作品です。三人称を用いて心理描写をできるだけ排除し、物事の核心に迫る手法は、今なお多くの作家に影響を与えています。「マルタの鷹」は後に映画にもなり、私立探偵サム・スペードをハンフリー・ボガート演じています。

レイモンド・チャンドラー「フィリップ・マーロウ」シリーズ

「ハードボイルド探偵」を象徴する「フィリップ・マーロウ」シリーズを世に送り出したレイモンド・チャンドラー。「大いなる眠り」や「さらば愛しき女よ」「ロング・グッドバイ」など、文芸作品として高い評価を得る名作を多数執筆しています。客観的でシャープな描写と、粋なセリフやレトリックが特徴です。「プレイバック」の中で主人公のフィリップ・マーロウが発するセリフ「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。」は有名です。

北方謙三や原尞など日本のハードボイルド小説

日本でも北方謙三や大沢在昌をはじめとした作家によって、多数の「ハードボイルド小説」が生み出されてきました。中でも日本の「ハードボイルド小説」を確立したともいわれる北方謙三の代表作「黒いドレスの女」は、1987年に映画にもなっています。ほかにも原尞のハードボイルド探偵小説シリーズや、大沢在昌の「新宿鮫シリーズ」なども日本を代表するハードボイルド小説です。

アーネスト・ヘミングウェイ「武器よさらば」

「ハードボイルド」の作風を確立したアーネスト・ヘミングウェイの作品も、「ハードボイルド小説」に分類されます。「誰がために鐘は鳴る」や「老人と海」など数多くの有名な作品を手がけてきたヘミングウェイですが、行動派の彼は、自ら戦場に赴くなどして、実体験をもとに「武器よさらば」を執筆しています。無駄な表現を削ぎ落し、心情をまったく吐露せずに戦争や人生の悲劇を見事に描いた作品です。

「ハードボイルド」の使い方と例文

「ハードボイルド」の使い方と例文

「ハードボイルド」は、日常生活で使われる頻度は少ないですが、小説や映画、ドラマ、雑誌などの媒体では目にする機会が多い言葉です。「ハードボイルド」は、実際にどのような場面でどんな風に使われるのか、使い方と「ハードボイルド」の言葉を使った例文を見ていきましょう。

ハードボイルドな男

「ハードボイルド」は、「ハードボイルドな男」「ハードボイルドな性格」といったような使い方をします。「ハードボイルドな男」や「ハードボイルドな性格」は、ハードボイルド小説に登場する主人公を彷彿させる人や、どんな場面においても感情に振り回されず、非情になって物事をやり遂げる人物のことを指すことがあります。非情に徹しながらも、ただ単に冷たい人間ではなく、頼りがいのあるといった意味で用いられます。
・彼はハードボイルドな男性なので、女性だけでなく、男性からも憧れられている。

ハードボイルド小説

「ハードボイルド」な作風の小説を「ハードボイルド小説」といいます。ヘミングウェイの作品や、ダシール・ハメットをはじめとした行動派ミステリー小説、日本独自のハードボイルド小説があります。
・推理小説が好きなので、本格派推理小説はもちろん、ハードボイルド小説もほぼ全て読破した。

ハードボイルドな生き方

「ハードボイルドな生き方」のように、タフな生き様、男性の美学を表す際に使われることがあります。「ハードボイルド」を生み出したヘミングウェイの生き様や、本心を見せないながらも目標に淡々と向かう姿勢、誘惑や感情に惑わされず信念を曲げない生き方を指します。・ヘミングウェイのようなハードボイルドな生き方を目指してみよう。

まとめ

「ハードボイルド」とは、小説や映画などの作風またはジャンル、男性のキャラクターや雰囲気、特性を表す言葉です。「ハードボイルド」の意味や使い方はもちろん、「ハードボイルド」が登場する作品を知り、視野や知識の幅を広げましょう。

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