「フィックス」は、英語「fix」が語源のカタカナ語です。ビジネスシーンでは「確定」の意味で使われることが多い言葉ですが、「固定」や「修正」の意味で使われることもあります。「フィックス」の使い方を、例文とともに紹介します。
フィックス(fix)の意味とは?
「フィックス」は主に「確定」と「固定」、「修正」の3つの意味で使われています。「フィックス」とは英語「fix」が語源のカタカナ語で、「fix」には「明確にする」や「決定する」、「固定する」、「落ち着かせる」などの多くの意味があります。「フィックス」は分野別に意味が違うことがあるので、覚えておきましょう。
1.確定
「フィックス」には「未確定のことが確定する」の意味があります。会議を複数回重ねて出した最終決定や、校正と修正を繰り返した結果の最終版が「フィックス」です。何度も変更を繰り返すスケジュールや、多くの意見を集約して決定される経営方針など、ビジネスシーンでは多くの場面で使われています。
2.固定
映像作成や建築分野では、「フィックス」は「固定」の意味で使われています。たとえばカメラを三脚などに固定した状態で撮影する「固定撮影」のことは「フィックス」といいます。また、「フィックス窓」とは開閉できない固定式の窓のことです。開閉可能な窓とは違い、おしゃれなデザインや大きさを実現できます。
3.修正
「フィックス」には「修正」の意味もあります。IT業界では多く使われている表現で、ソフトウェアやアプリケーション、システムなどの不具合を修正することを「フィックス」といいます。また、不具合を修正するためのプログラムは「フィックス」または「バグフィックス」とも呼ばれます。
フィックス(fix)の類義語と言い換え表現
「フィックス」の類義語や言い換え表現を紹介します。それぞれの意味の違いを知り、「フィックス」の理解を深めましょう。
1.決定する
「決定する」とは、ものごとをはっきり決める、決まることをいいます。最終的にはっきりさせることをいう「決」と、決めることをいう「定」とがあわさった言葉です。
- これを決定するかどうかは君次第だ。
- その件については協議して決定した。
参照:goo辞書「決定」
2.定める
「定める」とは、決めることをいいます。安定させることやはっきりさせること、落ち着かせることも「定める」で表現できます。また、憲法などの従うべきものを決めることも「定める」です。
- 今期の目標を一本に定めた。
- 法律では下記の通り定められている。
参照:goo辞書「定める」
3.策定する
「策定する」とは戦略や方針などを考え、決めることをいいます。はかりごとや計画をいう「策」と、決めることをいう「定」があわさった言葉で、目指す方向性や基本的な考え方を決め、計画を立てることを意味します。
- 起業のために、事業の基盤となる事業計画書を策定した。
- 経営者は経営計画を策定し、従業員とビジョンを共有することが大切だ。
参照:weblio辞書「策定」
4.道筋をつける
「道筋をつける」とは通り道を決める、すなわち未解決の問題の解決法を考え出すことや、解決に必要なことの一部を実行し、目処をつけることをいいます。
- 構想を実現させるためには、道筋をつけるために強いリーダーシップが必要である。
- 経営状況の改善などを行い、問題解決のための道筋をつけた。
参照:goo辞書「道筋」
5.取り決める
「取り決める」とはものごとを相談して決めることをいいます。ほかにも「契約する」や「約束する」の意味も持ちますが、こちらは「フィックス」とは異なります。
- 仕事の分担をどうするかを話し合って取り決めた。
- スケジュールを取り決めるために、顧客に連絡する必要がある。
6.アジェンダ
「アジェンダ」とは、行動計画のことをいいます。語源のラテン語の意味は「実行に移すべきこと」で、実現すべき計画のことを指します。ビジネスシーンでは「会議で予定としている議題」のことを指し、「本日のアジェンダは〇〇です」から会議が始まることも多くあります。
- 明日の会議のアジェンダがまとまっているか、部長から確認された。
- 午後の会議に出席できない人に、アジェンダを共有しておいてください。
7.アタッチメント
「アタッチメント」とは「付属品」や「取り付け」のことをいいます。「フィックス」の「固定」の意味に近いですが、「機能を追加、変更するために本体に取り付けるもの」のニュアンスが強い言葉です。
- アタッチメントを付けて製品を使用する。
- 製品の機能追加のため、新たにアタッチメントを開発する。
フィックス(fix)の対義語
ペンディング
「フィックス」の対義語は「ペンディング」です。「ペンディング」の由来は英語の「pending」で、先送りや保留、未解決の意味があります。「前回の会議でペンディングになった議題を話し合いましょう。」や、「この案件はペンディングさせてください。」は、先送りの意味での使い方です。また、「〇〇の案件はまだペンディングです。」では、一旦保留の意味で使われています。
- もう時間が押しているので、この件は一旦ペンディングでいかがでしょうか。
- ペンディング事項をリスト化し、後で報告してください。
フィックス(fix)の英語表現
「フィックス」を英語で表現するなら、「establish」や「determine」を使います。「establish」には「制定する」や「成立させる」、「確立する」などの意味があります。「determine」には「決定する」などの意味があり、「determine on〜」は「〜を決定した」です。
- It’s difficult for me to establish that target now.
(私には今その目標をフィックスするのは難しい。) - We will contact you after we determine the terms.
(条件をフィックスしたらご連絡します。)
フィックス(fix)の使い方と例文集
「フィックス」の使い方と例文を紹介します。ビジネスシーン、特に社内の会話では「フィックス」が登場する機会があるので、戸惑わずに使えるようにしておきましょう。
「フィックス」の使い方
「書類がフィックスした」とは、作成した書類にこれ以上の修正や加筆が必要なくなったことをいいます。ビジネスでは提案書や企画書、案内状などの文書を作成したら、上司などの複数の人のチェックを経て完成となります。「条件がフィックスした」とは、顧客とのやりとりで妥協点を見出して合意できた、なんとか契約にこぎつけたことをいいます。「スケジュールをフィックスさせる」とは、さまざまな条件から日程を決めきれていない中、スケジュールを確定させることを意味します。
「フィックス」の例文集
「フィックス」を使った例文を紹介します。
- 工事のスケジュールが決まっていないので、先方へ出向いてフィックスさせてきます。
- システムにバグが出たので、最優先でフィックスを提供できるようにしてほしい。
- 資料提出は明日の午後5時フィックスなので、もう少し内容を練ってみます。
- 先方から、早くフィックス版の資料が欲しいと連絡があった。
- うちの部署から社内プレゼンに出す内容は、これでフィックスでいいだろう。
- 私の提案はまだフィックスしていませんし、改善したい点もあります。
- 商品パッケージの候補はこちらでフィックスとなったので、変更することはできません。
フィックス(fix)を使う際の注意点
「フィックス」は書き言葉にはふさわしくないので、メールや文書で「フィックス」を使うのは避けましょう。特に年配の方に対しては、「決定」や「取り決め」などの言い換え表現を使うことをおすすめします。取引相手に対して「フィックス」を使うのも望ましくありません。「フィックス」が誰にでも通じるとは限らないので、別の言葉で表現した方が失礼にならないでしょう。
まとめ
「フィックス」とは英語「fix」が由来のカタカナ語で、「確定」などの意味で使われています。業界によっては「固定」や「修正」を意味することもあるので、使い方を知っておきましょう。社外や年配の方とのやりとりでは「フィックス」が失礼になることがあるので、「決定」や「取り決め」などの類似表現を使うとよいでしょう。