「固定概念」と「固定観念」その違いがあやふやなまま使っていませんか?日本語には紛らわしい言葉がたくさんありますよね。ここでは「固定概念」と「固定観念」の違いや正しい使い方、また似た意味の言葉の「ステレオタイプ」について解説します!
「固定概念」の読み方と意味とは?
「固定概念」という言葉、普段何気なく使っている方も多いはずです。ここではその読み方と意味を紹介します。「固定概念」の 正しい意味を押さえておきましょう。
「固定概念」の読み方
「固定概念」は「こていがいねん」と読みます。「固定」も「概念」もそれぞれ単独でもよく使われる言葉です。続いてその詳しい意味をみていきましょう。
「固定概念」の意味
「固定概念」は「凝り固まった考え方」という意味があります。わかりやすい特徴として「柔軟な発想ができない」「他人の意見を聞き入れない」などが挙げられます。「概念」は「物事についての大まかな知識と理解」を指す言葉で、つまり「固定概念」とは「知識や理解が1つに固着し動かない様」を表しています。後ほど、「固定観念」についても紹介します。
「固定概念」にとらわれやすいのはどんな性格?
「固定概念に捕らわれずに生きていく」というように、なにかとマイナスの意味で使われがちです。「一つの場所から発想が発展しにくい考え方」を表す言葉としてもよく用いられます。ここでは固定概念に捕らわれやすい性格を紹介していきます。
柔軟性に乏しい
「柔軟性に乏しい」人は固定概念に捕らわれているといえます。端的にいうと、「一度決められたことに対してそれを貫こうとする。」性格の持ち主です。初志貫徹は非常によいことではありますが、「臨機応変さ」を持ち合わせていないと何かと損をすることも多くなります。固定概念に捕らわれている傾向があると、古い考え方に縛られ新しい環境に適応しにくくなるでしょう。
「べき思考」が強い
「べき思考」が強すぎるのは固定概念から離れられない思考の癖の持ち主であるといえます。「べき思考」とは、「自分ルールを守ることが正しい」という考え方です。「こういう状況のときはこうすべき!」「あの人はあのときこうすべきだった。」といった考え方を指します。
例を挙げると「人に迷惑をかけないようにすべき!」といったルールを基に、人や自分の行動に対して制限をかける傾向があります。その考え自体は間違っていないことが多いとはいえ、その固定概念が強すぎるがゆえに自分も周囲の人間も疲弊してしまうことがあるので、注意が必要です。
頑固者
「頑固者」も「固定概念」が深く関係しています。こういった性格の持ち主は、過去の自分自身の経験則への執着が強いことが多いです。周りの意見を聞き入れなかったり、状況が変わっていても自分のやり方を貫き通そうとしたりする傾向があります。「べき思考」の一種ともいえます。
環境の変化を極端に嫌う
環境の変化を極端に嫌う性格は、「環境が変わると怖いことが起こる」という固定概念から生み出された考え方の癖です。人の脳の性質上「心理学的ホメオスタシス」という心の働きが存在します。それは環境を変えないように行動を制限するはたらきを持ち、人間誰にでも備わった安全装置のようなものと考えてよいでしょう。
しかし、その傾向が強くなりすぎると挑戦する回数が極端に減るため、それが逆にリスクを生みやすいともいえます。 安全策をとるのも大事ですが、タイミングを見計らって適切なリスクを取ることも大切です。
「固定概念」と「固定観念」の違い
「固定概念」と「固定観念」。これら2つの言葉、どちらの言葉も聞き覚えがありますよね。しかし、この2つの言葉の違いについて考えたことはありますか。こういった似た意味の言葉には、意味をよく考えずに利用していると思わぬ落とし穴が存在することがあります。ここでは、これら2つの言葉について解説します。
「固定概念」は「固定観念」の誤用だった?
結論からいうと、「固定概念」は誤った日本語です。一般的に浸透してしまったため、市民権を得てしまいました。その正しい言葉は「固定観念」で、そもそもの間違いの発端は「概念」と「観念」を取り違えたことにあります。「観念」は「物事について抱く考えや知識」を指し、「概念」とよく似た意味のためとり違えてしまったのでしょう。もしこの言葉を使う機会があった場合「固定概念」でなく「固定観念」を使う方がベターです。
英語に訳すと「ステレオタイプ」
「固定観念」を英語にすると「Stereotype」となります。日本語としても用いられることが多く、カタカナ語で「ステレオタイプ」と表現され和製英語になっています。意味としては「多くの人が無意識に共有している先入観」といった具合です。例えば、「きみはB型だから、マイペースなんだね。」というように、それぞれの血液型に対してある特定の性格が対応しているという常識、先入観を「ステレオタイプ」といいます。「固定観念」とステレオタイプは同じ意味として覚えておくとよいでしょう。
「固定概念」の類義語・対義語
「固定概念」は「固定観念」の誤用であるため、ここでは「固定観念」や「ステレオタイプ」の対義語と類義語を紹介していきます。一言に類義語、対義語と言ってもそのニュアンスが微妙に異なることがあります。 日常生活でもよく用いられる言葉になるので、その意味を詳しく見ていきましょう。
「ステレオタイプ」の類義語
「ステレオタイプ」の類義語として、1つ目には「偏見」があります。「物事に対して色眼鏡で観察してしまい、真実をとらえることなく自分の考え方が正しいという考え方に偏っている状態」を指します。この考え方の歪みは、人種差別や国籍による差別といった深刻な問題に関係しています。
2つ目は「先入観」です。「新しい物事を始める際に、今までの印象だけ決めつけて判断してしまうこと」を指します。「私はテニスが苦手だから、バドミントンも苦手に違いない。」という思考回路は典型的なものです。やったことがないなら、本質的にはバドミントンも苦手かどうかわかりません。この場合、テニスが苦手という経験から、バドミントンに対する先入観が形成されてしまっています。どちらの言葉もネガティブな印象を与える言葉です。こういった考えに縛られずに、物事を判断していきたいものですね。
「ステレオタイプ」の対義語
辞書引いたときに、これこそが対義語!という代表的な言葉は存在しません。「ステレオタイプ」の意味そのものが抽象的なため、その対義語らしい言葉が無数に当てはまってしまいます。一つ例に挙げるとすれば「臨機応変」という四字熟語があるでしょう。その意味は「その場その時に応じて、適切な手段をとること」を指します。一つの考えに縛られず、柔軟な発想ができている様を表現しています。
「固定概念」の使い方と例文集
ここでは、「固定観念」の使い方について紹介します。誤用の「固定概念」においても同様の使い方で意味は通じますが、正しい方の日本語を使っていきましょう。
「固定概念」の使い方
「固定概念」および「固定観念」は「一つの考え方に固着している状態」を表現するときに使う言葉です。「固定観念が強い」や、「固定観念にとらわれている」といった使い方をします。いずれにせよ、ネガティブな表現であることは押さえておきましょう。
「固定概念」の例文
「固定観念が強い」の使い方である場合「彼は固定観念が強すぎて、全く話が通じない。」といった使われ方をします。「固定観念にとらわれている」の使い方の場合、「あの頃自分は固定観念に捕らわれていて、挑戦できなかった。」のように使われます。このように人を評価したり過去の自分を評価したりするときに用いられることが多いです。
「固定概念」の英語表現
「固定観念」の英語表現を紹介します。先ほど紹介した「Stereotype」に加え、心理学用語の「complex」やイディオムの「fixed idea」などがあります。「固定観念にとらわれる」を英訳する場合、「be fixed the idea」となります。「fix」が「固定する」という意味であるため、考え「idea」に固定されているイメージが、英文からつかみ取れるでしょう。
まとめ
「固定概念」は「固定観念」の誤用です。人間の考え方や性格を表す言葉で、端的に表現すると柔軟性がない心の状態を指します。「固定観念」はマイナスのイメージで使われることが多いため、他の人を表現する際は注意しましょう。固定観念にとらわれずに、自由な発想で挑戦できる性格の持ち主になりたいですね。