「ディテール」は英語「detail」が由来のカタカナ語で、「細部」や「ものごとの詳細」などを意味します。ビジネスシーンでよく耳にする言葉ですから、分野別の意味に加えて類義語と対義語、使い方を知っておきましょう。
「ディテール」の意味とは?
「ディテール」とは、「ものごとの詳細や末端部分」または「細かく詳細であること」をいいます。美術とファッション、建築分野ではそれぞれに「ディテール」の意味が異なります。
意味1.あらゆるものごとの詳細
「ディテール」の意味のひとつが、「あらゆるものごとの詳細」です。また、ある一部分や末端部分を指すこともあります。ビジネスシーンでは予定や計画などの詳細のことを「ディテール」と表現します。「事のあらましのディテール」とは、誰がいつ、どこでどうなったかと、事が起こった経過と状況などの詳細のことです。「会議のディテール」を求められたら、時間配分と進行する内容、出席者名簿、当日メインとなる議題などを提出しましょう。
意味2.細かい・詳細であること
「ディテール」には、「細かい・詳細であること」の意味もあります。造作物の細かい部分や、部分の繊細さのことです。
1.美術分野の「ディテール」
美術分野で使われる「ディテール」とは、作品制作で最後に仕上げる部分のことをいいます。彫刻や絵画制作ではまず大まかにベースをつくってから、徐々に細かい部分を形にしていきます。そして制作の最終段階で、詳細部分をつくる作業が「ディテール」です。彫刻では最後の仕上げに行う削りの調整、水彩画なら色の厚みを増し、強弱をつけることが「ディテール」で、この作業の出来によって作品の表情をも変えてしまうといわれています。
2.ファッション分野の「ディテール」
ファッション分野で使われる「ディテール」とは、服や服飾小物の細かい部分のことをいいます。たとえば服に付属するボケットの形やボタンのデザイン、バッグのバックルのデザインや縫い目などが「ディテール」です。細かい意匠は服全体の印象には表れにくいのですが、デザイナーのこだわりや価値観を表現できます。
3.建築分野の「ディテール」
建築分野の「ディテール」とは、設計の詳細図のことです。部屋のインテリアの詳細のほか、キッチンの構造と配置、部屋一つひとつの設計図を「ディテール」ともいいます。建築分野の「ディテール」は設計段階によって指すものが異なるので、文脈から意味を類推しましょう。
「ディテール」の由来・語源
「ディテール」の語源は英語の「detail」で、意味はほぼ同じです。「detail」はフランス語の「Détail(裁断して細かくする)」が起源となっています。
「detail」の意味と使い方
「detail」にはカタカナ語の「ディテール」と同じく、「細部や細かい面」と「ささいなこと、つまらないこと」などの意味があります。
- Every detail of his new plan was perfect.(彼の新プランは細部まで完璧だった。)
- Could you explain in more detail?(もっと細かい点まで説明していただけないでしょうか?)
- There is too much detail in the drawing.(ディテールが細かすぎる絵だ。)
「ディテール」と「ディティール」はどちらが正しい?
「ディテール」は「ディティール」と表記することもあり、意味は同じです。一般的には英語「detail」の発音に近い「ディテール」を使った方が、国際的なコミュニケーションもスムーズにできるでしょう。
「ディテール」の類義語・言い換え
「ディテール」の類義語には「全体の中のある点」や「詳細」を意味する言葉があります。それぞれの意味を知って、「ディテール」の理解を深めましょう。
1.ポイント
「ポイント」とは、英語「point」が語源のカタカナ語です。意味のひとつの「多くの中の一部である要点や箇所」は「ディテール」と類似しています。
- ハーフマラソンで10kmのチェックポイントの通過タイムを更新できた。
- 企画書の問題点をピンポイントに指摘する。
2.焦点
「焦点」には「レンズを通った光線が集まる点」の意味が転じて、「人々の注意や関心が集まる点」の意味があります。「焦点となる」は「全体の中で主な役割を果たしているものごと」のことで、「メインとなる」や「軸となる」、「中核になる」などと似た意味になります。
参加者全員の焦点は、提案書のソース元にあった。
3.事細かに
「事細かに」とは、細部まで記述や説明をすることをいいます。「ディテール」の意味のひとつ「詳細」や、「つぶさに」などと似た意味の言葉です。
- 先輩から教わった仕事の進め方を事細かにメモしていたので、スムーズに仕事を終えられた。
- 転職先の面接では、前職と経歴について事細かに質問された。
4.委細
「委細」には「細かいところまで詳しいこと」や、「細かいことまですべてを」の意味があります。ビジネスシーンで多く使われる「委細承知致しました」とは、「その内容をすべて把握し、承諾しました」を意味します。
- 上司からは委細構わずに実行してよいと指示された。
- 今回の契約内容について、委細承知の旨をメールで報告しました。
5.眼目
「眼目」とは、ものごとの中の最重要点をいいます。「眼」と「目」はともに「要所」や「要点」の意味があり、それらを重ねて強調した表現です。
- この話の眼目は、彼が一生のうちに何をしてきたかだ。
- 社会貢献を大きな眼目とし、事業活動を行っていきたい。
「ディテール」の対義語
「ディテール」の対義語を4つ紹介します。それぞれ「ディテール」の意味である「詳細」または「細かいこと」の反対の意味を持っています。
1.アウトライン
「アウトライン」には「概要」や「あらすじ」の意味があり、「詳細」の意味を持つ「ディテール」の対義語になります。ビジネスシーンでも耳にする機会は多いでしょう。
- 時間がないのでまずはアウトラインをチェックしていただき、その間に並行してディテールを詰めていきます。
- 社内コンペでは大まかなスケジュールと予算の概算、内容のアウトラインを事前提出するよう求められた。
2.サマリー
「サマリー」は英語の「summary」が語源のカタカナ語で、要約や概要、合計などを意味する言葉です。エクセル関数の「SUM」は、「サマリー」からきています。
- 会議までに新事業の概要を知っておくために、サマリーを読んでおく。
- 前月の売上のサマリーをまとめ、資料を作らないといけない。
3.シンプル
「シンプル」とは、「単純であること」や「ムダや飾り気のない簡素な様子」を意味する言葉です。「シンプルイズベスト」とは、「シンプルなことこそが一番いい」ことをいいます。
- ものごとはもっとシンプルであるべきだと思う。
- 一見するとシンプルだが、実はディテールが凝っていて複雑だ。
4.ラフ
「ラフ」にはアバウトや粗い、大雑把などの意味があり、「詳細」を意味する「ディテール」の対義語になります。
- 彼にお願いした資料がかなりラフな仕上がりだったので、やり直しをお願いした。
- まずはラフなプランを出し、その後でディテールを詰めていこうと思う。
「ディテール」の使い方と例文集
「ディテール」の使い方を、例文とともに紹介します。使われがちな「ディテールが細かい」は誤用なので、代わりの正しい表現もチェックしておきましょう。
「ディテール」にこだわる
「ディテールにこだわる」とは「細かい部分や目立たない部分まで手を入れてつくりあげる」や、「細部まで手が込んでいる」ことをいいます。
- このワンピースは、ボタンやレースなどの装飾のディテールにこだわっている。
- 彼のディテールにこだわる姿勢には脱帽だ。
「ディテール」が知りたい
「ディテールが知りたい」とは、「詳細が知りたい」や「全体に対するある一部分を知りたい」の意味です。
- その商品を開発した経緯と、販売に至った理由のディテールが知りたい。
- イベント開催についてと当日のタイムラインのディテールが知りたい。
「ディテール」が荒い
「ディテールが荒い」とは、全体的にはよくできているように見えて、細部が荒く、細かい表現がおざなりな様子をいいます。「大雑把」と似た意味があり、「ディテールが粗い」とも表現できます。
- あのプランは全体的にはよく見えるが、ディテールが荒いからボロが出そうだ。
- 彼の資料にはところどころに手抜きがあったので、ディテールが荒いと指摘した。
「ディテールが細かい」は間違い
「ディテール」には「細部」の意味があるので、「ディテールが細かい」は「細部が細かい」となり、意味が二重になってしまいます。かわりに「細部表現がすごい」や、「質感が細かい」などと表現しましょう。「この作品の素晴らしさはディテールの細かさだ」は、「この作品の素晴らしさはディテールの表現のすごさにある」とするのが適切です。
「ディテール」の英語訳
「ディテール」の英訳は「detail」です。「detail+目的語〇〇+to+(代)名詞」 は、「〇〇を人に詳しく述べる」と訳します。
- Every detail of his report was perfect.(彼のレポートは細部まで素晴らしくできていた。)
- Please give full details of the new plan.(新しいプランについて詳しく話してください。)
まとめ
「ディテール」は「detail」が由来のカタカナ語で、「ものごとの詳細部分」や「ある部分が細かいこと」などの意味があります。「ディテールにこだわる」や「ディテールが荒い」など、ビジネスシーンでも耳にすることが多い言葉なので、意味を知って使えるようにしておきましょう。