「精査」とは詳しく調査することで、完成品の正しさを調べて確認するときにも使われます。多くの類義語と対義語とともに、正しい意味を知っておきましょう。ビジネスシーンで活用できるよう、使い方と例文も紹介します。
「精査」の意味とは?
「精査」とは、一つのものを詳しく調べることをいいます。詳しくを意味する「精」と、調べるを意味する「査」が合わさった言葉で、完成品が正しくできているかどうか、調べて確認する意味を持ちます。
参照:Weblio辞書「精査」
「精査」の類義語・言い換え表現と違い
「精査」の類義語や言い換え表現は、調べることを意味しています。基準の有無や調べ方、調べる目的など「精査」とは異なる点があるので、確認しておきましょう。
1.検討
「検討」とは、詳しく調べてから良し悪しを判断することをいいます。調べるのは「精査」と同じですが、その後で判断もするのが異なります。
・この件は、一度社に持ち帰って検討させていただきます。
・先日お話しした件について、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
2.調査
「調査」とは、ものごとの実態や動向を正確に知るために調べることをいいます。「動向調査」や「市場調査」のようにほかの名詞と組み合わせる、「調査する」などと動詞形にして使います。「調査」で調べる対象は複数なのに対し、「精査」の調査対象は1つであるのが異なります。
・本調査の前に、予備調査をしておくように依頼された。
・全数調査とは、対象全体について調査する統計調査方法である。
3.検査
「検査」とは、ものごとがある基準に基づいているか、異常はないかどうか、適切かなどを調べることをいいます。基準が設定され、悪い点や問題点がないかを調べる点が「精査」とは異なります。
・会場に入る前に、所持品検査を行います。
・精密検査をして、病状について詳しく調べることになった。
4.査収
「査収」とは、ものを受け取る前によく調べることをいいます。「査収」の対象は品物だけでなく、金銭や書類なども含まれます。納品書やメールに使われる「ご査収ください」とは、「よく調べてから受け取ってください」の意味です。
・請求書を送付しておりますので、ご査収くださいますようお願いいたします。
・新規事業の概要でございます。ご査収の上、ご検討くださいますと幸いです。
5.吟味
「吟味」とはものごとを念入りに調べる、念入りに調べてから選ぶことをいいます。江戸時代には罪人を取り調べることを「吟味」といいましたが、現代はこの意味では使われなくなっています。
・よく吟味した食材が使われている料理を味わう。
・このプロジェクトメンバーの人選は、吟味を尽くしたいと考えている。
6.探査
「探査」とは、まだわからないことについて探り、調べることをいいます。「精査」とは違い、調べても結果や成果が出ないこともあります。
・惑星探査船が無事に打ち上げられ、太陽系の小惑星へ向かった。
・大陸に石油があるかどうかを探査する。
7.審査
「審査」とは詳しく調べた上で、優劣や等級、適しているか否かなどを決めることをいいます。調べるだけでなく、ある条件に基づいて価値や可否を決める点が「精査」とは異なります。
・厳正な審査の結果、もっとも優れた機能を持つと思われる製品を選出した。
・第一審査には合格できたが、最終審査までいけるか自信がない。
8.照査
「照査」とは、ほかの何かと照らし合わせ、違いがないかを調べることをいいます。「精査」は比較対象が要らないのに対し、「照査」は書類やデータなど、基準となる比較対象がある点が異なります。
・設計図が注文通りになっているかどうか、照査する必要がある。
・受け取った資料と書類を照査して、間違いを直さないといけない。
9.点検
「点検」とは、悪い点や誤り、異常などがないかどうかを一つひとつ検査することをいいます。「点検」は「精査」とは違い、良い状態を保つために行います。
・ガス漏れの点検を定期的に実施する。
・事故が起こらないよう、機器の点検をしておくよう指示された。
10.確認
「確認」とは、そうであるとしっかりと確かめることをいいます。「精査」は調べることに重きを置いており、「確認」は確かめることを重視しています。「チェック」も「確認」とよく似た意味を持ちます。
・先ほど送信したメールが取引先に届いているか、Aさんに確認を取ってほしい。
・仕事の内容について、上司に確認してもらうことにする。
「精査」の対義語
「精査」の対義語には確認を怠り放置することや、ざっと確認することなどを意味する言葉があります。対義語の意味を知って、「精査」をより深く理解しましょう。
1.看過
「看過」とは目にしたことを見逃したり、放置したりすることをいいます。「看過できない」とは、「目の前の事象について対策を講じるべき」や「放置してはいけない」の意味があります。
・売上を考えると、この問題を看過することはできない。
・小さなことだからと看過せず、対策するのが大切だ。
2.略式
「略式」とは、本来すべき手続きを簡略化することをいいます。簡易化した刑事裁判の手続きのことは「略式命令」、軽微な犯罪であり、100万円以下の罰金刑について被疑者の同意があれば行える刑事手続きのことを「略式請求(手続)」といいます。
・はがきは、手紙の略式形と考えられている。
・ビジネス文書では前文は略式とし、すぐに主文に入るのが一般的だ。
3.通覧
「通覧」とは、全体にひととおり目を通すことをいいます。ざっと確認して全体を把握する、とりあえず確認しておき、後であらためて詳細を確認するような場合などに使います。
・すでに提出書類は精査済みだったので、最終チェックは通覧で済ませた。
・仕様書を手渡されたので、その場で通覧しておきました。
4.瞥見
「瞥見(べっけん)」とは一瞬ちらっと見る、ざっと目を通すことをいいます。視線の鋭さを感じるニュアンスを持つため、取引先や社内では目上の人が行う場合に使うのが適当です。「一瞥(いちべつ)」も、「瞥見」とは似た意味を持ちます。
・上司は忙しかったからか、私が作った資料を瞥見しただけでOKを出した。
.部長はメモを瞥見しただけで、会議はすぐに再開された。
5.試査
「試査」とは、監査対象からいくつか抜き出した項目だけを監査する方法をいいます。会計処理を一つひとつチェックするのが「精査」ですが、大企業ではとてもやりきれないため、「試査」をして全体の正確さを推定します。
・監査人がサンプルを選定し、滞りなく試査が行われた。
・監査手続きの対象が多すぎるので、抜き取り検査である試査をして対応する。
6.省略
「省略」とは、かんたんにするために余分なものや不要なものを除くことをいいます。「省」と「略」はともに、「はぶく」を意味しています。
・「〜」と書く波ダッシュは、日本語特有の省略記号だ。
・この部分は、昨日説明したので省略します。
「精査」の使い方と例文集
ビジネスシーンでは、「精査」は丁寧な言い回し表現のひとつとして多く使われています。使い方を知って、正しく使えるようにしておきましょう。
「精査」の使い方
「精査」の言い回し表現には以下のようなものがあります。
・精査する(される)
・精査中
・精査した上で
・精査願います
「ご査収ください」と送られた資料に対しては、「精査の結果」として返信します。
目上の相手に対して「精査」を使うときは、接頭語「ご」を付けて「ご精査」と敬語表現にしましょう。
「精査」の例文
「精査」を使った例文を紹介します。
- 問い合わせいただいた件につき、精査した上で回答させていただきます。
- 資料を添付しましたので、ご精査いただけましたら幸いです。
- 精査の結果、誤りがありましたのでご報告いたしました。
- 現在精査中ですので、今しばらく時間をいただけないでしょうか。
- 来週提出予定のレポートの内容を精査しておく。
まとめ
「精査」とは詳しく調査することや、完成品が正しいかを確認することをいいます。多くの類義語があり、それぞれ持つニュアンスが異なるので理解を深めておきましょう。社外やビジネスメールで使うシーンが多くあるので、例文で使い方を確認しておくとよいでしょう。